第四百五十七話 早朝にも会う
「う〜ん、目覚しい成果と言える…………かな?」
彼女は首をこきんと傾げた。
本来なら手放しで喜ぶべきなのだろう。
だとしても…………
「私がすべき事は…………」
ここまで呟いたところで彼女は頭を抱えた。
「あ〜、この後に及んで迷ってる〜!!」
何にしろ会ってみてからでないと始まらないのだろう。
予定通りとはいかなかったが準備は時間をかけて整えてきた。
「今が行くべき頃合いですか……」
意を決すると彼女は椅子から立ち上がった。
早朝。
いつもの様にマリーはヴェルサイユ宮殿の内側周囲を走っていた。
一周すればそれなりの距離になる。
所々に見張りの兵が立っている。
特段異変が起きる事も無く、この時間帯はマリーの監視くらいが役目らしい役目だった。
そういった兵達にも丁寧に声をかけながらマリーは走って行く。
折り返し地点に目安箱がある小屋が建っている。
ここで国民の投書を回収するのがマリーの日課だ。
マリーは小屋の戸を無造作に開いた。
「おはようございます!!」
「お、お母様?!」
突如眼前に現れた母にさすがのマリーもたじろいでしまった。
「お、おはようございます。どうしてここにおられるのですか?」
「今日一日あなたの日々の暮らし方をしっかりと見届けさせてもらいます!」
マリーは思った。
ああこれはヒバリコ先生を諦めてないなと。
「ではお好きにご覧下さい」
マリーは鍵を取り出し目安箱を開錠して中身を取り出した。
「それが目安箱ですか」
「はい、民の意見を書面にして投函してもらっています。国王の食卓同様に」
「ふむ……」
「ご興味があるなら後で投書を一緒に読みましょう。それでは鍛錬の途中ですので……」
マリーは小屋の外へ出て行った。
見送るテレジアは微動だにしない。
「鍛錬ですと〜……!」
オーストリア時代と比べ堂々とやってるか。
ともあれ走って追いかけてもこっちが持たないのは小トリアノン跡の畑での追いかけっこで身に染みている。
手筈通り自分の手の届かない所はブザンヴァルの手駒の護衛に監視させておく。
テレジアはゆっくりと小屋の出口を通り抜けていった。
テレジアはしつこい。
いつ帰国するのやら。
冒頭部分は前回との繋がりだけど区切りが中途半端だったかな?
編集の関係でそういう事もちょくちょくありますが、ご容赦願います。




