ライキャク
朝の一件があったが、午前中の授業はいつも通りの穏やかな授業が行われた。
てっきり鹿島さんが何らかのちょっかいを出してきたり、風紀委員長が人形の県で何か連絡をしてくるかと思ってたんだけどそんなこともない。
変わったことと言えば休み時間の合間に何度か宮崎さんが教室に訪ねて来たことくらいだろうか。
・・・なんで人形の部品その時に渡さなかったんだろ、完全に忘れてた。
そんななか、昼休みのチャイムが鳴り響き、昼食をどこでとろうかと頭を悩ましていた矢先、クラスに来訪者がやってくる。
「オカケンの姫様いる?」
眼鏡をかけた黒髪のツンツン頭、失礼かもしれないが顔はイケメンでもなく不細工でもないそんな人物だ。
さて、このクラスにはオカルト研究会は2人いるわけだが、姫様ということは・・・。
「早川、よばれてるよ」
「いや、あんたでしょ」
「いやいや、俺男だし」
流石に男を姫様呼びする人はいないでしょ。クラスの全員が眼鏡の言葉に反応してこっちを見ているのも、当の本人がこっちに向かって来てるのもきっと早川が原因だ。そうだと言ってくれないかな!?
そんな思いは虚しく眼鏡は俺の前までやってくると。
「すまん、ちょっと来てくれ!」
そう言って拝みこまれた。
・・・
・・
・
とりあえず話だけは聞こうと思い、屋上までやってきたわけなのだが・・・。
うん、すごくすごーく「姫様」という呼び方について聞きたいわけだけれど休み時間は有限。眼鏡の頼みとやらを聞くとしよう。(上から目線)
「それで、何の用? 告白なら間に合ってるけど」
「いや・・・そういうのじゃない」
なんだその微妙な間は。
「たのむ、呪を解く方法を教えてほしいんだ!」
「呪?」
と、彼の話を聞くとどうやらここ数日彼の弟の様子がすぐれないらしい。
数日前肝試しにと近くの廃病院に友人と一緒に肝試しに行ったらしいのだが、それ以降顔色がずっと悪く異様に体が冷たくなってしまっているらしい。
で、ここまで相談を聞いてみたのだが一言。
ばっかじゃないの!?
オカルト研究部はあくまでまだ見ぬ未知を追求するものであって住職や僧侶じゃないから。むしろ自ら呪われに行くようなもの好きだから!
やってることは普通に不法侵入だし、廃病院なんて菌の巣窟になってる可能性が高いに決まってるじゃん!呪とか祟りとかいぜんにまずは病院に連れて行こうよ!
「えっと・・・病院に連れて行ったりとかは?」
「まだしてない」
いや、まずは病気拾ってきたこと疑おうよ。
「いや、確かに病気だと思うかもしれないんだが、ありつ病院で何か拾ってきたらしくてなんか「捨てても戻ってくる。やっぱ呪われたんだ!」って言って部屋から出てきてくれないんだ」
ん?捨てても戻ってくる?
「それってどんな奴だったかわかる?」
「よくは見せてくれなかったけれど白いビー玉みたいなやつだったと・・・」
そう聞いて生徒手帳のメモ欄を見てみる。そう言えば一つは男性の名前が載っていたはずだ。いったい何を持っているのは・・・
『目』
へぇ、こんな偶然あるんだ・・・。