表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/44

1-7 テンプレ君実験する

 今日も日の出とともに目が覚めた。正直ロータスに来てから日課のリビドーの爆発を控えているため寂しがり屋のMy sonがRising sonと化している。


 後の処理に困るため控えていたが暴発する前になんとかせねば。奥さんに栗の花の香を嗅がれたらと思うとかえってRisingしてしまう……いやいや気まずい事この上ない状況になってしまう。チーレムメイトと言う名の奴隷はまだ自分の事もままならない状況では迎え入れる事ができない。取り敢えずプロの方のお世話になるしかないな、その辺のリサーチも必要だな。とにもかくにもRisingなsonをなだめ身支度を整え食事のために食堂へおりる。


 食堂では奥さんが今日も井戸から水を運びこんでいた。


「おはようございます。」


 うっすら汗ばんで軽く上気した優しい笑みであいさつされると、先程の事もあってか再びMy sonがRisingしてしまう。


「おっ、おはようございます。」


 ヤバイと焦りながらあいさつしたが、声が上ずりそうになるのを抑えるため変に大きな声になってしまった。


「うふっ、朝からお元気ですね。お食事にいたしますか?」


「はい、よろしくお願いします。」


 そうして奥さんは水を持って厨房へと食事の用意しに入って行った。お元気ってどういう意味だ、もう完全にバレてたよね。この世界の服は亜麻布製で緩く作ってあるからテント張ったら丸わかりだもんな。いや気まずいわぁ、もうこういう時は変に気にするとおかしな事になるから自然体でいこう。


 俺は席に着いて食事を待つ、すぐに奥さんが食事を用意してくれた。今朝のメニューはミートパイとオニオンスープ、マッシュポテトだ。舌鼓をうっていると主人が仕入れから戻ってきた。悪い事したわけじゃないが若干気まずい。


「おはようさん、疲れは取れたみたいだな。」


「おはようございます。昨夜は疲れてしまって話しが中途半端になってしって申し訳ありませんでした。」


「いやいや、お客さんなんだからそんな事気にしなさんな。」


「そう言えば昨夜話そうと思って忘れていたんですがお願いがあったんでした。」


「んっ? お願い? なんかあったか?」


「いや、たいした事じゃないんです。実はお酒なんですけど、お金は先払いでお支払いするので残りの日数分もうちょっと上等な物を用意していただきたいのです。せっかく料理が美味しいのにもったいないなと思っていて。」


 そう言うと俺は金貨2枚を渡した。


「自分で用意できれば良いのですけどよく分らないし、料理を作る方の方がきっといいお酒が選べると思うんです。もちろん多めに利益を取っていただいて構いませんしご夫婦の分も含めて仕入れていただいて結構です、おつりは必要ありませんので。」


「酒の事はわかった、取り敢えず金は預かっておくがつりはちゃんと返すよ。しかし本当に良いとこの御曹司かなんかなのか?」


「いやそんな立派なものじゃありませんよ。辺鄙な田舎からちょっと小金ができたので一旗掲げようと飛び出したただの身の程知らずです。まだ自分に何ができるかも分りませんし今後の見通しも付いていないのですから。ちなみに今日もちょっと部屋にこもります、お酒楽しみにしていますよ。」


 再び適当な答えでごまかし話を切り上げると部屋に戻った。





 部屋に戻ると早速昨日用意した材料で神の手の実験を始める。


 まずは普通の金属から試してみよう。アイテムボックスから鉄の塊を取り出す。さあどうすれば神の手とやらは使えるのかな? 試しにその鉄を手に持ち鉄球へ変形するイメージして見ると淡い光を放ち変形し真円の鉄球となった。続けて俺はその鉄球を手にしたままスプリング形状をイメージした。するとまた淡い光を放ち形を変えイメージ通りのスプリング形状になった。


 さらに実験を重ねる、今度はサイズを変えてみよう。先程より幾分小さなスプリングをイメージすると淡く光ったのちに分裂しイメージ通りのサイズのスプリングと鉄の塊に別れた。今度は別れた塊と一緒にかなり大きなスプリングをイメージするが最初にできた物と同じ物ができ上がる。つまり質量自体は変えられないためイメージが実物の質量を超えてしまうと今ある質量のままでイメージの物を作り出す。またサイズなどの明確なイメージが無ければこれもまた今ある質量そのままでイメージの物を作り出す。反対に今ある質量よりも小さい物を明確にイメージできれば必要な質量で作り出され余剰分は分離する。


 それでは金属以外の物で試してみよう。最初、布は布状から革は革状からの変化ができなかった。だが糸の実験をしてみてその自由度の高さに気づいた後、布の自由度も上がった。それは布が糸の集合体である事に気付く事ができ、イメージの幅が広がったためだ。革も皮を試せばその自由が上がるのかもしれない。木材は原料ではあるがイメージがしきれず板や棒を取り出し曲げたりするに留まりそれ以上の変形はできなかった。つまりこの能力は物質を変質させることはできないがイメージの限り自由に加工を行える能力の様だ。


 ひととおりの加工実験を終え、今度は物質の抽出及び合成と分離ができないか試してみよう。まずは抽出実験のため、鉱石から金属が取り出せないか試す。鉄鉱石に手をのせ鉄を抽出するイメージをするとシルバーに輝く金属が取り出せた、鑑定すると純鉄と出ている。


 抽出が成功したので今度は合成と分離を試す。今度は木炭を取り出しその木炭と純鉄に手を置き純鉄に炭素を流し込むようにイメージする。すると鑑定で表示される純鉄の表示が純鉄から鋼・銑鉄と変化していきおおよそながら混ざり具合も把握できた。逆に炭素を抜いていくイメージをすると純鉄へ戻っていき炭素は黒い粉末として分離できた。


 その後取り敢えず鋼を作るが品質が悪い、熱変化による調質とかしないと駄目なのかな。そう思い熱処理のイメージをすると魔力が持っていかれるのがわかる、これは熱処理に必要なエネルギーの代替えとして魔力を使用している感じだ。鑑定しながら調質していくと品質が最高品質へと変わる。これ、魔力を加工のエネルギーとして使用すれば作れるものの幅が相当広がるんじゃないか? そう思い水を取り出し氷になるイメージをするとイメージ通りの氷になった、もう何でもアリだね。いや神の手パネェわ、イメージの力は無限大ってテンプレそのものじゃん。


 ここまでの実験の結果、神の手の力はチート以外の何物でもないという事が分った。俺にはさらに神の目と異世界知識という力があるが、これらが連携した時の相乗効果は凄まじくまさに神の力そのものと言える。チーレム一直線待った無しだなオイ! 





 さて、ひととおり神の手の実験が終わったので次に譲ってもらった希少金属を鑑定して見よう。


 まずはミスリルを取り出し鑑定でじっくり見てみるとミスリル鋼となっている。さらに詳しく見てみると、銀と魔石の合金で魔力通りが非常に良く親和性が高い金属となっている、ミスリルは合金なのか? もしかして作れるんじゃないか? そう思い立ちアイテムボックス内に魔石が無いか探してみるとちゃんとあったので早速取り出す。さらに銀鉱石を取り出し銀を抽出し、さらに魔石と合成してみる。合成の際なぜか魔力を持って行かれるが大した量ではないので気にしない、鑑定では純銀からミスリル鋼へとしっかり変っていた。ミスリルできちゃったよ、まあ神の手と神の目の力の前では驚きもさほどないがな。


 俺は他の希少金属も見てみる事にした。それらはタングステンやモリブデンなどといった元の世界では聞き馴染みのあるレアメタルと言われていた鉱石がほとんどだった、ただなかには聖銀なんてお笑い金属もあった。聖銀がなぜお笑いかと言うと、これ名前は立派だが銀と蓄光石の合金で特性は魔力を流すと光るだけ。恐らく光って神秘的とか言う理由で教会辺りが崇めたもんだからシンボルとして聖銀なんて名前になったんじゃないかと思われる。


 希少金属の確認も終わり最後の大仕事に取り掛かろう。アイテムボックスから折れた魔剣を取り出し再生を試みる。

 折れた部分の修復をイメージすると突然魔力をゴッソリ持って行かれる。危うく意識を失いそうになったが何とか踏みとどまる、何が起きたんだ。魔力切れの倦怠感の中魔剣を見てみると折れていたものがぱっと見はくっついてはいる様だ、すかさず鑑定すると折れた魔剣から修復中の魔剣『魂喰い』に変わったがそれ以上は分らなかった。修復中って事は現状くっついただけという事だろう、魔力が足りなかったせいか神の手の力をもってしても修復できないのかはわからないが簡単には治せないみたいだな。

 どういう原理で魔力が引っ張られたのか分らんがまあ俺程度の魔力じゃあ無理よって事かな? 今はさすがに魔力がカツカツになっちゃったから無理だが取り敢えずくっつきはしたみたいだしまた余裕のある時に試してみるか。

 しかし魔剣『魂喰い』とは随分物騒な名前だな、詳細も未だ不明だし何なんだろうな。


 兎にも角にも今はこの半端ない倦怠感を何とかしたい、魔力が不足しているって事は飯でも食えば多少マシになるかも? そう思いフラフラと食堂へおりていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ