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勇者の俺は異世界で女装少年に迫られています (結)

ラスト。4話目。微エロ注意。

 後悔とは、後から悔いると書き表す。

 前に悔いる事が出来れば、そもそも後悔するような事など起こさないのだから、当たり前である。

 即ち、悔いるのは終わってしまった時なのだ。


 ・・・そんな御託を並べてみた所で事実は何も変わらないわけだが。


 俺、詩与田翔太17歳、現役勇者は朝起きると同時に後悔の溜息をついた。


 俺の隣で可愛らしい寝息を立てている可憐な美少女・・・じゃなくて美少年の顔を見る。

 本当に幸せそうな顔で寝ている。

 顔だけ見ると天使さながらだが、中身は悪魔も素足で逃げ出すに違いないハンターぶりだ。

 恐ろしい話である。


 ついに一線越えてしまった。


 俺は布団の中でその事ばかりグルグル考えてしまう。

 やってしまったものは仕方ない。

 俺から無理矢理やったわけじゃない。

 誘って来たのはカインだ。俺は悪くない。

 

 まあ、責任論は百歩譲って問題無いとしよう。


 しかし、これからどうする?


 カインを叱りつけるか。追い出してもっと従順な美ショタ奴隷を買いに行くか。

 いや、それは無理だ。俺はカインを一方的に叱れるほど厚顔無恥では無いし、カインを追い出すにはカインに対して抱いている愛着は深くなりすぎている。


 では、俺はこれからもカインを、俺が責任を負わなくても良いあっちの処理に便利な奴隷として扱い続ければ良いのか。現状維持を目指すならきっとそういう事に為るのだろう。そして十中八九、俺はそういう形に逃げるだろう。・・・勇者が聞いて呆れる。


 でも、果して俺は責任を取ってグリモワルに今すぐ二人で行くべきだろうか。それは違うと思うのだ。そして、俺にそう思わせてしまう点は俺とカインの関係が結局の所、歪に過ぎる点だろう。


 もし、一般的な恋愛を対等な男女間のものと考えるならば、俺達の関係はかなり歪んでいる。

 まずもって、男同士であるし、実質的な関係や相互の立場に関係無く形式上は主人と奴隷と言う絶対的従属関係にある。しかしそういった社会的な問題だけでなく、俺とカインの関係性の発展順序にも問題がある。

 俺がカインを購入した動機に程度の問題はあれ、女性に対する欲求の代替物となす下心があったのは確かだ。そしてカインがそれを敏感に察知した。しかし、そこからカインが舵を握って決定づけた俺達の関係の発展は精神的な側面での純愛の発展では無く、純粋に物理的かつ肉体的な依存関係への耽溺だったわけだ。

 通常の男女間の恋愛においてさえ、もし女が男を引き留める為に積極的に自分の体を使うという事になれば、周囲からは歪んでいると認識されるに違いない。


 まあ、そういうわけで、俺とカインの関係は既に歪んでしまっているのだ。

 そう言えば、一線越えたにも関わらず、キスも未だだった・・・。


 この関係をどうするべきか。それが今後俺がどうするべきかの答えなわけだが。

 普通の関係に戻すか。零から仕切り直すか。それはカインが認めようとしないだろう。

 しかし、精神的愛の側面が無い今の状況下で俺がカインの思慕に答える事は有り得ない。中途半端な事を避けるならば、ここから肉体的な面も断ち切るか、あるいは精神的な面の発展を考えねばならないだろう。

 カインはどうするつもりなのだろうか。こんな状況になってしまって。


 いや、ともするとカイン自身、ここからがスタートだと考えた上で今この状況にまで漕ぎつけたという所なのではなかろうか。

 なぜなら、もしカインが少女であれば、きっとこんな性急な事を無理矢理しなかっただろうから。きっとその場合はひたすら俺の理想の少女像を読みとってそれに近づける努力をし、また献身ぶりを発揮して俺の心を掴みにきたに違いない。


 しかし、カインはどれほど美しく少女のような顔立ちを持っていたとしても、男であるという海よりも深く、山よりも高い事実が聳える。カインの俺への思慕を実らせるスタート地点はひょっとするとこの歪みきった状況にしかないと考えたのかもしれない。


 もしカインが純粋にアタックしてきたら。真摯に精神的関係性から俺への思慕を実らせようと努力していたら。俺に対して素直にその想いを告げていたら俺はどうしただろうか。


 俺は・・・馬鹿にはしなかっただろうし、真剣に受け止めてやっただろうが、今のように未来を思い悩む事も無く即座に断っていたに違いない。それは確信できるのだ。それは昨日の夜の俺の思考と決断が別の日、別の時なら違うものであった可能性が高い事と同じくらいに言いきれる事だ。

 そういう事を思えば、カインの行動はこの一本しか正解は無いと言う非常に細い道を綱渡りのように神経を研ぎ澄ませながら歩く行為だったのではないだろうか。


 改めて、俺はカインを恐ろしいと思うと同時に、その決意と知略とに尊敬の念が湧いた。

 そのような想いを抱いたのは、今朝が初めてかもしれない。

 ひょっとすると、俺がこんな風に考えるに至る事も織り込み済みなんだろうか。


 だとしたら。


「ははは。敵わないな。まったく。」


 俺の口から自然と笑い声が漏れ、俺は左手でカインの右頬に触れる。柔らかな感触が優しい。

 俺の行為で起きたのか、カインが目を開いた。


「おはよう。カイン。」


 そう言うと、俺はそっとカインに顔を近づけて甘い飴玉のように透明感のあるカインの唇に接吻した。未だ先の事は何も考えていない。これは尊敬する奴隷への主人からの御褒美だ。


 カインの眼に涙が滲む。カインの頬に一筋涙が流れた。

 

「え? カイン?」


 カインは慌てた様に顔を枕で拭うと、ピタリと俺の体に張り付き、顔を俺の胸に沈めてしまった。

 俺はカインの頭を撫でる。


「どうしたんだ。カイン。さっき泣いていたように見えたけど。」

「・・・なんでもないから。それより、その、キスありがとう。」

「えーと、どういたしまして?」

 

 消えてしまいそうな小さい声で返って来たカインの返答。

 俺はしばらく、カインの頭を撫で続けた。


 




「それは買い被り過ぎだよ。ショータ。」


 遅い朝食、というより昼食の席で俺が今朝思った事をカインに話してみたが、カインは苦笑いして首を竦める。

 俺の勘繰り過ぎか、あるいは謙遜か。


 カインと色々話あった結果、魔王を討伐するまではこのままの関係をダラダラ続ける事になってしまった。優柔不断な俺をカインが言葉の綾で煙に巻いた形である。しかも、ちゃっかり毎朝キスする事を約束させられた。

 今後、カインが取る戦略は、俺にカインを嫁に欲しいと思わせるような女子力アピールと俺の事を一番分かっているのは僕ですという精神面アピールになるはずだ。というか、カインがそう宣言してくれた。落とされない様に気をしっかり持たなくてはならない。あるいは魔王を倒すより大変なクエストかもしれない。


 さて、まあ、そんなこんなでカインと爛れた関係をその日以来続けていたわけだが、思わぬ効果が現れた。なんと、今まで使い方がさっぱり分らなかった勇者専用スキル『英雄の色好み』と『戦乙女の強化』が発動して、あの日以来虚弱カインがメキメキと強化されていったのだ。

 それが一カ月ほど経ったある日、例の青年文官とイケメン騎士にばれて戦闘力を測ってみましょうと言う事に為った。結果、外見はか弱い美ショタのままのカインは、騎士団のトップクラスの強さに為ってしまっていた。

 俺は悟った。過去の勇者たちの悪い噂。複数の女性達に手を出し、戦場にまで連れていったという話。これがどうやら理由だったらしい。とんでもないチートスキルだ。なんたって、これを使えば筋肉ムキムキのムサイおっさん共と地道にキントレするまでもなく最強のパーティーメンバーを揃える事が出来るだろう。過去の勇者たちはきっと殆どが、このスキルの存在と価値に気付いた瞬間、ハーレム作りを決断したに違いない。

 俺はどうしたもんだろうか。


 青年文官とイケメン騎士は俺を褒め称えた。秘密の特訓が功を奏したのですねと俺を祝う。周囲の騎士達もこんな短時間でここまで強くなれたなんて、きっと余程血と汗の滲む努力をしたのだろうとカインを称賛していた。カインはうっすら笑って俺の方をチラリと見ながら、はい汗をいっぱいかきました、と答えている。

 うん。確かに汗は二人でいっぱいかいたよね・・・。

 俺は純朴な尊敬の念を向けて来る騎士達に対して罪悪感を抱きながらも、本当の事を話せるわけも無く適当に返事した。


 ということで、カインも俺の魔王討伐パーティーに仲間入りする事になった。


 それから一週間ほどだった。気を利かせた青年文官とイケメン騎士が大量の虚弱少年奴隷達を引き連れてきたのは。

 青年文官は満面の笑みを湛えながら、さあ、勇者様、最強軍団を作って下さい、とのたまわれる。

 まあ、そう考えるのが普通か。

 カインの成長ぶりを見れば、俺の秘密の特訓をもっと大人数に受けさせれば良いんじゃね? と考え、更に俺が口にした奴隷商館での選考理由を念頭に行動したのだろう。

 で、その結果がこれだ。


 カインの眼がちょっと怖い。笑顔を張り付けているのが余計に怖い。


「えーっと、カイン。どうしようか。」


「ご主人様のお好きになさって下さい。」


 カインさんが冷たい。凍える様な声だった。


 さて、どうしたものか。

 これで、適当に選んで連れて帰るとなればカインさんは不機嫌になるだろう。俺がパーティーメンバー作りとして連れて帰ると言う事は、イコール俺が浮気すると言う事に他ならないのだから。

 しかし正直、強力な仲間を作り出せると言うのは魅力的だ。魔王相手である。強い味方は多いに越した事は無い。

 

 俺は居並ぶ少年奴隷達を眺める。

 カインを越える美ショタはいないようだが、それでも可愛らしいショタが何人かいる。既に一線越えてしまっている俺としてはストライクゾーンの圏内にいる。

 ちょっとだけなら連れ帰っても良いんじゃなかろうか。可愛いし。複数の相手に手を出したくなるのは男のサガみたいなもんだろ。

 だいたい、俺とカインは別に付き合っているわけじゃないのだ。浮気だの何だのと遠慮する必要はないはずだ。・・・いや、勿論後でフォローが必要だと思うけど。


 というわけで、結論を出した俺は甲乙付け難く食指を動かされた二人のかわゆい美ショタ、シオンとミズキをお持ち帰りする事に決定。

 カインの吹雪の様なオーラと永久凍土の視線に耐えながら、二人を我が家へご招待。家事の分担等を決めた後、俺は二人が俺に買われた意図と重大なるカインの強さの秘密を打ち明ける。

 二人とも話の前半では緊張と不安の色を見せていた。そりゃそうだ。非力な自分達が魔王討伐の為に鍛えられると聞かされたのだ。どれほど厳しい訓練を経なければならないのかと思うだけでも顔面が蒼白になるだろう。そして、話の後半が終わると一人は硬直していた。もう一人は俺とカインを交互に見やって眼を白くさせている。

 

「まあ、そういうわけだから、嫌なら嫌だと言ってくれ。強要したくないからな。その場合もこの家で普通の家事奴隷として住んで貰う事にするから遠慮しなくて良いぞ。」


 嫌がる奴を無理矢理と言うのは俺の主義に反しているからな。俺は勇者なのだ。


「あの、勇者様は女遊びをしない聖人とか、勇者君子とか呼ばれていましたが、こっちの趣味があったから女遊びしなかっただけなんですか?」


 赤い髪のシオン君が大変失礼な質問を投げて来る。


「そ、そんなわけないだろう。純粋に潜在能力の問題だ。」


「そうなんですか? でもなんで、俺たちみたいな小さい年頃の少年から選んでるんですか? 純粋に強さを求めるならガタイの良い騎士様方を抱くべきではありませんか? もし、趣味でそれが出来無いと言うなら女性の中から選ぼうとするのでは? 」


「あー、シオン君。それには色々と深い訳があってだね。あー、つまりだね、俺の勇者専用スキルの使用条件に引っ掛かると言う事なんだ。」


 俺は説明が面倒臭いと言うか、色々と俺のヘタレな所を言わねばならないのが嫌で適当に誤魔化す。勇者専用スキルの具体的な中身については勇者以外は誰も知らないので、これを持ちだせば大体解決出来る。


「なるほど、そうなんですね。」


 そう言って、納得がいったという様に目を輝かせて俺を見詰めてくれたのは黒髪のミズキ君の方である。シオン君は未だ懐疑的な表情をしていたが。


 結局、その後の話し合いで二人とも『特訓』を受ける事を了承し、メイド服を着て貰う事になった。カインさんが怖い顔をしていた。

 俺はカインさんの機嫌を取るべく、二人に適当に用事を与えるとカインさんと共に俺の寝室で話し合いを開始する。

 まずはカイン様が一番素敵で、あの二人より数段可憐で可愛くて綺麗だと誉めまくった。誉めちぎった。ゴマすり臣下だ。

 しかし、カインさんはこれ位でどうにか出来る相手では無い。そんなに僕が素敵なら、なんで僕だけじゃ満足できないのかときたもんだ。

 俺は戦力の問題を話すが疑い深い目で見られる。

 しかたなく、俺は勇者専用スキル『詭弁家の饒舌』に頼りながら、カインとの間にある関係を見極める為だったと答えた。即ち、カインに対しては深い愛着があるし肉体的な関係に為っているが、比較対象が無い為に俺はカインの事を実際にどう思っているのか分からない。逆に、他の美ショタ達とも同じ条件を揃えてみて尚且つそれでもカインだけが突き抜けて特別だったなら、俺はカインに対して抱く愛着をもっと高次元の物だと確認する事が出来るかもしれない。


 カインさんは俺のデマカセの演説を真面目な顔をして聞く。

 やや考え込んでいるようだ。説得力があったのだろうか。

 俺は緊張してカインさんの出す結論を待った。

 その結果、カインさんは俺が新しくショタを連れ帰る事を許可してくれた。これから何人でも気に入った子を連れて帰って来て良いらしい。


 ただし、それに当たって約束もさせられた。即ち、カインが俺と一緒に寝たいと言った場合俺には拒否権が無い事。『特訓』が終わったらカイン以外の奴隷は俺の布団から外に出さなければならない事。キスはカインとしかしてはいけない事。の3点セットである。全部、制約の魔法つき。多い。そして厳しい。

 有無を言わせぬカインさんに押されて宣誓してしまったが。よく考えるとカインさんに有利過ぎる。

 というか、三つ目とか問題あり過ぎだ。これは将来女の子と付き合う事にしても、その子とキス出来ない事に。詰んでいる。早まった。


 俺は制約の魔法をかけた後でそれらに気付き、カインさんにやっぱり変更しませんかと持ちかけたが取り付く島も無かった。

 

 俺はその晩から『特訓』を始めた。ベッドに入る時はまずは三人である。俺とカインさんとシオン君だ。ミズキ君はちょっと可哀そうだがベッド脇に立っておいて貰う。比較的広いベッドではあるものの4人が同時に入るには狭い。

 で、最初にカインさんと俺が見本のように、見せつける様にイチャイチャした後、シオン君を食べる。食べ終わると制約に従って申し訳ないと思いつつベッドから追い出す。代りに今度は選手交代でミズキ君が入ってくる。これも美味しくいただく。頂いた後は同じくベッドから追い出す。追い出された二人はガニ股でフラフラ歩きながら床に敷かれている布団に潜り込んだ。

 その後は、追い出される二人を眺めて優越感に浸ってご満悦なカインさんと再びイチャイチャして二人で寝る。シオンとミズキの二人が唯の道具扱いに近くて可哀想だが、カインさんが幸せそうなので尊い犠牲となって頂いたのだと自分を納得させる。


 それから一週間くらい過ぎた。

 流石にいっしょに暮らしていると俺とカインの関係も見えてくるらしい。たまに、シオンがカインの事を裏で「奥様」と呼んでいるのを耳にする事がある。・・・未だ結婚してないんですけどね。いやいや、未だって何だ。未だって!


 因みに、シオンとミズキは俺に対してカインのような思慕は抱いていないようだ。

 まあ、それが普通だろう。男の子なのだから。

 ところがどっこいなのである。二人に、一生俺の夜の道具として扱って欲しいと熱望された。俺との特訓中毒になってしまったらしい。これはこれで責任を取る事を考えないとなぁ。

 この話はカインさんにもガッツリ耳に入ってしまって、あの二人を一生面倒見るなら、勿論僕の事も一生ショータの一番近くで面倒見てくれるよねと脅された。


 かくして、勇者の俺は美ショタハーレムを築きつつ、カインさんには日々魔王討伐後にグリモワルで俺とカインさんが結婚する未来へと追い込まれている。

 魔王討伐は気が重い。

 

 そうそう。実は先日遠くの国へ一回遠征した時、人目を忍んで娼館に行く事に成功したんだが、ユルユルガバガバで失望してしまった。

 その日以来、俺はカインのアプローチをはねのける気力を失ってしまい、それを知ったカインは最近風呂の中にまで入って来るようになった。ベッドでも躊躇なく脱ぐようになった。


 魔王討伐後の未来が見えてきてしまった・・・。


 俺の話はここらで終わりにしようと思う。

 もし俺が魔王を無事討伐出来たら、そんでもって、その後の俺がどうなるかっていう下らない話が聞きたい奴がいたら、また会うかもしれないな。

 それまで、皆、元気でな!アディオス!


 ~END~

御一読有難う御座いました。

こんなキワモノ小説を読んで下さり感謝感激雨あられです。


需要があれば続編書くか、仕切り直して長編書くか考えます。

需要無かったら黒歴史として封印。

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