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生徒会室は秘密の監獄 ~義兄の執着と溺愛がひどくて困ってます~  作者: はなたろう


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2/6

#2 秘密の生徒会室

まだ、桜の蕾も固い頃。


零は編入手続きのため、母・百々子と聖音高校を訪れていた。



「急な転校と引越しになって、ごめんなさいね」



百々子は神大寺グループの本社で働いていた。

そこで代表である神大寺詠に見初められ、驚くほどの速さで再婚話が進んだのだ。


幼い頃に離婚してから、女手ひとつで自分を育ててくれた母。

だから零は、母が安らげる場所を見つけたのなら、自分のことは後回しでいいと思っていた。



「大丈夫。俺のことは気にしないで」



零は百々子の肩を軽く叩いた。



「玉の輿だな、母さん」


「そうね、自分でもまだ信じられないわ」



昇降口で靴を履き替えた時、百々子が「あら」と声を上げる。



「いけない、この書類……先生に渡し忘れてたわ」


「いいよ。俺が持っていく」


「でも」


「今夜、詠さんと会うんだろ? 先に行ってきなよ」



百々子は少し迷ったあと、「ありがとう」と小さく笑って校舎を後にした。


母を見送り、零は預かった書類を手に職員室へ戻ろうとする。


しかし――。



「……広すぎだろ、この学校」



似たような廊下が続き、完全に迷った。


土曜日の午後。

授業のない校舎は、不気味なほど静まり返っている。


窓の外からは運動部の掛け声が遠く聞こえ、別棟からは吹奏楽部の音色が微かに流れてきていた。



気づけば、特別教室が並ぶ最上階まで来てしまっていた。



その時だった。



「……っ、ぁ……」



熱を孕んだ女の声。


静まり返った廊下では、その声だけが異様に生々しく響いた。


零は思わず足を止める。


声の先には、『生徒会室』と書かれた重厚な扉。

わずかに開いた隙間から、薄暗い室内が覗いていた。



見てはいけない。


そう思ったのに、

零の足は吸い寄せられるように扉へ近づいてしまう。



そっと隙間を覗き込む。



乱れた制服。

机へ背中を預けた女子生徒が、熱っぽく息を漏らしている。



そして、その首筋へ深く顔を埋めている男子生徒。



――げ、まじかよ!



引き返そうとしたときだ。



男がゆっくり顔を上げた。



「……っ!」



零は反射的にその場から駆け出した。



階段を転がるように駆け下りる。

心臓が嫌な音を立てていた。



――その時、脳裏にひとつの言葉が蘇る。



『次男は生徒会長なんだ。色々と助けてもらうといいよ』



まもなく、義父となる神大寺詠とはじめて会ったとき。

彼は、穏やかに笑いながらそう言った。



生徒会長?



……まさか、な。



気付くと職員室に着いていた。



その時の零は、まだ知らない。


あの生徒会室で見た男に、

これから自分の人生ごと囲われることになるなんて。

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