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ソレデイイノ?

ホラーは終わった

こっくりさんの背中から無数の触手のような物が伸び、腹が縦に開き無数の牙が並ぶ口が露になった。

こっくりさんがゆっくりとこちらに触手を伸ばしてくる。とっさに指を離そうとするがくっついたかのように全くはなれない。


「くそっ!」


このまま食われるとか流石に最悪すぎる!何か手段はないのか!?


触手を先輩のほうに伸ばす。まずい、あの人全く見えてないんだ!

そして座る位置的に手が届くのは腰を抜かしている宮崎と見えてない風紀委員長。無理だな。

何かあいつを遠ざけられるものないのか?


そう思った瞬間、突然蝋燭台の火が激しく燃え上がりこっくりさんは囲いの外に追い出された。

何度も触手を伸ばそうとしてくるが、まるで壁があるかのように弾かれる。

先輩と風紀委員長にもあれの姿が見えるようになったらしく二人とも驚いた声をあげる。恐怖と歓喜、全く別方面だが・・・。


「なんだ、こいつは!」


そう言いながら俺を庇うように立ち塞がる風紀委員長。うん、真横にいたから庇ってくれようとしてるんだよな。自由に動けたらきっと女子を守ってくれたはず。うん、きっとそのはずだ。


「ほうほう、これがこっくりさんか」


感心する先輩。いや、少しは怖がれよ。

いや、蝋燭台で結界を張れるように準備していたくらいだし初めから予想していたのかもしれない。


しかし、あれをどうしたものか。

蝋燭は激しく燃えてるわりに減る速度は通常と変わらないが、攻撃される度に蝋燭台が激しく揺れていて長くは持ちそうにない。何か突破口がないのか?


「ふむ、焦ることはないよ四方山後輩。ちゃんと供え物は頼んである」


「頼んである?」


それはいったい。そう聞こうとした瞬間だった。

突然ガラスが割れるような音とともに真っ暗だった部屋に明かりが戻り、指が十円玉から離れた。


「きゃっ!?」


突然指が離れたことで早川が体勢を崩しろうそく代を巻き込んで転ぶ。

まずい。4時間くらいは持つと思ってたのに結界壊しやがった!?

こっくりさんが襲ってくるのを警戒したが、真っ暗な空間が消えたことに驚いているのかぎょろぎょろと周りを見回していて結界が壊れたことに気が付いていないようだ。

しかし、いったい誰があの空間を壊したのだ?


「おーい、宮北。頼まれていた稲荷寿司と酒持ってきたぞ」


「え、まじ?」


ついつい声に出してしまったのは許してほしい。だってこの状況を打開した人物がどう見ても脳筋オブ脳筋な見た目のマッチョ先生だからだ。

じつは早川や俺みたいに隠している何かがあって結界を壊してかっこよく「私の生徒に何用かね?」的なきょうキャラ感出して登場だったらわかる。でも、どう見ても「俺、また何かやっちゃいました?」的な顔で立ってるんですけど・・・。


「あーマッチョ先生? ドアよくあくきましたね?」


「ん? ああ、最近建付けが悪いからな。けど、少し力入れたら開かないこともないだろ」


あー・・・うん、これ完全に無意識なやつだ。後ろで先輩が笑いこらえてるし。

マッチョ先生はこっくりさんを見るとやれやれといった風に先輩のほうを見る。


「おいおい、突然稲荷寿司と日本酒を買って来いといわれたが、まさか狐にやるわけじゃないだろうな」


「ぶは!?」


あ、噴き出した。え、いや、あれを見て狐って言いきれちゃうの? 目いっぱいあるし、後ろで触手蠢いてるんですけど。


「いやはや、あれを見て狐とな? はたまた現実逃避か、あまり見えていないのかそれとも、ふふ・・・」


「ん? どう見ても狐だろ」


さすがにその言葉に怒ったのかこっくりさんは触手をマッチョ先生に振りかざす。が、


ペチン


動きと重量からは予想できないようなかわいい音が鳴る。


「あーもう、尻尾でじゃれついてくるんじゃない。くすぐったいじゃないか」


「ええ・・・」


マッチョ先生は片手で顔をかばうような動作をする。あれ、ほんとになんともなさそうだな。

こっくりさんは自分の攻撃が効かないのを見ると、マッチョ先生を触手で捕まえた。するとこっくりさんの体が縦に割れ、そこにはびっしりと並んだ尖った歯を持つ口になっていた。


「こらこら引っ張るんじゃない」


「ええ・・・」


引っ張りこもうとしているこっくりさんだが、全く動く様子のないマッチョ先生。マジでなんだこいつ。

さすがにあきらめたのか触手を引っ込めたかと思うと、目が突然光り出す。


「ん? こっちを見つめてどうした?」


何かしようとしたようだけれど、全く効いていないようだ。さすがに不憫だな・・・。


「ほら先生、お供え物を」


「本気でやるつもりなのか…」


そう言ってマッチョ先生は稲荷寿司と酒を並べる。

って、よく見たらスーパーの半額シール張ってあるし、そんな適当なもの渡して後々たたられても知らんぞ。

こっくりさんはそれを受け取るとあきらめたかのように粒子状になって消えていった。


「消えた!? はっ! まさか今までのはすべてホログラムで、ドッキリという奴だったのか!?」


その言葉にまた笑いだす。どうすんだこの状況・・・。


勇太「にしてもよくお酒なんて学校に持ち込めましたね」

マッチョ先生「生徒からの押収品だ。返すわけにもいかんかったしオカルト研究部で祭事の行事に参加すると言ったらあっさり許可が出た」

勇太「いいのかそれで・・・」


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