表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/60

第43話 『予兆』

「ふむ。事情は分かった。

早速じゃが、儂は遠慮させていただこう」


目の前には慣れ親しんだ仲間が集まっている。

ヴェナにヴォーラフ、ギーモンにワーザック。

それにメリッサだ。

難行を共にクリアした、最高の盟友達だ。

メリッサに関しては最後だけだが、

一緒にクリアしたことに間違いはない。


この中に血縁や身分は関係はない。

皆、家族であり、親友だ。


「儂は既に老い先短い身。生き残った所で、

この世界を維持するのは出来て数年じゃろう」


まずは俺の祖父、ギーモンが真っ先に答えた。

なるほど、確かにその通りだ。

だが、彼は世界最強の人間種。

生かしていて一番安全なのは言うまでもないだろう。

それにその数年で弟子を作ることが可能かもしれない。

跡継ぎができる可能性だってある。


「だったら俺も遠慮をするぜ。

俺なんか生きてても弱いし、何より獣人だ。

他の人間種は唯でさえショックで落ち込んでる状況だ。

ただの獣人風情なんかが居ても誰もついて来やしねぇよ」


ふむ。確かにその意見は頷ける。

しかし、彼ほど情報収集能力に長けた奴は、

俺の仲間には居ないし、

彼は何より、元奴隷と言うこともあって、

差別をしない優しさがある。

傷付いた人間種には、彼の様な優しさが必要だろう。


「妾はその後の世界には不必要であろう。

妾は元より魔王の子孫、人間種には少々恐れられるやも知れぬ。

そうなってしまっては元も子もなかろうて」


魔王の子孫。破滅しかけている世界で、

その様な生物に出会えば、

人間種は忽ち混乱を起こし、

内乱や紛争が起きるかも知れない。

それは困る。

されど魔王の子孫、戦闘力的には、

安心して預けられるだけの強さがある。

その点は良いところだろう。


「わ、私も遠慮するわ!」


わぁ、涙目だ。かわいいなぁ。

でも決心を固めた顔をしてる。

良い顔だな。写真に撮っておきたいね。


「ギーモンお爺さんみたいに強くないし、

ロミーみたいにリーダーシップ取れないし、

ヴォーラフみたいに情報収集できないし、

ワーザックさんみたいに魔法も使えないの!

かと言ってメリッサさんの様に、

家事や洗濯も出来ないし」


一つ一つの言葉が重く、

胸に突き刺さっていくのが分かる。

確かにヴェナは可愛い。

だけど、この世界では可愛いは正義ではないのだ。


強くないし、役にも立たない。

確かに俺達に囲まれて居た彼女なら、

そう思っても仕方はないだろう。

だが一般的に見れば、十分な強さなのだ。

でも、彼女に任せられるかと聞くと返答に詰まる。

彼女は若い。今の俺と同い年だ。

長い間人類種を見守ってくれるだろう。

それだけは確かだし、少し安心だ。


「私は降りさせて頂きます。

従者の身でその様な大役を任されても困ります。

元々戦闘力も高くはないですし、

出来て家事や洗濯程度。

一人で人類全てを引っ張っていける自信がありません。

それに私は既に結構な年です。

選んでいただけたとしても、

大したお役には立てません」


年ではないと思うな。

まだまだ美しいし、

元々拳士なだけ、結構強い。

それでも従者だ。

その事実が彼女の支持を阻害してしまうだろう。

そうなれば厄介だ。


-----



全員の意見を聞いたが、

皆、生き残ることに拒否をした。

既に死ぬ覚悟が出来ているのだろうか。


覚悟なんてあってたまるか、

俺は少なくともそう思う。


正直、一回死に、死後俺がどうなるかを知っているからこそ、

もう一度死ぬ事にあまり恐怖が無いだけであって、

彼等は一度も死んで無いし、何より、

ギーモン以外は死後、自分がどうなるかを知らない。


確かに、死地を乗り越えて来ただろう。

何度だって死にそうになっただろう。

だが、一度だって死んだことはない。

ましてそれを受け入れようなど、

俺には到底真似ができるものじゃない。


「いよっす!ロミーたん元気?

例の選択は決まったかい?

今日が期日だった筈だけど?」

「あぁ、決まったさ。

決まったとも。あぁ、決まった」


テオトルは深くため息をついて、

首を振った。

まるで俺の考えが読まれているかの様な、

振る舞いだ。


「まぁ、良いんじゃない?

君の性格上、選ぶだろうなって、

何となく分かってたし。

さて、だったら準備に入ろうか!」

「準備?何を準備するんだ?」

「分かるでしょ?最終決戦の準備!

冥界のハデスを呼び出して!

始めようじゃない!審判の日をさ!」


俺の旅は遂に終わりを迎えようとしている様だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ