第十五話 大宴会~盛り上がれば良いと言うわけではない!~
「皆! 盛り上がってるかぁ!?」
「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」
「俺達はギルドから依頼を受けてここ来たわけだが、無事に達成された! 盗賊は捕縛され、おまけで出てきたドラゴンも討伐してやったぜ!!」
「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」
「キャー!!」「カッコイイ!!」「ドラゴンスレイヤー!!」「結婚してー!!」
クラウディア、レミリア、アインカイン親子、レイラ、ヤオが里の広場に足を運ぶと、お立ち台の様な場所で斬波が樽ジョッキを片手に何かを叫んでいた。里のエルフ達も斬波を囲んで何やら盛り上がっている。
時折エルフの女の子達から黄色い歓声が上がるのでほんの一瞬だけこめかみに青筋を立てたクラウディアだが、すぐさま平静を取り戻して斬波に話しかけた。
「随分な盛り上がりだな、シバ」
「んっふっふっふっふ~♪ ドラゴンの肉は美味いらしいじゃねぇか、皆楽しみなんだよ。まぁそう言う俺もだがな♪」
今回の宴では優之介が倒したワームドラゴンの肉が盛大に振舞われる事になっている。
優之介と斬波もラノベでドラゴン肉は美味しいと一文を読んだ事があり、今日そのドラゴン肉を食せる機会がやって来たのでテンションが爆上がりだ。
「そうか……、確かにドラゴン肉は私もそう食べられるものではない。それを聞いたら私も少し楽しみになってきたぞ♪」
「ふふふ、そうか……。なら今宵は王国のお貴族様でもなかなか食べられない、ドラゴン肉の大盤振る舞いだぜぇ!!」
「「「「「いえぇぇぇぇぇぇい!!」」」」」
「はっはっは! 皆元気そうだな」
「皆さ~ん! 第一波の焼き上がりですよーー!!」
優之介は調理されたドラゴン肉を皆の前に運び、ドンと置くと再び歓声が上がる、皆食べたくてしょうがないようだ。
ドラゴン肉食べたさに皆がうずうずする中、序盤でエルフ達を盛り上げていた斬波がそのまま乾杯の音頭を取る事になったのだが……。
「あ~飲み物が全員に行き渡ったところで、アースカイ王国近衛騎士団副団長のクラウディアからご挨拶と乾杯の音頭があります!」
「なっ!?」
「「「「「…………」」」」」
斬波がいきなり「クラウディアからご挨拶があります」なんて言うものだから、不意に名指しされた当の本人はぎょっ!?と驚き、それと同時に全員の視線が集まったことで更に固まってしまった。
「シバ! いきなりなんて事を言い出すんだ! 挨拶など用意してないぞ!?」
「~~~~♪」
「貴様……!!」
クラウディアはすぐさま抗議するが、斬波はそっぽを向いて口笛を吹いている。優之介とレミリアは苦笑いでいるが、集団の意識がクラウディアに向いている以上どうすることもできない。
斬波の無茶ぶりに腹を立てたクラウディアだが覚悟を決めたのか、大きく息を吸い込み静かに語りだした。
「……では、先ず此度の一件、王国の人間として謝罪させていただきたく思う。本来ならばもっと早く解決しなければならないところを「固いぞー」…………」
「遅くなってしまって申し訳ない、これからは冒険者ギルドと密に情報交換して行こうと思っている。さて、これ以上はせっかくの料理が冷めてしまうからな。それでは「盛り上がりが薄いぞー」…………」
クラウディアの真面目なご挨拶に物足りなさを感じているのか、斬波がところところ野次を飛ばしてくる。これには優之介とレミリアだけでなくエルフ達も苦笑いだ。
クラウディアは恥ずかしさで顔を赤くしてこらえた後、ギギギ……と錆び付いたロボットのような動きで固い笑顔を作ると「約一名から『盛り上がりが足りない』と言われてしまったなぁ。なぁシバ、一応私はこの国の名誉子爵であると同時に公爵令嬢でもあるのだぞ? 貴族たるこの私をおちょくるとは良い度胸だ。この借りはこの場で返してやろう♪」と恨み言を言った後、目を閉じて大きく深呼吸して、再び目を開けるとニヤッと笑って……。
「そして此度の一件で私は確信した。ドラゴンと一対一で戦って勝つ武力と、代々知識を重んじる我がローゼン家を遥かに凌ぐ知識量を持つシバ・カナイ、貴様は……いや、貴方は私の婿に相応しい人物と見た…………」
「ちょ、クラウディアさん!?」「クラウ様……!?」
「婿だぁ……!?」
「アースカイ王国、近衛騎士団副団長、クラウディア・フォン・ローゼン名誉子爵はシバ・カナイ氏に対し、正式に結婚を申し込む!!」
「「「ちょお!?」」」
「今宵は盛大に祝おう! 乾杯!!」
「「「「「乾~~杯~~~!!」」」」」
「「「ちょおおおお!?」」」
クラウディアがなんと斬波に対し結婚を申し込む事を宣言し、それを乾杯の音頭にしてしまった。
斬波は勿論のこと、優之介とレミリアも止めようとしたが時すでに遅く、エルフ達が乾杯し宴会が始まってしまったので、クラウディアの宣言は見事に押し通ったのだ。
「どうだ? 大いに盛り上がっただろう?」
「盛り上がりすぎだバーロー……」
この後、斬波は宴会場の端の方で静かにドラゴン肉を味わおうとしたのだが、クラウディアのあのような宣言を聞いたエルフ達がそれを良しとするはずがなく、斬波はエルフの女の子達に捕まってはクラウディアの隣に連行され、出会いやら何やら質問攻めに会うのだった。
「お二人出会いはどんな感じだったのですか?」
「私が初めて彼と会ったのは王城の中だ。第一印象は腹黒さを持っている危険な奴かと思っていたが、話している内にとても面白いし、有している知識も豊富である事がわかってな、そして他人を思いやれる優しい奴だともわかった。まぁここまでなら今までに出会った殿方の中には何人かいたのだが斬波はそれだけじゃない、斬波は更に武力もある。当時は手加減をしていたとは言え、戦いにて見事私に勝ってみせた。感動した、ようやく見つけたぞと心から思えたのだ♪」
「「「キャーー!!」」」
クラウディアが斬波との出会いから彼に対する印象を語ると、エルフの女の子達は黄色い歓声を上げながら身体をくねくねさせている。エルフの女の子は恋バナが大好きなようだ。
エルフの女の子達がキャーキャー言う中、斬波とクラウディアはドラゴン肉をつまみに酒を楽しんでいる。斬波の周りは女の子だらけなので少し窮屈そうだ。
「ほう? あの時は手加減していたのか。だったら今度は本気で手合わせしてみないか? これで俺が負けたら君のお眼鏡に叶わなくなるわけだ」
「一人でドラゴンを討伐した奴が何を言う? 私は単騎でオーガを討伐する事は出来てもドラゴンは出来ない、騎士達十数人掛りでやっとだ。それをお前は一人でやってのけた、その時点で私より強いのは明白だろう!」
クラウディアの話を聴いてエルフ達はうんうんと腕を組んで頷いている。
「斬波、どうしてお前はそう私を遠ざける? まだ結婚はしたくないのか? 以前二十歳で結婚は早いと言っていたが……」
「そう言う問題じゃない、身分の問題でもない」
「ではせめて婚約だけでもダメなのか?」
クラウディアは寂しげに言うが、斬波は首を縦には振らなかった。
「申し訳ないがそれもダメだ、友人としての交友関係は大歓迎だが結婚を前提とした交際は遠慮する。これは相手が誰であってもだ」
そう言うと斬波はドラゴン肉に豪快にかぶりつき、酒をゴクゴクと飲んで一息つくと真剣な顔をして呟いた。
「理由は後で聞いてくれれば話す、ここじゃ言えない。ただこれだけは言っておく、クラウディア、君みたいな容姿性格共に美人な君に『結婚を申し込む』と言われて凄ぇ嬉しい。こんな俺でいいのか? って思うくらいだ。……さっきの酒で一気に酔いが回ったなぁ…………、悪いけどもう寝るわ。おやすみ」
そう言うと斬波はドラゴン肉が盛られた木皿を持って少しふらついた足取りで、アインの家に戻っていってしまった。
「『凄ぇ嬉しい』か、ふふ♪ 私のアプローチも無駄ではなかったと言う事だな♪」
「後一息ですよ騎士様!」「ファイトー!!」
「よぉーし! 今日は飲むぞ!!礼儀作法等気にするものか!」
「「「FOOOOOOOOOOO!!」」」
斬波の言葉を聞いてクラウディアの表情が少しだけ綻びた。周りのエルフ達も後一歩とクラウディアの事を応援していて、この里に来た時よりも雰囲気はずっと明るかった。
「あはは、向こうはだいぶはっちゃけてるようだね、レミィ」
「ふふふ、あんなにはしゃいでいるクラウ様は珍しいですね♪ それよりもユウノスケさん?」
「どうしたの?」
「私と言うものがありながら両脇にレイラさんとヤオさんを侍らせるなんてどういう事ですか?」
「…………」
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