表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/125

番外編~涙の向こう側side千秋②~

「修学旅行! 一緒の班になろうよ!」


今や大親友のたまちゃんにそう言うと、たまちゃんも笑顔で

「もちろんだよ!」

と即答してくれた。


二人で手を取り合っていると、

「なぁ、田上と添田。俺らと同じ班にならないか?」

バスケ部の石橋が声を掛けてきた。


(……はいはい、どうせ狙いはたまちゃんでしょ)


そう思いながら見ていると、

「ら?」

たまちゃんが、きょとんと首を傾げる。


「そう、俺ら」

石橋はそう言って、隣にいた石塚さんを指差した。


(あぁ、やっぱり。石塚さんは“誘うための口実”ね)


そう納得しかけたところで、ふと視線が止まる。

たまちゃんの隣の席で、さっきまで寝ていたはずの人物──田川だ。


石橋と石塚さんに、縋るような目を向けている。


(だったら、自分で誘えばいいのに……)


そう思いながら傍観していると、

「え? 別にいいけど、男子は石橋君だけ?」

と、たまちゃんらしい頓珍漢な質問が飛び出した。


石橋が軽くズッコケる仕草をしてから、

「そんなわけないじゃん。聡と俺と小野っち!」

満面の笑みで答える。


その瞬間、たまちゃんの表情がわずかに曇った。


(なるほど……田川が直接誘えない理由は、これか)


そう思って見ていると、石橋がすぐにフォローに入る。


「もしかして、迷惑?」


この辺りは、さすがというか抜かりがない。

こういうところ、本当に上手い男だ。


「え? 何で? そんなことないよ」

無理に笑うたまちゃんに、


「良かった~」


そう言ってから、

「田上たちなら、繭花を任せられるから」

と話をまとめる。


──あくまで

“田川はオマケ、主役は石塚さん”

という体裁を崩さない。


(いや、見事だな……)


そう感心しながら横を見ると、

たまちゃんの隣でずっとハラハラしていた田川が、

ほっとした顔をしている。


(青春だなぁ……)


どこか一歩引いた場所から、そんなふうに眺めていた私が、

このあと自分も恋をすることになるなんて──

この時は、思いもしなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ