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15 本気の告白に向けて(アシュリー視点)

「……あのさ、アシュリー」

「ふぁい?」

「城下町の見回り終わってから、なんでそんなにしまりのない顔? エマがらみでいいことあったにしても、だいぶ顔のパーツが溶けてる」

「仕方ないでしょー? ちっちゃく手を振り返してくれたエマちゃんが可愛くて、思い出すとにやけちゃうんだもん」

「だもんって言われても……。とりあえず、今度こそ進展したって僕は思っていいの?」

「進展っていうか……ちょっとだけ、エマちゃんの感情が動いてる気がしてんのよ。そこへ強引に突っ込むつもりはなくても、俺って男を披露するチャンス到来はしたのかなって」


 差し入れとお礼の交換や、今日の出来事をアレクに軽く説明して、今夜についても打ち明ける。


「改めて、本気の告白するよ。すっごいベタで、花束なんて買っちゃった。エマちゃんのイメージは変わらず野花でも、こういう時ぐらいね。あと、渡し損ねたオルゴールも。ベタだよねー」

「相手はエマだ。回りくどいより、きっといい。……伝わるといいね、今度こそ君の本気が。頑張って」

「頑張るけど、すっごい緊張もしてんのっ。なんて言っていいのか絶賛迷い中!」

「ごめん。それは僕にもアドバイス出来ない……」

「うん、知ってる。逆の立場なら、俺もアドバイス出来ない。こればっかりは、自分で決めなきゃね」

「アシュリーはかっこいいね。エマも、君のそういう部分に気づいてくれたのかもよ?」

「俺、駄目なとこばっか見せてるのになぁ」

「じゃあ、駄目な男が好きなのかも」

「おーいっ」

「あははっ、ごめんごめん。でも、だったら今日はもういいよ。自分の部屋で、今夜のための準備しておいで」

「いや、さすがにそれはね。仕事と私事わたくしごとを混同させるのは好きじゃない。エマちゃんも、そういうの嫌いだと思う」

「……そうだったね、ごめん」

「気持ちは嬉しいよー。ぅんでもそういうわけなので、はい! お前も仕事頑張って! 今日は全体的に、いつもより巻きで行くよ巻きで!」

「ええっ!? なんで僕まで!?」

「俺ひとりが先にあがったら、お前もここぞとばかりにひとりで出歩いちゃうからでしょうが!」

「うわぁ……藪蛇やぶへびだった」


 なんて言いつつも、俺を応援したいからとアレクは本当に仕事を頑張ってくれて。おかげで、いつもより早く秘密基地へたどり着けていた。

 まずは紙袋と、水に差している小さな花束を部屋の隅にある木箱へ隠す。


「はー……緊張するっ」


 心臓の上に手を当てれば、ドッドッドッと、全速力した後みたいな音を立てていた。

 告白される経験は、何度もある。

 そっちの受け答えは慣れたもんでも、こんなの初めてなんだ。


(大丈夫。手順はいたって簡単。花束を差し出して、エマちゃんが好きです、俺の伴侶になってくださいって言えばいいだけで……)


 君が花束を受け取ってくれれば、俺はきっと感極まって泣いちゃうな。

 フラれても泣くけど、それは考えないようにしたかった。今だけは、期待と希望で心を満たしたかった。


「伴侶になる約束を交わせたら、君とデートしたいなぁ。馬で遠乗りとか、市場いちばで買い物とか……」


 お互いの休みが合えば、一日中ベッドでいちゃいちゃしたいなーとか。

 お腹が空いたらご飯を食べて、繋がりたいと君が望めば、俺はいくらでも頑張るし。キスだけがいいって言うなら、ずーっと何度でもキスを贈るよ。

 ベッドの上で、チェスとかしてもいいな。負けたほうが言うことを聞くって賭けたら、君は何を願うだろう。


(なんでもいいよ。俺、君の願いならなんでも叶えてあげる)


 そうして一生、君を守るから。どうかお願い、俺のことも守ってよ。

 俺の伴侶であり、俺だけの特別になって。俺も、君だけの特別になるからさ。


(ま、そこはもうとっくに誓いを立ててるか)


 国のため、アレクのため、民のため俺は強くなると決めた。

 君という存在も現れて、俺はもっと強くなりたいと望んだ。

 剣を取り、一振り一振りを今まで以上真剣に振るほどに。


(……来た)


 今夜は気配を消してないおかげで、すぐに気づく。

 緊張もここに極まれり、だ。

 その緊張も斬る気持ちで剣を振る音に合わせ、コンコン、木戸が叩かれた――。

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