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魔女と哲人王子  作者: フジリナ
第三部・故郷での日々

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89/90

実家にて

フジリナです。

家族の都合もあり、更新がしばらくできませんでした。

またお会いできて嬉しいです。

 僕は、カリフォルニアに帰省した理由を、父方の祖父のアルバートにのみ打ち明けた。

「実は、オレの母校の小学校で、魔術的・国防的特異点が見つかってね。CIAのレーダーチャートにはっきり映っててさ。それで、教員補助をしながら、シリコンバレーのとある研究棟で、シュミレーションをしたり、空き教室の黒板を使って演算式を書き出したりして、その特異点を明らかにしていきたいんだ。」

 そう、その正体は調査をしていくうちにわかるだろうけれど、祖父は、

「そうか。わかった。ヤスコだとか、ヘンリーにはだまっておけよな。」と打ち明けたのだ。

 

 でも。

 祖父の名前である、アルバートはレディ・クラリス曰く、「アルバート公から取ったもの」とそういうことらしい。

 だが、父の名前の「ヘンリー」に至っては、やはりレディ・クラリスも祖父も話したがらない。なぜかというと、祖父の上司だった、キッシンジャー先生の名前がヘンリーだという名前だったことや、レディ・クラリスの父親も同じ名前だったことだ。だが、キッシンジャー先生は実際、賛否が激しいのだが、ヒトラーみたいな露骨なアレルギー反応は今のところないか、僕がただ単に知らないだけなのか。

 だが、キッシンジャー先生自身が、ドイツ系ユダヤ人であることもあり、確かに落ち度はあるのかもしれないが…。という複雑な状況なのだ。

 問題は、レディ・クラリスの父親のヘンリー8世だ。彼は、めちゃくちゃイギリス史上、私的な理由で血痕と離婚を繰り返して、なおかつカトリック教会を裏切った超嫌われ者なのだし、娘たちの気持ちを、蹂躙した男なのだ。

「おばあちゃんが話したがらないのも、うなずくな。」と僕。

 

 僕は、二階の祖父の書斎に潜入した。祖父の書斎に潜入して、本を読み耽るクセは、小さい頃から変わらない。この日は、だいぶ議会が長引いているのかわからないけれど、祖父の帰りが遅いということもあり、本を探すことに。

 このカリフォルニアの、国防と魔術的特異点の手がかりを探すことに。


 ことっ


 何かが落ちた音が。

 音がした方に向かうと、古びた羊皮紙を綴じたノートが落ちていたのだ。

 ノートには、「CLARESクラリス」という名前が。

「これは…」僕はノートを手に取った。そこには、レディ・クラリスの父の死を意味した、日記の記述みたいだ。


 僕が見た、日記の一節は…。


 私が朝起きると、家来たちや女中たちが騒がしいのが聞こえた。まだ太陽が昇っていないというのに。何があったというのかしら。

 叩きつけるような、ノックの音がした。「クラリス」と、姉・エリザベスの声がした。

「どうかしましたか、姉上」

「父上が亡くなりましたわ」

 ちっとも悲しくなかった。姉たちから散々聞かされたのですが、後継ぎの男子のために、次々と妻を乗り換え、スペインのキャサリン様や、アン・ブーリン様がお可哀想で、本当に辛くて仕方ありませんでしたし、父が亡くなるのが、なにより嬉しかったのでした。

 

 泣いたふりをする、メアリ姉さまはどこか、道化のような感じがしました。

 父の遺体が横たわる中で、納棺の儀式が行われました。聖職者が祈りを捧げ、終末の油を注いでいました(注:中世ヨーロッパでは、亡くなった人に対して油を注いで清めるのが、一般的でした)。姉も嫌々ながら手伝いましたが、私は遺骸に触るのが嫌で仕方ありませんでした。

 なぜかというと、遺骸に触るのが、死者への冒涜に近いような感じがして、固まってしまいました。改めて、私は父との別れを惜しみました。


 父が埋葬された後、父の姪のジェーン・グレイに王位を継ぐか、姉に王位を継ぐか、次第に争いの嵐がやってきて、私は逃げるようにして、自室に避難するようになりました。

 そんな中、髪の毛が絡まったり、あとはドンドンとドアが叩く音もした。


 …ここから先は、イングランド王国の歴史に関する記述がある。


ではまたお会いしましょう。

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