表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
桃園血盟~後宮~編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/152

第40話 後宮の悪魔 妲姫

浴場は奴隷用とは思えないほど綺麗だった。


シャンプーとボディソープ、さらには肌の保湿用のジェルまで備えられている。そして、剃刀まで。


入浴する前、女性の係が「王女殿下は不潔が嫌いなので、全身の手入れをするように」と注意をしていた。


全身のムダ毛も手入れしろという意味なのだろうか。


なぜ、と思いながら素直に従う。


片目で全身に刻印が刻まれた私をチラチラ見る視線が気になる。


湯船につかろうとすると、そんな私に空気を読まない声が飛んできた。


「へえ、これが刻印ってやつね。初めて見た。」


黒髪をうしろにまとめた女がワタシに話しかける。彼女も護衛の一人だろう。


「あまり、じろじろ見ないでほしいんだけど。」


私は思わず抗議する。


「そんなケチなこと言わないで、どこまで入ってるか見せてよ。」


そういいながら、全身をまじまじと見てくる。


「ちょっと、やめてよ!なによあんた!」


ワタシは思わず顔を赤くして大事なところを隠す。


「アハハ、ごめんごめん。私はルオ。あなたは?」


「ワタシはアビよ。」


「へえ、アビか。ごめんごめん、めずらしくてね。で、その刻印、あなたなにをやったの?」


「無実よ。」


ワタシは短く答える。


「無実?」


「そう、無実。どうせ信じないでしょうけど。」


「いえ、信じるよ。」


本気だろうかこの子は。しかし、悪い気はしない。


「それにしても、アビって共同生活は慣れてないんだね。」


「まあね。」


周りを見ると、慣れたものでどうどうとしている女性たちもいる。中には体に傷が刻まれた歴戦の戦士らしき女性の姿も見える。


しかしこのルオという女は逆にきれいすぎるくらいだ。


肌の手入れが行き届いている。爪も整っている。護衛というより、どこかの令嬢のようだ。


「ねえ、アビ。」


「なに?」


「背中、流してあげようか?」


「は?」


「背中。刻印のところ、自分では見えないでしょ。ちゃんと洗えてる?」


言われてみれば確かに。背中の刻印は自分では確認しにくい。


でも、


「いえ、結構よ。」


私は丁重にお断りする。


「だったら前は?」


「余計いらんわ!」


思わず素っ頓狂な声が出た。


浴場の女たちが一斉にこちらを見た。


「あら、残念。」


ルオは楽しそうに笑っている。。


その時、一人の女が話しかけてきた。


褐色で銀髪、年齢は20代半ばくらいか。


「あんた、刻印持ちか。めずらしいな。」


「まあね。」

そう返そうとした瞬間、ワタシのスキルが反応する。

【幻影】――周りに幻の姿を見せる。

この女からスキルの発動を感じた。

私のスキルも成長したらしい。発動元まで探知できるようになっている。

「離れて、ルオ!お前、何者だ!」


ワタシは銀髪女と距離をとる。


「すごいな、まさか一発で見破られるとは。」


そういうなり銀髪女の瞳が青くなり、褐色の肌が白くなる。頭に一本の角が現れる。


悪魔だ。


「な!」


浴場にいた護衛たちが一斉に悪魔を囲む。


そしてルオが悪魔を取り押さえようとするが、悪魔が腕を一振りすると、どう見ても致命傷な血しぶきを吹き出し、ルオは湯船に沈んだ。


やばい!


ワタシが回復魔法をかけようとした瞬間、悪魔が素早く動きルオを抱える。


「おっと、勘違いしないでほしい。私は妲姫ダッキ。お前たちの敵ではない。ちょっとからかい半分に、お前たちの危機感をテストしただけだ。」


妲姫と名乗った悪魔は空中でルオを抱えながら言う。


「合格者はアビ、お前だけだ。あとの連中は私がその気なら全員死んでいるぞ。とくにこいつは無防備に私に襲い掛かってきた愚か者だ。」


【狙撃】――魔力弾を放つ。


ワタシのスキルが反応し、護衛の女の一人が悪魔に魔力弾を放った。しかし妲姫のシールドにはじかれる。


「おいおい、話を聞いていたのか。私はお前たちの敵ではないよ。まあいい、私も驚かせすぎたな。初見で看破したのはお前が初めてだ、アビ。今後ともよろしくな。」


そういうと、妲姫はルオを抱えたまま消えていった。


後には血に染まった湯船だけが残った。


ルオ……。


生きてなさいよ。


私は赤く染まった湯船をただ見つめた。


しばらくして、係のメイドが浴場に入るなり声を上げた。


「これは……なにがあったのですか!」


まもなくジヨウが現れた。


血に染まった湯船をひと目見て、舌打ちをする。


「……妲姫か。」


それだけ言うと、ジヨウは何も聞かずに踵を返した。


「お前たち、湯舟は自分であらっておけよ。」


それだけ告げて、廊下の奥に消えていく。


ルオの安否も、経緯も、何も聞かなかった。


ここは、そういう場所なのか。


護衛一人の生死など、誰も気にしない。


刻印持ちのワタシは、なおさらここではそういう存在だ。


さて、うわさのキョウ王女、どんな王女様なのだろうか。


妲姫、あの感じ、あの華姫に似ていたな。


あいつが後宮の悪魔か。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


続きが気になった方は、

ぜひ応援クリック、ブックマークをお願いします!

SNSで拡散お願いします

やる気がでます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ