学園祭デート
年に二日間限定の学園祭。
高校の文化祭と違って、本格的なものが多い。何より十月はハロウィンがある為、大体一グループはハロウィンをモチーフにしてることがある。
去年は出し物をしてたけど、今年は光希と一緒に回る予定だ。
自宅で待ってると、インターホンが鳴った。光希だ。
私は戸締まりを確認してから、マンションの外まで降りた。
「小春ちゃん、おはよ」
「おはよ〜」
「去年は休学してたからさ、どんな感じか楽しみだなぁ」
大学の入口にある大きいエアアーチをくぐって、模擬店が立ち並ぶ道を通り過ぎた私たちは、先に室内の方に入った。
自然の風景の写真展や、美術サークルの作品展示。体験型だと、お化け屋敷やカジノ。飲食系ではメイドカフェと豚汁屋さんがあった。メイドカフェの甘いスイーツと、豚汁のしょっぱさ。偶然なんだろうけど、リピートさせる気の並びだった。メイドカフェの方なんて『豚汁持ち込みOK』って張り紙がついてたし。
「小春ちゃん、豚汁買ってからメイドカフェ入る?」
「そうだね」
私たちは豚汁の小を買ってからメイドカフェの方へ行った。始まったばかりだからか、人は少なかった。
「「「おかえりなさいませご主人様」」」
男性の声だった。全員女装しているらしい。
先にメニューを注文してから席に案内されるらしいので、とりあえずワッフルと飲み物を注文した。
席から見えた裏方の人たちは、皆豚汁を食べていたらしく、何杯かテーブルに置いてあった。
しばらくすると、女装メイドさんの一人がワッフルと飲み物を持ってきた。彼は手でハートを作り、
「一緒に美味しくなるおまじないをしてくださいっ♡美味しくなーれ、萌え萌えキュン♡」
笑顔ではあったが耳は赤くなっていた。
メイドさんが恥ずかしさの限界で立ち去った後、光希が無言でハートを作って、私のワッフルに向けていた。
「どうしたの……?」
「僕も小春ちゃんのにやりたい。だから上書きしてる」
無駄に真剣だった。
「ねぇ、豚汁冷めない内に食べちゃお?」
光希は満足したのか、「いただきます」と言って豚汁を食べ始めた。
私たちは豚汁とワッフルを完食して、メイドカフェを出た。
「どっちも美味しかったねぇ〜」
「今度僕が作るよ」
「本当? 楽しみだなぁ」
それから外の模擬店を巡って、ちょこちょこ買って食べていたからか、お腹いっぱいになった。
「そうだ小春ちゃん、今年はどうする?」
「何を?」
「ハロウィンだよ。毎年仮装してパーティしてたじゃん」
小さい頃から家族ぐるみで一緒にハロウィンパーティをしてて、高校三年生まで毎年しっかりやってた。
去年は光希が手術でいなかったからやってなかったっけ。
「てことは実家に帰るの?」
「小春ちゃん……二人っきりでやろうよ。大人になったんだしさ」
「へ?」
「ちゃんと仮装用意しといてね? 僕は料理とか準備するから」
「光希もちゃんと用意するよね?」
「するよ。するする」
「やらない人の言い方するじゃん……」
「本当だよ?」
怪しいな。
高校生二年生の時、今年も仮装するとか言ってたから、てっきり王道のやつやるのかなって思ったら、地味ハロウィンの方だったし。
しかも三年生の時もそれやられたし。
「ねー小春ちゃん、信じてよぉー」
「もう……分かったよ」
「やった。じゃあ当日の料理楽しみにしてて」




