表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/24

序章5

 一つ目は空腹感。確かに、目を覚ましてからそれなりの時間が経過している筈。

 それは解決せねばならない問題ではあるが、実はもう一つの方が緊急性が高い…さっきも似たような事を考えたか。


 だが切実なのだ。何がって?ほら、あれだ。アレ。え、わからん?えぇいわからん奴だな。まだ暫くは平気だろうが体内の貯水タンクが満タンの兆しを示してるんだよ!言わせんなよ恥ずかしい。


 この何からナニまで不明瞭な状態で初めて行う行為が野外とか嫌だぞ俺は。誰だって嫌だろうがな。

 明確なやり方だって知らん。

 そんな状態でこの脱げない呪われた装備に引っ掛けたりした日には眼も当てられん。


 …そこでふと思いだす。破れても元に戻っていたな、これ。

 裾を確認する。最初に横たわっていて汚れていた筈の分や、さっきの歩行練習で引っ掛けたり転んだりで破きまくった形跡は既に残っていない。


 地面の草や土を掴み、握り込んでから捨てる。漆黒の手袋に僅か付着した泥や土汚れも、両手で払うとキレイさっぱり消えた。

 もう一度、今度は雑草を指先で摺合せて草汁を染み込ませる。

 水分で変色した部分が巻き戻した…最近は早戻しだったか?どうでもいいか…様に消えた。

 念の為匂いを確認する。衣服全体から仄かに良い香りがしているのだが、潰した時に強く漂った草の匂いもしない。


 …再生してるのか、服の時間が戻っているのか、それとも他の理由かはわからんしまだ確証も取れてないが、ひょっとしたら洗濯要らずなのかもなー。

 いやちっとも嬉しくはないが。

 ついでにだからと言って聖水引っ掛けたり、あまつさえ漏らしたりしていいってもんでもない。最悪は避けられるかも?ってだけだ。


 ちなみに明確なやり方を知らんと言っても拭く物が必要な事くらいは流石に知っている。そしてソレが今手元にない事も。


 そこらの広いタイプの葉っぱをむしって紙の代わり?確かに針葉樹が多いと言っても広葉樹も少しはあるが、いやいや、かぶれたりしたらどうしてくれる。んなリスクの高い真似は出来ん。


 正確な距離は不明だが木々の間から見える位だ。何百mも離れてはいないだろう。

 もし登山者向けの山小屋ならトイレに類する設備くらいはあるかもしれない。

 普通に人が住んでる家だったら住人次第か。こっそり探りを入れて話が出来そうならコンタクトを取る。山賊のアジトとかっぽかったら逃げる。

 その時の排水は、諦めて川とおぼしきところで処理する…よし、行動の指針はこんなものか。


 結局自衛手段が定まっていないが…あまり悠長に構えていて、何の備えもないまま森の中で日が暮れたらその方がヤバイ気がしたので、動く事にした。


 それにしてもゲームにはトイレはおろか食事の概念すらなかった…まぁトイレはかなり珍しい部類か。

 俺が知ってる別のゲームでは、トイレの中にキャラクターを放置しておくと肥料が出来ている、程度だったか。


 つまり、ここが仮にゲームの世界だったとしてもそのままでは無いのだろう。

 ゲームに似た異世界、とかになるのか。


 そんな事を心の片隅で考えながら人造物に慎重に近づいていく。


 その途中、小川と言うのも憚られるくらい細い水流にぶつかった。

 頑張って跨げば対岸まで届きそうだが、とりあえずは飛び越えておく。


 正直、水源があるのはありがたい。

 とは言え生水を飲むのも抵抗がある。

 出来れば一度煮沸しておきたいが、文明の利器が一切入手出来なかった場合、零からその為に必要な工程をこなさなければならない事を考えると、そんな贅沢は言ってられないか。


 小川を越えて、再び人造物に近付いていき、一番近い木の幹に身を隠してから、こっそり覗き見てみる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ