何でもする
中学2年生になった頃、私は初めて彼氏が出来た。
光希に報告すると、返ってきたのは、
「その男大丈夫?」
「大丈夫だよ。去年クラス一緒だったし、一応分かってるはずだけど……」
「そうだ。彼が浮気しないか試してきてあげようか?」
「そんなこと出来るの?」
「小春ちゃんのために、何でもするよ」
そう言って、光希はいつも通り笑った。
数日後、私は初めてできた彼氏と別れた。
理由は浮気。彼に他に好きな人ができたと言われたから。でもその相手というのは、メイクして可愛く着飾った光希だった。
彼と別れた日、メイクを落とした光希が私の家まで来て、慰めに来てくれた。
「あんな男捨てて正解だよ」
「うん、そうだね」
「実は告られたんけど、普通に断ってきた」
光希は私の手を優しく握った。
「だって、小春ちゃんとの時間がなくなるのは嫌だもん」
そして私の頭を撫でながら、
「小春ちゃんが幸せでいられるなら、僕は何でもするからね」
その後私は、告白されたら、光希に浮気をしないか確認してきてもらって、ちゃんとした人を見つけるということをくりかえした。
見事に皆揺らいで行った。
光希は、家で泣いてる私に、いつも寄り添って抱きしめてくれた。
そんな光希についつい甘えてしまい、申し訳なくなった私は、
「いつもごめんね」
「なんで小春ちゃんが謝るの?」
「だって、いつも光希に甘えてばっかりで……」
「そんなことないよ。むしろもっと甘えてよ」
「良いの……?」
「うん、全然構わないよ」
そう言って光希は、腕の中の私に、
「小春ちゃんのために何でもするからね」
そう言って、頭を撫でてくれた。
その言葉が、やけに安心できた。
***
小春ちゃんに彼氏ができたって聞いた時、僕はショックを受けた。
誰が僕の小春ちゃんに手を出したのか、許せなかった。
なんとか絞り出せた言葉は、
「その男大丈夫?」
「大丈夫だよ。去年クラス一緒だったし、一応分かってるはずだけど……」
小春ちゃんの隣は僕なのに。なんとか別れさせないと。
「そうだ。彼が浮気しないか試してきてあげようか?」
「そんなこと出来るの?」
当たり前でしょ?
「小春ちゃんのために、何でもするよ」
僕は早速、メイクをして彼に接触した。
本当に気持ちが悪かった。
こんな奴が小春ちゃんに触れてるとか、許せない。
彼を誘惑して好意を抱かせるってのは難しいかもって思ってたけど、案外いけるもんだね。簡単に振り向いた。
やっぱり大した男じゃない。
これで害虫は退治されて、平和が戻ってきた……って思ったけど、次から次へと小春ちゃんに告白する奴らが現れた。
小春ちゃんを選ぶってセンスは良いけど、それとこれとは別。小春ちゃんに触れて良いのは僕だけなんだから。
でもある日、困った奴が現れた。何度誘惑しても揺るがない。
小春ちゃんに一途で真っ直ぐな男。きっとお似合いなんだろう。
でもそんなこと、僕は許さない。
さて、どう退治しようか。




