最終目的地
それから出来上がったエクストラポーションを飲んだ。ショウの腕は……元通りに戻ると——。
「なんか……腕が無くなった時は、ある物が無くなった事により。寂しい気持ちになったが……
逆に、ここ数日の間は腕が無くなっていたから。いきなり無くなった腕が戻ると、なんか違和感があるな……
そして、いきなり戻ると自分の腕なのに……なんか重い! 肩が凝りそうだよ!」
ショウは、そんな事を言っているが——。
アカネとシルクは、ショウの腕が元に戻った事をとても喜んでいた。
それから、ショウは無限に湧き出る【神水】を使ってエクストラポーションを大量に作成すると、大樽に【神水】を沢山汲んでダンジョンを出る事にした。
「これで、いつでも【エクストラポーション】を作れるな!」
そして、王都で馬車を調達すると——妹の怪我を治す為に、最終目的地である修道院へと向かった。
「ショウ様……
どうして、今回は馬車なのでしようか?
飛んで行けば、あっという間では……?」
「良いんだ。最後ぐらい、ゆっくり行こうと思って……」
「最後……?」
「ああ、この旅の最終的な目的は——俺の妹の足の治療をする事だから……修道院が最終目的地になるんだ。
だから、最後ぐらい。馬車に揺られながら、ゆっくりと……
旅の思い出や出会いなんかを思い出して見ようと思って……」
「はて……? ショウ様の最終的な目的は、キーウィが言う。封印された怪物の討伐では?」
「いや、それが……
実は、その話。無くなるかも知れないんだよ」
「どう言う事ですか?」
「そう言えば、最近キーウィちゃん見ないですね……」
「そうそう、実は——この前、二人がエルダーリッチと戦っている時に、キーウィを呼んだんだよ。そしたら……」
*
「いや〜……実は、思い出した事があって——。
実は、お前の英雄の力だけじゃ封印された怪物に勝てない事を思い出したんだよ!」
「どう言う事……?
じゃ俺のやってる事は、意味がないのか?」
「いや、意味が無い訳ではないんだが……
実は、英雄の力と勇者の力が合わさらないと封印された怪物は倒せないんだ」
「って事は、ブレインと協力しろって事?」
「違う違う。そんな簡単な話じゃないんだ!
まず、ブレインとか言う奴は本物の勇者じゃないし……アイツは、ただの魔法剣士だ」
「なら、勇者を探すしか無いのか?」
「いや、実は……本物の勇者は、いつ何処の時代に誕生するか分からないんだ。
だから、この時代に産まれるかも知れないし……産まれないかも知れない。
まあ、だから……お前は、勇者が産まれて来る時の為に——これまで通りに、熟練度を上げておいてくれ!」
「……まあ、分かったよ。
強くなった方が、何かと便利だから熟練度は上げておくけど……
お前は、これからどうするんだ?」
「俺は、勇者が見つかるまで眠る事にするよ。
そうすれば、力を溜めておけば——お前の次の者に、この剣が渡った時に——また英雄達の力をフルで使えるようになるから」
「なるほど……」
「と、言う訳で……お前とは、ここで一度さよならだな!
まあ、でも——何か面白い事があったらその時は起こしてくれて良いからな」
そう言って、ショウに別れを告げたキーウィは眠りについた。
*
「って、言う事があって……」
「なるほど……」
「だから、俺達の旅の最終目標は妹の怪我を治す事で、この旅は……一度ここ、おしまい。になる」
「でも、これからも修行はするんですよね。
なら、良いです!」
「それに、冒険は無くても三人が一緒にいれるなら。別に良いです!」
「三人で、スローライフって言うのも悪くないなぁ……」
「私は、ショウ様と一緒に居れるなら。何でも大丈夫です!」
「私もです!」
「まあ、良いじゃねぇか。明日の事は、明日考えれば……」
そして、三人は自分達の旅を各々思い出す。
「色々あったなぁ……」
「良い思い出です……」
「ありましたね……」
*
*
*
それから話しているうちに、最後の目的地……修道院が見えて来た。
「「「…………」」」
修道院に近づくにつれて、三人の口数は少なくなり、静かになると馬の足音と馬車を引く音だけがこだまする。
そして、修道院に着くと修道女達がショウ達を出迎える。
「お久しぶりですね。ショウさん——今日は、どうなさいました?」
「ルフエルに会いに来た。居るか?」
「ああ、妹さんに会いに来たのですね。
では、中へとどうぞ……」
そう言って、修道女達がショウ達を修道院の中へ誘導して——入ろうとすると……
車椅子を友達に押してもらったルフエルが中から現れる。と、目の前に居たショウと目が合った。そして……
「お兄ちゃん……」
「久しぶり、ルフエル……」
すると、ルフエルは自分で車椅子を動かすとショウの元へと近づいて来た。
「久しぶり、じゃないよ!
お兄ちゃんは、全然、会いに来てくれないんだもん——。
こんな可愛い妹を置いて、いったい何処で何をしていたの?」
「悪い悪い……」
ショウは、ルフエルに軽く謝り……何も言わずにエクストラポーションを手渡した。
「何これ!? 飲めって事……?」
そう言うとルフエルは、エクストラポーションを飲み干した。
すると、ルフエルの足の傷が光り出すと……古傷が綺麗に消えた。
「えっ……!? 傷が消えた!」
そして、ショウはルフエルに手を差し出すと……ルフエルは、その手をとると自分の足で立ち上がった。
「えっ……私……自分の足で立ってる。
お兄ちゃん、私——自分の足で立ってるよ」
「ああ、本当だ! 自分の足で立ってる。
良かったな、ルフエル……」
そして、涙ぐむショウに——ルフエルが抱きつくと……二人は、抱きしめ合った。
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