全員集合
「おはよう、ソラ」
「ってどんだけの荷物だよ」
朝一でカズからつっこまれた。当たり障りのない範囲で事情を説明する。
お父さんの病状は伏せておいた。
「おはよう、ソラ君」
ユリカは事情を知っていたのか聞いてこない。
そういえばユリカには頼み事があった。
「おはよう」
「そういえばさ、急で悪いんだけど――」
修学旅行時の点呼係りはユリカだったんだけど変わってもらった。
すぐにユリカも理解してくれて快く納得してくれた。
担任にも言っておかないとな。
俺ら二年生は三クラス。学校の玄関の前に整列して校長先生が皆の前に立つ。
当然の様に話なんて入ってこない。
俺はミナがちゃんとバスに乗ってくるのか、不安でしょうがなかった。
あまりにも長いから教頭が止めに入る。いつもならあり得ないが、飛行機の時間があるから遅れる事はできないからだろう。
二年生代表でカズが挨拶をする。前にユリカと一緒に考えてただけあって、そつのない文章だ。
やっとの事でバスに乗り込む事に。
最初の点呼だ。
クラスの名簿順に名前を呼び順番にバスに乗り込む。
ミナのところは飛ばした。
総勢二十四名と担任と教頭が乗り込む。
バスの席はだいたい教室の席順と同じ。
俺は点呼係りだから一番前に座る事にした。
本来カズが隣に座るはずが気をきかしたのかユリカの隣に座って、まだ俺は一人。
三台あるバスが一斉に動きだす。広いと感じていた校舎の玄関前も今はごちゃごちゃと感じる。
校長や保険の先生、用務員のおっちゃんらに見送られ俺らのバスは一番最後に校舎を後にした。
車中で揺れるなか、まだ落ち着かない。
途中、通路を挟んで隣の席の担任の携帯の着信音が鳴った。
俺の中で嫌な予感しかしなかった。ミナはやっぱり来れないんじゃないか。そんな想いだった。
担任が携帯の電源を切る。俺は気がついたら担任の方を向いて会話の内容を聞く準備をしていた。
そんな俺を見かねて、担任は笑顔で大丈夫よと一言伝えてくれた。
その後、運転手に予定通り病院前でお願いしますと担任が頭を下げていた。
良かった。
とりあえず。
それから少し経ってバスは病院前で停まった。
待っていたミナが乗り込み、母親は何度も頭を下げていた。
クラスの皆には父親の病状までは説明していない。皆には変に気を使って欲しくないというミナの希望だった。
ミナが俺の隣に座ったとこでカズがおもむろに立ち上がった。
「みんな揃ったし、目一杯楽しんでこようぜ」
カズが景気づけと言わんばかりに声をあげる。 クラスの皆も普段のテンションではないので、オ〜と続いた。
そんなキャラだっけか、カズって。
担任も全員が揃ってほっとしたのかなにも言わず、教頭と目を合わせて笑っていた。
いきなりの皆のテンションにミナはちょっと面食らってキョトンとしていた。
「伊藤 美奈」
俺はミナに聴こえるかどうかの小声で点呼をした。
「ん」
なんのことか分かってないミナが俺の方を振り向く。
その顔を見て俺はミナの名前のところに丸をつけた。




