懸賞金
◆西暦2000年4月27日(木)◆
今日は卸した魔物の清算をしにギルドに行く日だ。
日課の鍛錬、身支度をし、朝食を取ると異世界へと転移。
(ちゃんと電気、ガス、水道全部繋がった。電話はぼっちの私にはかかってくるはずがなく“ツーツー”と音が鳴る事だけ確認しておいた。ってか電話要らなくね?
あ、でも携帯は欲しいな。うぅ、やっぱ大人が必要だな)
ギルドに向かうとカレンさんに挨拶をして、解体所に向かう。
「カザドさんいますかー」
『おぅ、ちょっと待っとれ』
奥の方から返事が聞こえる。するとすぐにやってきた。
「おう、嬢ちゃんか。用意できてるぞ」
そう言ってお金の入った袋をドンとテーブルに置いた。
それから魔物ごとの素材や金額など、一つ一つ説明を受けながら、返却分の肉を受け取った。
「それじゃ、今回の買取額は合計で金貨68枚と銀貨7枚だ。確認してくれ」
「はい、確かにありがとうございました」
(わーい、結構ある。ラッキー)
「こちらももうけさせて貰ったわい。また持ってきてくれ」
「はーい」
(よし、こちらの世界の資産も金貨131枚になった。順調順調♪
それじゃ地球に戻りますか)
金の換金が思いのほか面倒なのとぼったくられてる感が否めず、あれからずっと別の資金調達方法を検討していたが、昨日ネット検索しながら新たな方法を思いついたのでそれを実行する事にする。
* *
(えっちゃん、特定の人の名前と顔が分かれば今どこにいるか分かる?)
≪全国の防犯カメラの映像から最後に目撃された時点までは追跡できますがそれ以上はすみません≫
(それで充分だよ。それじゃ、この人たちの中なら直近で映像に移った人教えてくれる?)
≪YESマスター≫
それから30分ほどすると、えっちゃんから返答が返ってきた。
≪マスター発見しました。“小柴信二”らしき人物が現在も映像内を移動中です。多少画像が荒いので100%ではありませんがまず間違いないかと≫
(お、500万じゃないの。オッケー。それじゃ、すぐ近くまで連れてって)
京都のとある町に転移後、すぐに辺りを見回し、通りを歩いている対象者を発見する。
(鑑定。うん、間違いないね)
近くのお店に入り、見た目おばさんの店員に、
「お姉さん、すみません。指名手配犯によく似た人を見つけたので通報してくれませんか?」
そういうと質問をさせる暇を与えず、対象者の元へ急いで向かう。
お姉さんは私が対象者に声をかけると察知すると、急いで店の中へ消えていった。
それを横目に対象者に声をかける。
「小柴信二さん、見っけ」
そう聞くやいなやとっさに逃げ出そうとするが遅い。すぐ様足を引っかけて転ばす。
「くそっ、何だガキかよ。てめぇ」
慌てて振り返り、相手が子供と知るや突然掴みかかってくる。
軽く避けて、すれ違いざま横っ腹に右ブローを軽めに叩き込む。
「ぐっ」
今度はナイフを取り出し突き刺してきた。
『キャー』
周りから悲鳴が聞こえる。
焦ってるからか、動きに無駄がありすぎて遅い。
ナイフを持つ手首を掴み、外側へ捻り転倒させると、そのままナイフを持った手を背中へを回し拘束。
背中に跨りナイフを奪って放り投げる。
暴れるが身体強化Lv7の力は半端ない。びくともしない。
『おぉー』
周りは拍手喝采である。
やがて制服警官がやってきた。
「警察です。通報があって駆け付けたのですが、お嬢さん、その男性がそうですか?」
「お疲れ様です。はい、指名手配犯の“小柴信二”を発見したので取り押さえました」
「小柴だとっ!?」
スマホを取り出すと画面をスワイプし、手を止める。
(おぉ、今は警察もスマホの時代なのか)
「よし、間違いなさそうだな。小柴ちょっと署まで来てもらうぞ」
すぐに私から譲り受けると手錠をはめる。
「俺は小柴じゃねぇ、人違いだ」
「話は署についてから聞く」
それから無線で応援を呼び、連行されていった。
『クソガキが、覚えてろよ!』
と、遠くから文句を言いながら。
「小娘にやられてりゃ空しいだけだよ?」
『ぐぬぬ』
「お嬢さんもちょっと署まできてくれるかい?」
「はい、分かりました」
(はぁ、やっぱこの資金調達方法も駄目だね)
あれから警察署に連れて行かれ、状況など根掘り葉掘り質問された。
懸賞金の事をさり気なく聞いてみたら、手続きに2~3か月かかるとの事。また未成年なので受け渡しには両親と同席するように言われてしまった。
両親はいないと一応言ってみたのだが後日連絡するとの事でそこで解放となった。
(お家の電話が役に立つ時がきました。ぱちぱち~。
はぁ、しかし何かうまくいかないなぁ…がっくしだよ。
懸賞金はもうあまり期待しないで忘れてしまおう、うん)
* *
「あー、うー、よし。こういう時は甘い物を食べるに限るよね。えっちゃん、ジェラートに行こう!」
≪YESマスター≫
【時差情報:-19時間】日本:12時45分 ホノルル:前日の17時45分
(またまた来ましたホノルルのお姉さんのお店。お昼も兼ねてここで食べよう)
「ヘレンお姉さん、来たよー」
「いらっしゃい、ひなたちゃん」
「また食べたくなっちゃった」
レジに向かいメニューをジッと見つめる。
「また来てくれてうれしいわ」
「うん」
もう夢中で、返事もおざなりだ。暫く悩んで決断する。
「すみません。このイチゴのシェ〇ブアイスとボバミル〇ティーお願いします」
「中々良いチョイスね。シェイ〇アイスも人気メニューよ。それじゃゆっくりしていってね」
商品を受け取って席に座るとさっそくスプーンで一口。
(うーん、美味しい。このアイス、口に入れると一瞬でほろほろと溶けてく。大正解だね)
そしてタピオカ入りミルクティーも飲んでみる。
(タピオカってこういう感じなんだね。つるつる入ってきて、触感も面白い。はぁ~、幸せ~)
まったりと幸せを感じながら、今後の事について思いを馳せる。
(これからどうしよう。子供たちを救っていこうと思ったら全然足りないよね。
もっと効率よく稼げるようにならなくっちゃ。あとやっぱ大人の力も必要だ。
…うぅ、頭が沸騰しそうだよ)
* *
自宅に帰ってきてからも気分は優れない。
(気分転換にせっかく美味しいものを食べに行ったのになぁ。せっかくの至福の時間が勿体無い)
時間が空いたので各部屋を”清浄“で綺麗にしながら、ついでに雑巾で拭き掃除していく。
夕食はまた幸お姉ちゃんのとこに行って“ふーちばーじゅーしー”というのを食べた。ちょっと苦みのあるヨモギの入った雑炊だ。うん、美味しかったけど、お子様な私にはちょっと早まった。
でも身体に良いと教えてくれたので頑張って全部食べたよ。
帰ってきてからも夜遅くまで頑張って拭き掃除をして回った。
《掃除がLv7に上がりました》
お風呂に入る頃には疲れもピークであやうくお風呂で水死体になるとこだった。
(でもどこもかも綺麗になって満足じゃ。おやすみ~)




