闇堕ち③
それから、ショウがギルドに賠償金を払いに行くと……
「本当に一日で、五千万ゴールドを用意するとは、恐れいったぜ——ッ。
ブレイン達もお前さんをパーティーから追放するとは、さぞ勿体無い事をしたな!
今だったら思うよ。あのパーティーの柱は、お前だったのだと……」
「私は、ずっと思っていましたよ!
だって、いつも報告書をちゃんと出していたのはショウさんですから——ッ」
そして、ブレイン達の賠償金を払い終え——。
二人から、そんな言葉を貰ったショウは——また少し晴れやかな気持ちとなり……
過去の事が如何でも良くなり始めた。
アカネとシルクの事は、もともと解放しようと思っていたし。
それが早まっただけで……あの二人なら、俺がダンジョンに行くから手伝ってくれと頼めば、必ず力を貸してくれる。
だから、何の問題もない事に気づいた。
そして、賠償金を払い終えたショウはギルドマスター雑談をしていると、最近ワイバーンが偵察をするように飛んで来ている事を教えられた。
すると、ある事を思い出したショウはギルドマスターに感謝を伝えると……
偵察していると言うワイバーンを探す事にした。
街を出てしばらくすると、確かに小型のワイバーンが飛んでいるのを見つけると——ショウは、そのワイバーンを見つからない様に尾行した。
そして、ある山に差し掛かると小型のワイバーンは海の方へと飛んで行ってしまった。
「この方角にワイバーンの島もしくは、ワイバーンの巣があるのか……
とりあえずは、一旦この山に拠点を置いて調べてみるとするか——」
数日間、山に滞在するとワイバーンは同じ方向から飛んで来て——同じ方向に帰っていくのが分かった。
「何をしたいのかまでは、まだ分からないが……ギルドマスターが警戒しているんだ。
もう少し、様子を見ておこう」
そして、ショウは岩ばかりの山で——暇な時間を使ってゴーレムの作成をする事にした。
「ここは、色んな鉱石が採掘出来るな……
そんな事より。解体屋のオッちゃんに沢山貰った魔石を核として……土魔法で、胴体を生成する。
そして、魔力を注ぎ込むと…………」
体操座りをしていた石の人形が、立ち上がり動き出した。
「おお……ッ! 成功した。
第一号のゴーレムの完成だ——ッ!!!」
それからショウは、ゴーレムに簡単な命令をしてみる。
「座れ……立て……回れ……おお、いい感じいい感じ——ッ。その岩を持ち上げろ!」
すると、ゴーレムは近くにあった岩を持ち上げた。
「このくらいの簡単な命令なら理解出来るみたいだな。
なら、今度は——複雑な命令を……」
そして、ショウはゴーレムに鉄鉱石を探してくる様に命令すると……ゴーレムは指示に従い。鉄鉱石をショウの元まで持って来た。
「これは、便利……ゴーレム。凄く使えるぞ!」
それからショウは、二体目のゴーレムを作成すると……一体目には、水を汲みに行かせた。
そして、二体目には食料を探しに行かせる事にした。
その為、時間の空いたショウは——三体目のゴーレムの作成を取り掛かった。
そして、三体……四体……五体……六体……大中小のさまざまなゴーレムを沢山作ると——それぞれに指示を出した。
しかし、数時経っても帰って来ないゴーレムが居たので心配になり。探しに行くと……
見つけたゴーレムは、木の実や植物を手で潰していた。
「…………何やってんだ? コイツ……
こいつは、確か——食料を探しに行かせたゴーレム……そう言う事か、手に指がないから掴めないのかッ!」
そこからショウは、そのゴーレムに指を付けてあげると……
何度か、木のみを潰した後……そっと摘んでショウに渡して来た。
そして、ショウが受け取るとゴーレムは——元の場所へと帰って行った。
それからショウは、さまざまなゴーレムを作った。
小型のゴーレム……犬みたいなゴーレム、サソリに似たゴーレム。
一応、鳥みたいなゴーレムも作ったのだが……岩で出来たゴーレムなので流石に空を飛ぶ事は出来なかった。
しかし、ギルドマスターへの手紙のおつかいはこなせる事が分かった。
これにより分かった事が一つ。ゴーレムとショウの意識は共通のモノと言う事だった。
ショウがギルドマスターと認識した人に対してゴーレムは手紙を渡して来た。
この時、もう一通の手紙をギルドマスターの奥さんに渡して来いとお願いしたが……
ショウはギルドマスターに奥さんがいる事も分からない為にゴーレムは、その手紙を持ち帰って来た。
と、いう実験結果からゴーレムは、ショウの分かる範囲でなら。命令を実行できる事が分かった。
それからショウは、ゴーレムに近く村にモンスターが襲撃した際は——村人を守れ! と言う指示を出し。村に付近の地面に潜らせた。
これで、この村ではモンスターが襲撃した際にはゴーレムが守ってくれる事になった。
それからワイバーンの襲撃に備えて、近隣の村や王都の周りにゴーレムを配備した。
「お前達は、ワイバーンの襲撃に対して攻撃をする様にと……君達は、街の人達の避難誘導を……
これじゃ……まだまだ足りないな。もっと沢山ゴーレムを作らなくては——。」
そして、ショウは鉱石の山の山頂を埋め尽くす程のゴーレムを作り出すと……
そのゴーレム達が、いきなり爆裂魔法——。エクスプロージョン! によって破壊された……
「……な……なんで…………俺のゴーレムが……」
ショウは、ゴーレムを殺された怒りから……
「ゴーレム達をやった犯人は、目視できない……ならば——ッ!!!」
そう言って、ゴーレムには効果が薄い雷魔法を広範囲で展開させた。
そして……
「死ね! 悪人ども——ッ!!!」
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