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後の英雄、覚悟を決める

 目の前で起こっていることに理解が追い付かない。

 一体何が起こっているんだ?


「私はお前の探していたドラゴンの雛だ」

「はいー?」


 俺の口からは間抜けな言葉しか出ない。

 ボキャブラリーの貧困さを呪う俺。

 あまりにも意外過ぎて質問するとか問い詰めるとかそんな気は一切起こらない。


 モニカは俺に話し始めた。

 竜というものは成竜になるまでの50年間は巣から出られないそうだ。

 卵である20年間に聞いた人間の世界に憧れたモニカ。

 竜の巣にこもる前に一度世界を旅して目にしてみたかったそう。

 卵なのに旅立ったモニカ。

 思い通りに移動することすら出来ず旅は困難を極めた。

 その後、隙を見て卵からかえり旅を続けることにしたモニカ。

 だが、竜の姿で外を歩き回るのは叶わない。

 まだ雛であったモニカをモンスターたちは捕食しようとする。


 そんななかビアンカと出会った。

 ビアンカは竜の雛であるモニカを見ても怯えず接してくれた。

 ビアンカは魔力は強いが力が弱いので、力が有るモニカと一体化して補い合うことにした。

 ビアンカを眷属とし一体となることで人間の姿を手に入れたモニカは旅を楽しめるようになった。


「でもな一体化したものの私のステータスが足らなかったんだろうな。力も魔力も共に弱くなってしまった」


 それでサボテンミミズにも苦戦するぐらいの強さになってしまったんだな。


「ビアンカにとってなに一つメリットがないから契約を解消しようかと思ったんだが、世界を旅するならこのままでもいいよと言ってくれたので好意に甘えていたんだ」

「モーちゃん……」

「もう十分に旅を楽しんだから巣に帰るよ」


 モニカは悲しげにそうつぶやいた。

 こいつはまだ世界を旅したい。

 モニカもそう察していた。


「モーちゃん! まだ他の街に行ってないのに本当にいいの? モーちゃんと心と身体が一つだったからそれが本心じゃないのはわかってるよ」

「でも私が巣に帰らないと多くの人に迷惑が掛かるんだ」

「私、モーちゃんと別れたくない」

「私もだ。ビアンカ」


 二人は抱き合って泣く。

 ボダニカルさんが意味ありげな感じでつぶやく。


「さあ、別れを惜しむ二人を前にラーゼルさんはどうしますか?」


 どうって言われても……。

 モニカが巣に戻らなければ、ドラゴンは辺りを焼き尽くすという。

 でも、モニカは戻りたくないと言っている。

 村の人の命は最優先だ。

 でもモニカを犠牲にするべきことなのか?

 俺にはわからなかった。


「どうすればいいんですか?」

「ラーゼルさん、それはあなたの決めることよ。私に見えるのは今この時点までのことだけ。今からの先のことは見えないの。ここから先はあなたが決断することよ」


 俺は覚悟を決めた!

 モニカはビアンカと別れるべきではない。

 絶対にモニカを巣に戻さない!

 俺はモニカとビアンカを連れてクローブの町に戻ることにした。

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