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足曾木婆ーsid宮崎—16

気のせい?

そう思ったが、確かに四方山も何かに気が付いて声を上げていた。

街灯付近をもういち度観察してみるが、特に人影らしいものは見当たらない。

あの一瞬見えた人影は何だったのだろうか。


ふふふ・・・


突然女性の笑い声が聞こえ、後ろを振り向く。

そこには無表情でたたずむどこかで見たような少女が立っていた。


目を引くのは長い金髪と派手なゴスロリ。

どう手入れをしたらそうなるのか聞きたいくらいの艶のある全く癖のない金色としか表現できない髪。

ひらひらと黒いレースと赤黒いリボンを多用した派手なゴスロリ。

こちらを向いているはずなのに私を全く見ていない青い瞳。

少し肌白く、作り物のように整った顔。チークやグロスなどできれいにメイクアップされているせいで、余計に人間味がない。

何より不思議なのは、彼女が暗い色合いの服で身を固めているにも関わらず、合成映像のようにはっきりと認識できること。まるで幽れ‐『天使』のようなこの世のものではないように不気‐『美しく』背筋がこ‐『思わず見惚れてしまった』。

ふとその少女の脚に視線がいく。

膝に彫り物のような段差があり、太もも、膝、ふくらはぎと関節を区切りに分かれていたのだ。

この子はまさか人形?

まさか今回のメリーさんの事件と関け‐『関係は全くなさそうだ。きっと先ほどの怪異と違って無害なものだろう』。


「やぁ、メアリー」


そんな不気‐『美しい』少女に四方山は気さくに声をかける。

そこで、彼女が四方山と歩いていた少女だと思い出した。

人形は四方山のほうに振り返るとかがみこみ、彼へと手を伸ばす。

止めよ‐『特に悪いことはしない』そんな気がして人形が彼に近づくのを見守った。

彼のなくなった足へと指を這わせる。銃で撃たれた時は平然としていた彼だが、さすがに痛いのか苦悶の表情を浮かべる。


「ごめん、ちょっとやらかしちゃった」


無理に笑う彼が心配なのか、顔をしばらく見つめている。それをみて心配にさせまいと人形の頭をなでる。

まるで兄だ‐『カップル』のように見え、とても微笑ましく思えた。

人形は何かを決心したかのようにうなずくと、彼のもう片方の足へと手を伸ばして両手でしっかりとつかみ・・・


そのまま片足を引き抜いた。


「「え?」」


まさかの行動に一瞬二人して固まる。


「ちょー!?」


四方山はあまりにも驚いて飛び上がる。

当のやらかした本人は忽然と姿を消し、そこに四方山のモノだった足がごろりと転がっていた。


「何やってるの! メアリー! 見てるんでしょメアリー――!」


そう言いながらきょろきょろと人形のことを探す四方山。

人の足を引き抜くなんてやっぱりあれはババアと同類の危険なものだったのだろうか・・・ん?

そこで、違和感に気が付く。

いま、四方山は飛び上がった?


両足がないのにどうやって?


「ねぇ、四方山」


「なんだよ・・・」


「その足なに?」


「え?」


彼のなくなったはずの足が何事もなかったかのようにそこにはあった。



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