3-5 テンプレ君式魔道具?
毎々お読みいただきまことにありがとうございます。
更新遅くなって申し訳ありません。
今回ちょっと短めです。
「ユーゴ兄さんは人族じゃなかったの?」
どう誤魔化そうか必死で考えるが全く思いつかない。そもそも目の前で人族ではありえないという事をしでかしておいて誤魔化せるわけがない。これは知らなかったことにして論点をすり替えてしまおう。
「私も驚きだよ、自分ではずっと人だと思ってたけど……どうなんだろう。もしかしたら私というより故郷のルーツが人族ではなく別のルーツなのかもしれないな。」
「ああそうか、もしかしたらそうなのかもしれない。ユーゴ兄さんの故郷の文化はあまりにも独特だしね。」
「そもそも種族どうこうなんて疑った事がなかったから考えてもみなかったが、そういう可能性もあるんだろうな。まあ、私だけの特異体質なのかもしれないしけどね。」
「特異体質なんてことでこんな事が起こるのかな?ユーゴ兄さんの変人ぶりから見るに否定はできないけどね。」
「人を珍獣扱いするのはやめて欲しいな、ただ別にどうという問題ではないと思うけど。種族がなんであろうと私は私だし。」
「それもそうだね、ユーゴ兄さんはユーゴ兄さんだからね。」
「しかしそれは人族の神の教会でする話しではないと思うがな。化けてる様子は見受けられないがお前は一体何者だ?」
うーん、上手く論点のすり替えには乗ってはこないか。こうなったら知らぬ存ぜぬで押し通すしかない。
「私は木漏れ日亭を拠点に商売をしている者です。遠く故郷より、訳あって旅に出てこの街にたどり着きました。自分が人族ではなくなんなのかは分かりません、今話しをしていたように私も知らなかった事ですから。」
「自分の種族を知らないなどと言う荒唐無稽な話しを信じろと?」
「ええ、自分で分かっていないことを説明することはできませんから。ただ、こんな事になるかもしれないのにわざわざやって来るほど阿呆ではありませんよ。」
「まあ確かに、わざわざその証明をするような事をしに来るわけがないしな……、しかし何か企みがあった可能性も……」
ジジイはブツブツと独り言を呟きながら難しい顔をして何事か考えている。しばらく眺めていると唐突に口を開く。
「なんかもうめんどくさい、何者でもいいからお前ら帰れ。」
「「えっ?」」
「これ以上考えても無駄に疲れるしめんどくさいからさっさと帰れと言っておるのだ。他のゴチャゴチャ言い出すやつが来るとさらに厄介な事になってめんどくさいですまなくなりそうだし。」
「わっ、わかりました。それじゃあどうもありがとうございました。」
「もう来んなよ、ワシは厄介事なぞゴメンだからな。」
俺たちはソッと教会を後にする。結局親和性はわかんなかったな。まあしょうがないか、いずれ他に調べる方法が分かったらその時調べよう。
しかしなかなか食えないジジイだった、ただ口は悪いが性根が腐ってるというのではなさそうだったが。
何にせよ俺にとって教会は鬼門みたいだな、今後近づくのはやめておこう。
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教会を出た俺たちは一度木漏れ日亭へと戻り、コレットさんを連れて工房へと向かった。午後から来るバンジャマンさんと奴隷たちに美味い飯を食わせてやろうと考えた為だ。
工房に着くとコレットさんは早速料理にとりかかった。久しぶりにバンジャマンさんに会えるもんだからかなり気合が入ってるな。
エディは一人で勉強するようなので俺は魔法陣の本を借りて作業場へこもることにした。ミスリル鋼で魔法陣を作れるか試すためだ。
作業場へ入りミスリル鋼を取り出すと本を見ながら水を出す魔法陣を作ってみた。ちゃんと発動するんだろうか? 試しに魔力を込めるとちゃんと発動した。しかも魔力の消費はそんなに多くない。
今度は熱を上げる魔法陣を作ってみよう、ただこれは応用魔法のため書き込みがかなり複雑だ。とりあえず大きめに作って縮められるか試したらやはり普通にできてしまった。しかし、効果はサイズに比例して弱まるようだ。
ならば筒状にしたらどうなるだろう? 普通の魔法陣のように描いているのではなくミスリル鋼で作っているからこそ立体にする事が可能だ、試しに作ってみると予想通り効果は上がった。
いや神の手パねぇわ、本当に何でもありだな。
今度は魔法陣を組み合わせられないか試してみる。これができれば魔力による給湯器やエアコンなどが作れる為、生活環境の大幅な向上が図れる。
早速先程作った水を出す魔法陣と組み合わせて魔力を込めてみると……一つの魔法陣しか発動しなかった。まあ、そんなにあまくはないか。魔道具はどうやって魔法陣を繫いでいるんだろうか? あとでエディに詳しく聞いておこう。
とりあえずいろんな魔法陣を試しに作って遊んでいると扉をノックされた。
「ユーゴ兄さん、バンジャマンさんたちが来たよ。」
「わかった、今行くよ。」
きたか、我が愛しのチーレムメイト(候補)!
昂ぶる気持ちを抑えて作業場を後にする。
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ダイニングへ入るとバンジャマンさんが一人で待っていた。なんで一人なんだ?
「ユーゴさん、お邪魔しています。」
「バンジャマンさん、いらっしゃい。奴隷を連れてくるというお話でしたがお一人ですか?」
「いや連れては来たのですが、その……あまりに汚れが酷いので新築の建物に入れるのはどうしたものかと……」
「バンジャマンさん、そんなくだらないことに気を使わないでください。さあさあ外に待たせてはかわいそうです、すぐに呼んであげてください。」
「やはりユーゴさんは素晴らしい方だ、ですが本当に結構酷いので入る前に湯浴みぐらいはさせたほうがよろしいかと思います。今コレットに湯を頼みましたので少しお待ち下さい。」
「そうですか、ではお待ちしましょう。あっ、外で湯浴みするなら女性もおりますしテントを使ってください。倉庫にありますので、それからこの石鹸も使わせてください。それから服も汚れてるでしょうし新しい物を用意しますよ。」
そう言って折りたたみ式テントに石鹸と新しい服をバンジャマンさんへ渡す
「ありがとうございます、みんな喜ぶと思います。」
その後、それらのものと台車に乗せた湯を持ってバンジャマンさんは表へ出て行った。
俺はワクワクしながらチーレムメイト(候補)を含めたみんなが来るのを待っているとエディが訝しげな顔で訪ねてくる。
「ユーゴ兄さん、何をそんなにソワソワしてるの?」
「うっ……いや、そのーあれだ。新しい仲間を迎えるわけじゃないか、どんな者たちか気になるじゃないか。」
「それはそうだけど……なんかユーゴ兄さんのそれ、ちょっと違うように感じるんだよな。なんかニヤニヤしてるし、変に気をまわしているようにも感じる。」
ギクッ! エディのやつ、変に鋭いな。俺顔緩んでたかな?顔をキッと引き締めそんな事はないと否定しておく。
しばらく待つとバンジャマンがみんなを連れてリビングへ入ってきた。
さあ、運命のご対面だ!




