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268話:着替えから衝突が始まりそうです(改稿予定有り)

 シフィンに手を引かれ、学校階段下の人気のない場所に連れて来られた翔矢。

 そこでシフィンから、衝撃の一言を言い渡された。

 

 

 「え? アレは魔法の飴玉で舐めると性別が逆転する?

 そんなのあるわけ……」

 

 

 言葉を言い終える前に、シフィンが手鏡を翔矢に向けた。

 そこには髪が伸び、少し背が縮み、面影はあるものの、美少女へと姿を変えた自身の姿だった。

 

 

 「ホンマや!!」

 

 

 思わず手鏡を横取りし、その容姿を確認する。

 

 

 「もう一粒舐めたら元に戻るんだろ?」


 「いや重複はしないのよ、12時間くらいで元に戻るんだけどね」

 

 「今日1日の我慢って事か……」

 

 

 翔矢は顎に手を当て、数秒考え込んだ。

 

 

 「まぁ文化祭なら、変な格好してる奴もいるし……

 ってか、どっかのクラスの出し物で男装女装してくれるとこあったな。

 そこで遊んだって事にして戻ろう、ちょっと背も縮んだけど……まるっきし別人って雰囲気でもないし、文化祭の間くらいは誤魔化せるだろ」

 

 

 そこまで気にする様子もなく、翔矢は教室に戻っていった。

 

 

 「筋力とかも落ちてるから重い物とか持つの気をつけてねーーー!!

 っていない……本人が気にしてないならいいか、な?」

 

 

 数瞬だけ考えたシフィンは、そのまま文化祭を楽しむ事とした。


 

 

 ***

 

 


 教室へと戻る途中、翔矢はすれ違う人々からの視線を感じていた。

 その中の男子には、頬を赤く染めている者もいるが、本人は気がついていない。

 

 

 (やっぱ変かな?)

 

 

 なぜ視線を集めているのか考え、1つの結論にたどり着いた。

 

 

 「そうだ!! 女装なのに服装が元のままじゃん!!」

 

 

 服の調達方法を考えてみても、妙案が思いつかない。

 ちょうど横に、男装女装体験のクラスが見えるが、女体化している今の自分が行くのは、ややこしい問題が発生する気がした。

 そこへ、台車を引いているモヒカンが通りかかる。

 

 

 「おぉ!! モヒカン!!」


 「翔矢の……兄貴? なんか様子がおかしくないですか?」


 「気にすんな、それより女物の服ってあるか?」


 「ちょっと待ってくださいね」

 

 

 少し頬を赤く染め戸惑いながらも、台車の奥へ腕をつっこむ。

 

 

 「これしか見当たらないっすね」

 

 

 出てきたのは白のワンピース。

 モヒカンが売っているのは、食品以外中古品のはずだが、目立った汚れやシワもなく真新しい。

 

 

 「ワンピースか、コレどうやって着るんだ?」


 「俺っちに聞かれても」


 「だよな、まぁ何とかなるか、助かったぜ!!」

 

 

 翔矢はイソイソと代金を払い、その場を後にした。

 

 

 「文化祭で服って、結構売れるもんっすな、覚えとこ。

 いや、俺っち3年でした、卒業できるか知らんっすけど」

 

 

 立ち去る翔矢の背中をモヒカンは、シミジミと見つめていた。

 


 

 ***

 

 


 翔矢は、そのまま何も確認せずに更衣室に突入。

 文化祭期間中は、学年やクラス関係なく出入りしているのだが、そこにいた先客は3年と記憶している女子だった。

 

 

 「あっごめんな……」

 

 

 翔矢が謝罪を終える前に、先輩達がキラキラと目を輝かせながら迫ってくる。

 今までに感じた事がない種類のプレッシャーだったので、思わず一歩一歩後ずさりしていた。

 

 

 「君可愛いね!! 見ない顔だし1年生かな?」


 「え?」

 

 

 目の前には、着替え途中で下着姿の上級生。

 いくら体が生物学的に女性になっているとはいえ、ここまで近寄っても不審がられないのかとフリーズする。

 

 

 「ちょっとあんた!! グイグイ行きすぎて怯えているじゃない!!

 君ごめんねーーーゆっくり着替えてねぇ」

 

 

 上級生らは、ささっと後ずさりをして翔矢から離れていった。

 少し肩の荷が下りたが、この場で着替えるしかない状態。

 仕方なく結構しようとしたが、翔矢の手は止まったままだ。

 

 

 「ワンピースってどうやって着るんだ?」

 

 

 スカート側から被るようにすればいいのか、はたまたチャックがあるのか分からない。

 あまり悩んでしまうと、こちらの様子をチラチラと疑う、上級生から疑われてしまう。

 一か八か、翔矢は襟ぐりから足を突っ込むという奇行に走ろうとしたが、寸前の所で上級生から両手を取り押さえられた。

 

 

 「えっ? えっ?」

 

 

 しかし、自身の動きが奇行であるとは微塵も疑わない翔矢。

 彼にこの状況は「男だとバレた」という発想以外、浮かばない。

 

 

 「君、ワンピースって着るの初めて?

 そんな着方したら、頭が……アレだと思われるよ!!」


 「ちょっとあんた!! ソレは言い過ぎよ!!

 この子の可愛さなら、奇行も絵になるし」


 「きっ……奇行!?」


 

 ここで翔矢は初めて、自らの行為が奇行だったと知り、顔を赤らめる。

 

 

 「どれどれ、お姉さん達が着せてあげよう」

 

 

 何やら怪しげな目付きと共に、魔の手が翔矢に伸びる。

 しかも上級生は未だに全員下着姿だ。

 

 

 「いやっ……」

 

 

 何故、自分より先に更衣室にいた上級生達が、一向に着替えが進まず下着姿なのか、という疑念が頭に浮かんだが、ここでもう1つ大きな問題に気がつく。

 自分の今の下着は男物、それに加えブラジャーもしたいない。

 体が女性といえど、女子高生で、この状況は何か問題な気がした。

 

 

 (いざとなったら……多様性の世の中でゴリ押すしかない!!)

 

 

 そう覚悟を決め、両目を閉じるが、上級生が動いている様子は無い。

 恐る恐る薄目を開けると、上級生がまるで時が止まったように制止している。

 この状況に翔矢は覚えがあるはずだが、色々な事が重なっているせいか、それが抜けた様子。

 

 

 「シフィン様から事情は聞いております。

 とりあえず、これで誤魔化してください」


 「この声、ペネちゃん?」

 

 

 声は確かにペネムエのものだが、いつもと違い姿は見えない。

 普段、彼女は姿を消しても翔矢にだけは見えるので、疑問に思い口にしようとしうた。

 だが隙を与えんとばかりに、その声は話しを続けた。


 

 「そう長く時は止めておけません、急いでください」


 「おっおう!!」

 

 

 いつの間にか、手に握っていた布を確認すると、何とも可愛らしい女性モノの下着。

 肉体に精神が会わせているのか、不思議と恥ずかしさはなかった。

 下の方は素早く着替えたのだが、上の方の付け方が分からずにフリーズしてしまう。

 

 

 「もう……貸してください!!」

 

 

 手に持っていた下着が、再び声の主に渡り、素早く翔矢へ取り付けられる。

 

 

 「うっ……ブラって結構苦しいんだね」


 「ぶん殴りますよ!!」


 「えっ何で!?」


 

 その問いに返事は無いまま時は動きだした。


 

 「じゃあ、そのワンピースお姉さんが着させてあげるね」


 「あっはい」

 

 

 緊張でガチガチに固まっている翔矢に魔の手が迫る。

 彼女たちの注目は、今し方、着けるのに苦戦したブラに集まる。

 

 

 「うわぁ……可愛らしい顔してるのに、大きい」


 「羨ましい……」

 

 

 今まで可愛い子犬に向けているような視線が、急に尊敬の眼差しへと変わる。

 だが、そんな事に翔矢が気がつける訳はなかった。

 

 

 「でも君、下着はちゃんとサイズ合ったの選んだ方がいいわよ」


 「一目で分かる、キツキツな奴ね」

 

 「あっ……」

 

 

 この2人の言葉で、翔矢はようやく、先ほど声の主が怒っていた理由に気がついた。

 

 

 (ペネちゃんに後で謝ろう……いや余計に怒られるか)

 

 

 など思考を巡らせていると、着せ替え人形のように一瞬でワンピースに着替えが終わっていた。

 

 

 「パイセン方、ありがとうございましたーーーーー」

 

 

 礼の反応も聞かずに更衣室を飛び出していく翔矢。

 状況への恥ずかしさはあったが、やはり男性的な興奮はしておらず、自分でも不思議だった。


 

 「ってか、あの先輩達、人をこんだけ早く着替えさせれるなら、自分らも着替えろよ。

 なんで俺がいる間、ずっと下着のまんまだったんだ?」

 

 

 こんな事を考えても、答えは出ないのが分かっているので、一目散に教室へ向かう。

 何故だが今は、ワルパとグラビが厨房に立っているので、不安でならない。

 少しばかり息が上がりながらも、数メートル先の角を曲がれば教室なので、ペースを落とす事無く進む。

 それが良くなかったのか、タイミング悪く角を曲がってきた誰かと激突。

 翔矢は尻餅をついてしまった。

 

 

 「いって……ゴメンナサイ、急いでて」

 

 

 体勢を立て直し頭を上げると、そこには漫画から飛び出してきたようなヤンキーが、翔矢を睨んでいた。

 見慣れない顔に制服、恐らく他校から来たのだろう。

 

 

 「おうおうおう、お嬢ちゃんどうしてくれんの?」

 

 

 ガシッと腕を掴まれた翔矢は、経験から、話して解決するには途方もない時間が掛かると察した。

 

 

 「急いでいるんで……重ね重ねゴメンナサイ!!」

 

 

 この力いっぱいの右ストレートは、中学時代、数々の不良をなぎ倒し、彼に“紅の鉄拳”というあだ名を与えた。

 しかし、この不良は、不愉快そうな表情を浮かべるばかりで、痛がるそぶりすらみせない。

 

 「見かけによらず、凶暴じゃあねぇか」


 「分からせがいがあるなぁ」


 「え?」

 

 

 抵抗する間もなく、翔矢は不良達に連れ去られてしまうのだった。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練っているので少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると幸いです。


 下の星から評価も、入れてくださるとモチベが最高潮になるとか。

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