表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/103

第103話 選択

「ばかな……」


青龍冷艶鋸が砕かれた。


ビゼンは一瞬、動けなかった。


長年、戦場を共にした得物だった。


アオ様から先祖が賜り、一族が代々守り続けた剣だった。


それが——一合で、へし折れた。


(落ち着け。)


ビゼンは自分に言い聞かせた。


ここは戦場だ。


感傷は後でいい。


大きく後方に跳ぶ。


ロフの追撃が来るとおもった。


だが、来なかった。


「フハハハハハ。」


ロフは笑った。


「どうやら、オレの勝ち——と言いたいところだが、武器の違いだな。」


追撃はしてこなかった。


ビゼンは砕けた刀身を握ったまま、無手で構えた。


並の相手なら無手でも問題などない。


しかしこの男は——


(今まで、これほどの相手に出会ったことがあっただろうか。)


鬼神。


その言葉が頭に浮かんだ。


どれほど時間を稼げるか、正直なところ見当もつかなかった。


「なんだ、貴様。勝負はついただろ。何を構えている。」


ロフが静かに言った。


「なんだ、どういうつもりだ?」


ビゼンはロフの真意を測りかねて聞いた。


「オレはアマンの部隊を倒せといわれただけだ。その任務は終わった。お前たちの相手をしろとは言われていない。」


ロフはそういうと、ビゼンを一瞥した。


「殺されたくなければ早く消えろ。」


それだけ言って、ロフは徐姫のほうに向かって駆けだした。


ビゼンはその背中を見送った。


(また、負けたか…)


「おい、あっちは!?」


ヨクトが叫ぶ。


「ああ、アビのいる方向だ。」


「追うぞ!」


ビゼンはそういうとロフの後を追った。


右手には、刃の砕けた青龍冷艶鋸が、まだ握られていた。



魔神雷斬ライトニング・スラッシュ——!』


電撃をまとったワタシの斬撃が女悪魔の手首を切り飛ばす。


「くああああああ!」


女悪魔が電撃と斬撃の悲鳴をあげる。


「なにものだ。あの女、本当に人間か。」


エルフの魔術師がワタシの戦いぶりに驚愕している。


リョウコさんから受け継いだ【限界突破オーバードライブ】をまとったワタシはもはや人間ではありえない戦い方をしていた。


身体に走る微弱な電気を高圧電流に変え、限界突破で強化された肉体を無理やり動かしていた。


「雷神か——」


エルフの女性の声が聞こえた。


この悪魔、かなり弱っている。


どうやら、もうひとりの魔術師の呪法が効いているらしい。


しかし、彼女もそろそろ限界のようだった。


顔から滝のような汗をかき、顔色が悪い。


その時、ロフが現れた。


「徐姫!」


ロフはこちらに着くなり、もっていた剣を空に向かって振り回した。


その瞬間、結界のようなものが砕けたのを感じた。


同時に、魔法を唱え続けていた女性も倒れる。


「大丈夫か、徐姫!」


ロフは倒れそうになった徐姫を、剣を持っていないほうの手で支えた。


「オオ、ロフ殿、来てくれたのだな。」


「当たり前だ。貴様はおれの副官なのだからな。」


そう話している間にも、徐姫の身体は見る見る再生していった。


「久しぶりだな。アビ。」


ロフはワタシのほうを見て声をかけた。


「ヨクトとビゼンはどうしたの!」


ワタシはこいつと戦っていたはずの二人の安否を聞く。


「安心しろ。まもなくここに来るだろう。」


意外な言葉にワタシは言葉に詰まる。


「それより、貴様はやはりオレたちの敵になるのだな。」


ロフは剣を納めながら言った。


「ええ、そうなるみたいね。」


ワタシはそう言いながらも、こいつをどうしたものかと考えていた。


現状、倒す方法がない。


「なら、次、会ったときは敵だ。首を洗って待っていろ!」


「は?」


ワタシが意味がわからず思わず間抜けな声を出している間に、ロフは馬に徐姫を乗せて退却していった。


「どうやら助かったようね。」


ワタシは女魔術師たちに声をかけた。


「……ありがとう。」


リユウがそう言った。


その目は、笑っていなかった。


まもなくビゼンとヨクトもワタシのもとにやってきた。



リユウはアビの背中を見ていた。


強い。


強すぎる。


今日は味方だった。


しかし——


エルフは長命だ。


百年以上の生の中で、リユウは何度も見てきた。


今日の味方が、明日の敵になる瞬間を。


(アマン坊やの障害になる前に——ここで殺すか。)


隣ではカギが倒れたままだった。


リユウはカギを一瞥する。


今は、それどころじゃない。


しかし——この考えは、胸の奥にしまっておく。


いつか、必ずこの女を殺す日が来る。


アマン坊やのために。



アマン軍の陣——


「久しぶりだな、アビ殿。そして今回のこと、改めて礼を言わせてもらう。」


そういってアマンはワタシに頭を下げる。


「まあ、成り行きでいろいろあってね。」


それから、ワタシたちはお互いの現状を情報交換した。


「なるほど。チュウエイとロフ、二人同時に殺さない限り不死身——それは重要な情報だ。感謝する。」


アマンはその情報を知らなかったらしい。


まあ、なぜかロフが自分で暴露した情報だから無理もないが。


「それで、アビ殿。これからあなた——いや、あなたの部隊はどうするつもりなのだ。もはや王都には戻れまい。」


そうなのだ。


こっそりアオの力で転移したり、幻術で紛れることはできるだろう。


しかし正式に、ワタシの部隊は王都には戻れない。


この件もこっそり、キョウには伝えないといけない。


ワタシが返事に困っていると、アマンのほうから提案を出してくれた。


「良ければ、私の部隊に傭兵団として参加してみないか?」


ありがたい申し出だった。


「ということは、一緒に連合軍として、チュウエイ軍、官軍と戦うということ?」


ワタシは当然の内容を確認する。


「いや、あれはもう駄目だ。毎日、宴会ばかりしている。」


アマンは吐き捨てるようにいった。


「一旦、故郷に帰って体勢を立て直そうと思う。それからチュウエイは機を見て少数精鋭で対処する。その時にはあなたにも力を貸してもらいたい。」


ワタシはしばらく黙っていた。


王都には戻れない。


キョウとも堂々とは会えない。


チュウエイに雇われていた立場は、今日この戦いで終わった。


やつはやはり敵だ。


「わかったわ。」


ワタシはアマンをまっすぐ見て答えた。


「ワタシももう戻れない。それでいい。チュウエイはワタシの友達を殺した。」


究姫の顔が浮かんだ。


友達だと言って、嬉しそうに笑っていた彼女。


その笑みを、チュウエイが消した。


「その仇を討たせてもらうわ。」


チュウエイとの決着——それはもう、避けられない。


ワタシはそう決めた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


続きが気になった方は、

ぜひ応援クリック、ブックマークをお願いします!

SNSで拡散お願いします

やる気がでます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ