3.プロリア帝国メラーラ伯
そのようにして自分の現状を把握した俺は次に自分のとるべき行動について考えることにした。
この世界がどのような世界であるか。
転生した自分の社会的地位、年齢。
以上のことは今後の行動を決める上で必要不可欠な物だ。
そのことに思い当たった私は未だにすがりついているメイドに話しかけることにした。
「あー、そこの君。病気のせいか少し記憶が思い出せなくなっていてね・・・。今からいくつか質問をするから答えてくれないか?」
「はい、伯爵様」とそのメイドは涙を拭いながらようやく顔を上げた。
「まず、私は誰だ?」
「プロリア帝国南西部に位置するここ、メラーラの街とその周辺を所領とするオットー=メラーラ伯爵様です」
「で、ここはどこだ?辺りには畑しかないようだが・・・?」
「ここは伯爵家が所有する別荘でございます。伯爵はおよそ今から1週間前、突然高熱と身体の節々の痛みを訴えられ、急遽メラーラの街からこちらに静養のために場所を移されたのです。」
「そうか、ありがとう。ところで君は魔法を使えたりはしないのかね?」
「何をおっしゃいますか、伯爵。この世界に魔法なんてものは存在しませんよ。やはり、まだ熱が残っておられるようですね。」
と哀れみの目を向けてきた。
これ、雇い主をそのような目で見るのではないぞ。
にしても、どうやら自分はプロリアとかいう帝国の伯爵であるらしい。
伯爵って結構偉かったよな・・・。これはこの世界で苦労することは無さそうだ、などとほくそ笑んでいると寝室のドアが勢い良く開いて壮年の男が駆け込んできた。
「伯爵!意識が戻られたのですね!伯爵の意識が戻られたと聞いてこのカール人前でもついつい涙を・・・」
と言っておいおいと声をあげて泣き出した。
「あー、実は記憶が戻らないんだが君は誰だったかな?」
「私めは先代である故メラーラ伯の頃より御仕えしております執事のカールでございます。
それにしても記憶が戻らない、とは一体・・・?」
「病気のせいか実は全く記憶が戻らないんだ。ここがどこか、自分が誰かといったこともね」
みんなには悪いが、ここは記憶喪失ということにしてもらおう。
「つまり、伯爵は記憶喪失の状態であると・・・?」
そう執事が呆然と呟くと、老医師とメイドまでフリーズしてこの世の終わりのような顔をしている。
たしかに大変だけどそこまでヤバいこと言った、俺?
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なにぶん小説を書くのが初めてなもので誤字脱字や文法ミス、文章の見やすさなどの指摘がございましたらご指摘していただけると幸いです。
さて、次回から転生先の世界の情勢などを盛り込んでいこうかと思います。
が、早くも書き溜めが底をつきそうなので申し訳ございませんが更新の頻度を下げさせて頂きます。
スミマセン・・・