表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/163

ア、マズイ

しばらく待合室で待っていると生徒会長がやってくる。

医院長にリアが呼ばれていったのだからてっきり入れ替わるようにすぐやってくると思ったけれど結構時間がかかった。


「やあ、四方山さんまった?」


「いえ、いま来たところです・・・ってこのやり取りさっきもしませんでしたか?」


「それ以前にその返しをこのタイミングでするほうが間違っている気がするのだが・・・」


流石にバレるか。さっきも聞いた言葉だったからデジャブ風にしたかったんだけどね。

それにしてもなんか少しやつれているように見える。

医院長にひどくからまれたからなのか、途中別の誰かに邪魔をされたのか・・・。

うーんとこういうときは・・・。


「おつかれさま」


生徒会長の手を両手で握り顔を見上げながら優しく微笑んで見せる。

これで少しは元気が出てくれるといいなと思ってやったのだけれど予想外に少し顔を赤くする。

あ、これクリティカル入った。

てっきりいつものように「誘ってるのかい?」とか冗談を言ってくるのかなと思ったけれど、やっちゃったか?

手を放すとその手を逆に握ってくる。

どうしたものかと作った微笑みのまま首を揺らしていると横からわざとらしい咳払いが聞こえ、正気に戻ったのか手を放してくれる。


「ちゃんと許可は取って来たのか?」


「ああ、ちゃんと取れたさ。404号室だそうだよ」


「演技悪・・・」


404号室はなぜか縁起が悪い部屋とか言われたりすることが多い。

というのも四という文字が「し」とも読むせいで死を連想されるとかなんとか。

それが二つも並んでいるのだからとても縁起が悪く、マンションや病院によってはその部屋番号がない場合があるらしい。

とはいうものの、そういう場所に全くお目にかかるようなことはなく、現にこの病院ではあるわけなので迷信だとは思う。

というかうちのマンションも404号室があってそこに早川が住んでるしね・・・。本人ぴんぴんしてるから大丈夫でしょ。

ただまぁ、マンションだと売れ残ることが多いみたいで安く貸し出してることが多いから余計うわさが広がってるみたいだけど。


・・・

・・


とりあえず部屋がわかったので移動することになった。

いまさらなのだけれどこのイケメンコンビはともかく、俺が行っても大丈夫なのだろうか?

一部女子からすごく嫌われているし、もしかするとアンチの一人かもしれない。

まぁ、からかい半分で二人の言葉に乗って悪ふざけしてるのも悪いんだけどね。


「・・・」


三人でエレベーターに乗り込んだわけなんだけれど、二人ともなぜか隣にぴったりとくっついている。

いや、手とか繋いでたりしてないよさすがに。

このエレベーター骨董品と思えるくらい古い物ではあるけれどなんとか車いすと一人がのれる程度の大きさではある。

とはいえ4人は普通に乗れる大きさなので、今みたいな横一列に並ぶというあほなことをしなければ十分な広さはある。

初めに乗ったのが運の尽きだったか。微妙に二人が斜め前にいるせいで壁に追い詰められている。


「そういえばリタさんとなに話していたんだい?」


そう風紀委員長が訪ねてくると俺より先に生徒会長が反応を見せる。


「え、あれの言葉わかるの?」


あれってなんだあれって。相手が女性だからってさすがにひどい反応過ぎない?


「あはは・・・あ、そろそろつきますよ」


何語なのかとか、どこで勉強したのか聞かれるのも面倒なうえに呪いについて話してましたなんて言えるわけもなく、適当にはぐらかして二人の手を握って早歩きで引っ張っていく。

うん、「大胆だね」とかいう声は聞こえない。


病室の前までつくと、二人の手を放し軽く二回ほどノックする。


「四方山さん。二回はトイレの時のノックだよ」


「・・・」


追加でもう一回戸を叩いた。

しかし、中からは反応はない。

寝ているのかな? そう思ってドアを開けると。

病室の中にはだれもおらず、開きっぱなしの窓でカーテンが風で揺れているだけだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ