表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/125

番外編~通り雨side長塚③~

そんな彼女に、特定の連中が時々“薬”をもらっていることに気付いた。


「田上、検便の容器に入った薬くれ!」


「検便って……その言い方やだ!」


そう言いながら、彼女は鞄からポーチを取り出す。


「はい。お水ある?」


「水は用意してあるから大丈夫」


そんなやり取りのあと、薬が手渡されていた。


 


ある日、星川がひどい腹痛を起こした。

保健室に行こうとした時、いつも彼女から薬をもらっている菅原が声をかけた。


「星川、保健室行く前に田上から薬もらえば?

あいつの持ってる腹痛の薬、すげぇ効くんだよ」


星川とは特別仲が良いわけでもないし、

他人の常備薬ってどうなんだ……?

そう思って見ていると、菅原があっさり薬をもらって戻ってきた。


中身はむき出しで、何の薬なのか分からない。


(……大丈夫なのか?)


訝しんでいる俺をよそに、菅原は平然と星川に言った。


「整腸剤らしいから大丈夫だよ。

田上、腹痛持ちらしくてさ。あいつが時々飲んでるんだ。

俺も何度か分けてもらったけど、マジで効くから」


「騙されたと思って飲んでみろって」


そう言われ、半信半疑で飲んだ星川は――

次の休み時間、俺のところに来てこう言った。


「長塚、すげぇよ。田上の薬。

あんなに腹痛かったのに、飲んで少ししたら引いた」


 


どうやら彼女の鞄には、

ドラ〇もんのポケットならぬ

“たまちゃんのポーチ”なるものが入っているらしい。


「田上、絆創膏ある?」


「田上、ボタン取れた~」


「たまちゃん、ソーイングセット貸して!」


「たまちゃん、爪切りある?」


誰かが声をかけるたび、

彼女は猫のイラストが描かれたポーチを取り出し、

求められた物を当たり前のように差し出す。


男子に至っては、取れたボタンをその場で付けてもらっていた。


……もっとも、本人は不器用らしい。


「お前、本当に不器用だな!」


そうからかわれながら、

結局、針の糸通し用の道具を使って、悪戦苦闘しながら糸を通している。


それでも嫌な顔一つせず、

最後にはきちんとボタンを付けて手渡していた。


その光景を見ながら、俺は思った。


(なるほどな……

 こりゃ、勘違いする奴が出るわけだ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ