表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
桃園血盟~後宮~編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/53

第39話 それぞれの動き

王の寝室--


王の横には医師が座り、いつでも緊急の事態に対応できるよう準備がされている。


今、王の横に一人の老婆が立っていた。


齢は王と同じく70前後だろうか。しかし背筋は伸び、武闘家のような衣装を身に着けたその姿は、とても老人には見えない。まるで歴戦の戦士のようだった。


「生きている間にまた会えるとは思わなかったよ。リョウコ。」


王はなんとか体を起こし、女性に話しかける。


「それは私もよ。レイ。」


リョウコと呼ばれた女性は王に返事をする。


王を名前で呼び捨てにするなど、通常は許されるはずもない。


「私が死んだあと、キョウとカイをたのむ。言えた義理ではないが。」


「しかたないわね。」


リョウコは短く答えた。


「50年前、私たちは神託通りに魔王ヴィクトリーを倒した。しかし、その結果がこれとは、人生はわからないわね。世界を救ったはずの戦いが、この国を壊す始まりになるなんてね。」


「そうだな。」


「今度は勇者が革命家となり国を破壊しようとしている。皮肉なものね。」


「全ては余の、いやオレの責任なんだろうな。」


レイ王は目を伏せる。


理想に燃え、魔王と立ち向かった自分を思い出す。


仲間の勇者とともに世界を救ったはずだった。


しかしその後、王となったオレは国を衰退させた。


自分の子供たちすらも守れなくなった。


「結局、オレの仲間はもう君しかいないリョウコ。」


「私ももう長くないから、できることは多くはないよ。」


リョウコは静かに呟いた。


しばらく、二人の間に沈黙が流れた。


沈黙を破ったのは王だった。


「ところでリョウコ、最近、民の中で”貧民街の聖女”とよばれるものがいると聞いたが、あれは君か?」


「え?なんだいそれは?聖女?私が?たしかに50年前はそんな風にいわれたこともあったね。」


リョウコは笑って窓から貧民街のほうを見た。


「さあ、誰だろうね。この国にもまだ、そんな奇特な人間がいるんだね。」





王都郊外 ――


貧困地区、ここに定期的に聖女と呼ばれる女性が出没していた。


定期的に身なりのととのった女性が現れ、貧しい人の病気をや怪我を治していた。


乱暴者たちが聖女を抑えようとすると、不思議な力が働き、乱暴者たちは気絶し、近づくこともできなかった。


そして、一通り、けが人や病人がいなくなると、消え去るのだ。


人々はこれを貧民街の聖女と呼んだ。









歓楽都市「オアシス」


その入り口にアオ、ビゼン、ヨクトの三人は立っていた。


「まずはアカを探すよ。私たちの仲間が来ても攻撃するな、と言っておかないといけないからね。」


「ここは革命軍も来たことがないな。」


「私も来たことがない。」


ビゼンとヨクトにとって、この町は初めてだった。


「この町はね、自治都市ということになってるんだけど、要は――」


アオがそう言いかけたとたん、男たちが囲む。


「おっと、ここを通るには通行料がいるんだよ。」


「体で払ってもいいんだぜ。」


「なるほど、こういう町ってことね。」


ヨクトが一歩前に出る。




【豪傑覇気】――




ヨクトが覇気を発した瞬間、バタバタと男たちが倒れる。


気を失うもの、腰を抜かして動けないもの、ほとんどの男たちは戦闘不能になる。


「てめえ、何をしやがった。」


「妙な術を使いやがって!」


数名の男たちがヨクトに襲い掛かる。


「これは驚いた。まだやれる奴がいたとはね。」


ヨクトはそう言いながら、襲ってきた男たちをたたき伏せる。


男たちがビゼンとアオに向かう。ビゼンは男たちを蹴り飛ばす。


「やろう!」


また、数名の男たちが現れる。


「きりがないね。」


アオはそうつぶやくと。


指先から、光を発する。




『敵意あるものよ退けー滅敵覇気ホスタイルキラー




瞬間、周囲の男たちがバタバタと倒れる。


しかし、見物人は倒れない。


なにがおこったのかざわついている。


「これは‥‥おれの【豪傑覇気】に似てるが……」


「ヨクトのスキルと似たようなものだよ。ただ、効果は私たちに敵意があるものだけだけどね。」


「いや、完全にオレのスキルの上位互換なんだが。」


ヨクトが肩をおとす。


「ちょっとコツをつかめば君にもできるよ。」


そこに1人の女ギャングが話しかける。


「おめえら、すげえじゃねえか。ただの冒険者じゃねえな。ここは初めてか?だったら案内してやる。」


若い女ギャングを見ながらヨクトはアオに確認する。


「アオ、そのアカはどこにいるかわからないのか?」


「わからないね。でも、ひとつ方法がある。」


「どんな方法だ。」


「このあたり一帯を消し飛ばすんだよ。そうすれば気になって出てくると思うよ。」


「う、それは却下だな。」


「私たちの目的はカクの居場所探しだ。現状、手がかりもない。話だけでも聞いてもいいだろう。」


ビゼンが答える。


「しかたない。あんたの言うとおり、この町は初めてでね。人探しに来たんだ。」


「決まりだ。この町のルールから教えてやる。ついてきな。」


三人は若い女ギャングについていくことにした。


(まあ、最悪、どんな相手でも俺たちならどうにかなるさ)


こうして三人は歓楽都市オアシスで、奴隷商人カクと朱雀竜アカを探すこととなった。







ワタシはアマンとともに、キョウ王女と面会することになった。


面会の前、アマンは私に言った。


「アビ、まず宦官の長、中常侍ジヨウに挨拶する。後宮のことはすべてあの男が仕切っている。王女殿下からの信任も厚い宦官だ。」


「ずいぶん信用してるのね。」


ワタシは正直な気持ちを伝える。


アマンは首を振った。


「信用しているわけではない。むしろ逆だ。宦官など、なにを考えているかわからん。あまり信用するな。」


「ずいぶん疑うのね。」


「周りはみな敵だと思え。そうだな。ただ一人信頼してよいのはリョウコ殿だけだ。」


「リョウコ?」


「あの魔王を倒した勇者パーティーの一人だ。」


「でも、それって五十年前の話だよね。リョウコって人はエルフかドワーフなの?」


「いや、人間だ。かなりの高齢だから戦力になるかは分からんが、王が協力を依頼したらしい。」


そう言いながら、私たちは王宮の奥へと進む。


後宮へ続く門の手前で、護衛の女戦士たちが集められていた。


ワタシを含めて十人ほどだ。


その中に見覚えのある顔を見つける。


「おう、アビ。」


振り返るとハクエイが立っていた。


「ハクエイ。」


アマンも軽く会釈をする。


「なぜ、あなたがここに?」


ワタシは首をかしげた。


「今回は俺が傭兵隊の責任者ってことになった。王宮周辺の警備は傭兵隊が担当する。」


「王宮の警備を傭兵がするなんてありなの?」


「宦官は直属の軍を持ってないからな。俺たちみたいな傭兵の出番ってわけさ。とはいえ、俺が入れるのはここまでだ。後宮の中は男は立ち入り禁止だからな。」


ちょうどその時、宦官が現れた。


「これより中常侍ジヨウ様に拝謁する。」


私たちは宦官に導かれ、建物の中へ通される。


部屋の奥にはすでに一人の男が座っていた。


四十代前後だろうか。


派手ではないが質のよい衣をまとい、細い目でこちらを見ている。


中常侍ジヨウ。


この男が後宮を取り仕切る宦官の長か。


「跪け。」


宦官が言う。


私たちは一斉に膝をついた。


「顔を上げよ。」


静かな声が響く。


ワタシは顔を上げた。


ジヨウはゆっくり立ち上がると、私たちの前を歩き始めた。


一人一人の顔を確かめるように見ていく。


そして私の前で足を止めた。


「護衛の中に刻印持ちがいると聞いていたが……お前だな。」


「はい。アビと申します。」


ワタシは名乗る。


ジヨウはしばらく私を見ていた。


「女の戦士は不足している。刻印持ちの奴隷でも構わぬ。」


意外なほどあっさりした口調だった。


「だが、後宮では肌を見せるな。刻印は隠せ。特に王女殿下の御前ではな。」


「承知しました。」


「宮廷内ではしきたりに沿った衣服を着てもらう。まず体を清めよ。衣服は後で支給する。」


それだけ言うと、ジヨウは背を向けた。


「下がれ。」


私たちは頭を下げ、部屋を出る。


外に出ると、アマンが腕を組んで待っていた。


「どうだった。」


「思ったより普通の人だった。」


アマンは小さく笑う。


「油断するなよ。」


そして後宮の門を指さした。


「ここから先は男子禁制だ。俺もハクエイも入れない。」


「つまり、ここからは私たちだけ?」


「ああ。後宮内は強力な結界が張られている。魔法通信もできん。気をつけろ。」


「ええ、任せて。」


ワタシはうなずいた。


さて。


噂のキョウ王女。


どんな王女様なのだろうか。


――その時、ふと視線を感じた。


誰かに見られている。


この感じ。


あの華姫に似ている。


こいつが後宮の悪魔か。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


続きが気になった方は、

ぜひ応援クリック、ブックマークをお願いします!

SNSで拡散お願いします

やる気がでます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ