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短冊に書く同じ願い

 七月七日は七夕。とは言っても今年は火曜日。

 私はその数日前、休日に行われる七夕祭りに来ていた。

 人の流れに沿って歩いているけど、混雑してるから、手を繋いでいないとはぐれちゃいそうだ。

「小春ちゃん、手を離さないでね」

 さすがに聞きなれた声を聞きながら、光希の手を握り返した。

 それだけなのに、光希は嬉しそうに笑った。

 周りを見ると、会場である商店街内の巨大な飾りがたくさん吊るされていた。いつも圧倒されてしまう。

「小春ちゃん、暑くない? 扇風機あるよ」

 そう言って光希は、冷却プレート付きのハンディファンを取り出し、私に風が行くようにしてくれた。

「ありがとう……涼しい」

「汗も拭いてあげるね」

「さりげない……」

「熱中症になってほしくないからね」

 昔からこんな調子だったけど、高校生くらいの頃は、自分を疎かにした光希が倒れちゃったこともあったっけ。

「光希はちゃんと対策してる?」

「もちろん。僕が倒れたら小春ちゃん怒っちゃうでしょ? 怒った顔も可愛かったけど」

 当時の説教が効いているのか、今は自分の体調も徹底してるみたい。

「小春ちゃん、あそこに短冊かけるとこあるよ。人少ないみたいだし行ってみよ」

 光希は手を軽く引っ張って、人の流れから外れた。

「私、短冊書くの久々かも」

「僕も」

「何書こうかな?」

「僕は、『大切な人と一緒にいられますように』って書く」

「大切な人……良いなぁ、それ」

「小春ちゃんも同じこと書いて良いよ」

「良いの? じゃあ遠慮なく……」

 光希と同じ願い事を書いて、短冊を吊るした。光希がいつもよりご機嫌なのは気のせいかな?


 人の流れに戻って、屋台を見て回ることにした私たちは、また手を繋いで歩いていた。

 年々屋台の種類が増えてて、いつも迷ってしまう。

「小春ちゃん、食べたいのある?」

「迷ってる……」

「じゃあ、たこ焼き一緒に食べる?」

「うん……!」

 たこ焼きの屋台に近づいて、注文し、私が財布を出そうとすると、光希にさりげなく抑えられ、光希が支払った。

 受け取ってからまた人の流れから外れた。

 光希が割り箸でたこ焼きを半分に割ると、ふわっと湯気が溢れ出してきた。

「熱いから気をつけて食べてね」

 私は割り箸を受け取り、食べようとしたが、

「熱っ……」

「だから言ったのに〜」

 光希は割り箸で、半分に割れたたこ焼きを取り、ふーっ、と冷ましてから、私の口元に持ってきた。

「はい、あーん」

「ちょっと光希!」

「大丈夫だよ」

「何が……!?」

 どうやら光希は譲る気がないみたいだった。

 私は渋々口を開けて食べた。

「ん、美味しい」

 目の前の光希はご満悦そうだった。

 小さい頃からこんな感じだったっけ。何故か食べさせたがる。

 すると突然光希が指で、私の頬をつついてきた。

「可愛い」

 本当に、ズルい。

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