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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編

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第102話 獣剣・蒼月

(いける!)


アマンは勝利を確信した。


しかし——


ロフは戟を投げ捨て、腰に差していた剣を抜刀した。


その剣に異様な霊力を感じた。


(なんだ!あの剣は危険だ!)


アマンはとっさに【絶影】を発動する。


しかしロフはまたしても無拍子で反撃。


アマンの神剣・北斗を迎撃する。


ガキイイイン!


激しい金属音がこだました。


そして——神剣・北斗がへし折れた。


刀身の破片が地面に落ちていく音が、妙にゆっくりと聞こえた。


「まずい!」


ジユンが叫んだ。


「フン!」


ロフが剣で大地を切ると、ジユンとエイサイの張った結界が切り裂かれた。


「なんだと!」


結界ごとはじかれ、エイサイが声を上げる。


その霊剣こそ、チュウエイが万一のためにロフに預けた獣剣・蒼月だった。


そして次の瞬間、ロフの右手が再生される。


丸腰になったアマンを、ロフが見下ろしていた。


しかしアマンは顔色一つ変えなかった。


ロフが武の天才であるように、アマンも術の天才だった。


自身の剣撃が防がれることは計算に入れていた。


右手に力を込める。


魔力が集まる。


『四霊法術・鳳凰天破フェニックス・ディスラプト——!』


聖なる炎がアマンの右手から迸った。


しかし。


「おおおお!」


ロフの獣剣・蒼月が炎を斬り裂いた。


一刀のもとに。


(——!)


(もらった!)


ロフは勝利を確信した。


炎が消え、アマンがそこにいるはずだった。


いなかった。


(——なに?)


アマンは炎の逆噴射を利用し、大きく後方に飛んでいた。


十数メートルの距離が、一瞬で開く。


(今の攻撃を、目くらましと脱出に使ったのか。)


ロフは一瞬、舌打ちをこらえた。


着地したアマンは即座に状況を整理する。


神剣・北斗を失った。


最大法術も通じなかった。


正面からロフを倒す手段が、今この場にはない。


(ならば——)


「エイサイ、ジユン、引くぞ。今はロフを倒せん。」


二人が即座に反応する。


しかし——アマンの視線がリユウとカギの方向に走った。


(まずい。)


二人はまだ徐姫と戦っている。


助けに行けば、撤退が遅れる。


遅れれば、ロフに捕まる。


捕まれば——全滅だ。


見捨てれば、二人は死ぬ。


(どちらも死ぬ可能性がある。)


一秒にも満たない時間の中で、アマンは二択を迫られた。



ワタシはアオに連れられ、上空から戦況を観察していた。


眼下では二つの戦線が同時に展開している。


ロフ対アマン、徐姫対リユウとカギ。


どちらもまずい状況だった。


「どっちの援軍をする?それとも見なかったことにする?」


アオは目のバンダナを外してワタシに聞く。


「見なかったことにするはないかな。」


「じゃあ私がうっかり両軍を吹き飛ばして、なにもなかったことにするとか。」


「もっとないわ!そういうのやめろってスカーレットに言ったばかりでしょ!」


ワタシはつっこむ。


(整理しろ。)


(ワタシは官軍に雇われているわけで、普通に考えればロフの軍を助けるのが筋だが……)


(でもあいつはチュウエイの仲間だ。)


(アマンには借りもある。反乱軍ということになっているが、別にキョウの敵というわけではない。)


(今ここでロフを攻撃すれば、キョウに気軽に会いに行くのは難しくなる。)


(でも……)


ワタシは究姫の顔を思い出す。


友達だといって嬉しそうに笑っていた彼女。


その彼女を殺したチュウエイの仲間がロフだ。


チュウエイの味方をする。


冗談じゃない。


「アマンを助ける。」


ワタシはそう言いながら上空に合図の閃光弾を放った。


魔力の光があたりを照らす。


「ワタシはまず、あの悪魔を相手する。ヨクトとビゼンはロフの相手をして。ただしアイツは殺せない。足止めだけでいい。リョーカはモスとともに、アマンの兵を逃がして。」


ワタシはアオに中継を頼んで、思念通話で指示を出す。


「了解。」


ビゼンから返事が聞こえた。


「私はなにをすればいい?私ならロフを倒せると思うけど。」


アオがワタシに聞く。


「あのロフが持ってる剣——あれがたぶん究姫を殺したって剣でしょ。アオは万一のことがある。ここで見てて。ワタシをあの悪魔の前に転送させてくれるだけでいい。」


ワタシはそういって、ロフと徐姫を指さす。


「ああ、あれね。ヨウトが四霊にもらったやつだね。魔王を倒したあと返したって聞いてたけど、チュウエイが手に入れたのか。」


「そんなものならますます万一のことがある。お願い、ワタシたちを信じて。」


「わかったわ。じゃあ、お守りだけ受け取ってね。」


そういうとアオはワタシの唇に軽くキスをした。


次の瞬間、ワタシの前には黒髪で赤い瞳の悪魔が立っていた。



「なんだ。貴様!どこかから現れた!」


閃光弾の直後、悪魔は突然、現れたワタシにとまどう。


しかし、とまどったのは悪魔だけじゃなかった。


「なんだ!どこの所属だ!」


エルフの魔術師がワタシに叫んだ!


「あんたたちの味方よ!ここはワタシに任せて引きなさい!」


ワタシはスキル【限界突破オーバードライブ】を発動した。


全身の骨が軋む。


景色が、上がっていく。


10センチ。


たったそれだけの差が、戦場では別の生き物になることを意味する。


ワタシは悪魔に向かって駆けだした。



閃光弾があたりを照らした。


両軍の兵士が思わず上空を見上げる。


(何かわからないが——チャンスだ。)


「撤退だ!引け!」


アマンが声をあげた。


その瞬間、数十人の兵がこちらに向かって突撃してきた。


(何者だ!?)


敵か、味方か。


アマンもロフも思わずそちらに目をやる。


「お前はアビの!」


「アマン殿!助太刀する!」


ビゼンとヨクトがロフに向かっていった。


「感謝する!」


アマンはビゼンに声をかけ、ジユンたちとともにリユウとカギのほうへ駆けた。



「逃がすか!」


ロフは後を追おうとする。


「いつぞやの決着、つけさせてもらおう!」


青龍冷艶鋸を構えたビゼンと槍を構えたヨクトが立ちふさがった。


ロフは一瞬、二人を見た。


(——邪魔をするか。)


「姉貴!こいつは不死身なんだろ!時間稼ぎしたら引くぞ!」


ヨクトがビゼンに声をかける。


「わかってる!」


ヨクトが踏み込んだ。


槍の穂先がロフの腕を貫く。


ロフはそれを受けながら同時に剣を振るった。


これがロフの戦法だった。


受けながら、殺す。


しかしヨクトは読んでいた。


槍を刺したまま、大きく横に跳ぶ。


ロフの剣が空を切った。


(チィ!)


ロフは内心で舌打ちをする。


そして——傷が再生した瞬間、妙な違和感があった。


(——なんだ、これは。)


精神体に、何かが触れた感覚。


肉体の傷ではない。


もっと深いところへの一撃だった。


(やつの一撃——これはまずい)

(数を受ければやばいかもしれん。)


ヨクトの【豪傑覇気】がロフの精神体に届いていたのだ。


しかしロフはそれを顔に出さなかった。


視線をずらすと、ビゼンが間合いを詰めていた。


(こいつの一撃はすべてを斬る。)


ロフは大きく後方に跳んで距離をとった。


「おい、貴様!たしかビゼンとかいったな!」


「名前を覚えてもらっていて光栄だ。」


ビゼンは距離をとりながら答える。


自分たちの役目は時間稼ぎだ。


向こうから話しかけてくれるのはありがたかった。


「貴様のその剣、例の青竜から先祖がもらったものらしいな。切れぬものはないと豪語しているそうではないか。」


ロフは獣剣・蒼月を持ち上げた。


「オレのこの剣も曰く付きのものでな。その剣でオレの剣を叩き切れたらお前の勝ちにしてやるがどうだ?」


勝てばビゼンの厄介な青龍冷艶鋸を破壊できる。


負けても、アマンが引いた時点でこの戦いは勝っている。


それに——この剣が砕けることでチュウエイがまたイラつくのも、悪くないと思った。


「面白い!受けてやろう!」


ビゼンが青龍冷艶鋸を構えた。


「姉貴、大丈夫か!?その剣、大事なものなのだろう?」


ヨクトが心配して声をかける。


「何を心配している!心配することこそ、これをつくりしアオ様に対して不敬だぞ!ヨクト!この青龍冷艶鋸に立てぬものなどない!」


ビゼンは薙刀を振りかざした。


「うなれ、青龍冷艶鋸!」


「オオオオオオ!」


二人の雄叫びが交差した。


ガキイイイン!


激しい金属音がこだまする。


そして——


青龍冷艶鋸の刃が、獣剣・蒼月の前にへし折れた。


刃の破片が地面に落ちる。

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