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灰色の空  作者: 灰色の猫
21/51

白+黒


 ミナの家の前にいる俺は不思議と落ち着いている。


 もう少ししたら、この玄関からミナが出てくる。


 正直、告白までの流れはノープランだ。



 ただ、想いを伝える。その事は間違いなく実行する。





「おまたせ〜」

「って、おろ」


「なんか今日のソラ、雰囲気違うね〜」



「そういうミナこそ」


「口紅塗ってるのか」


「おっ」

「そういうとこ気付くのはポイント高いよ〜」


「でも、これはラメが入ったリップクリームだよ」



 ポイント高いのか。

 よっしゃっっ。



 あとは直接言えないんだけど、ミナがホットパンツを履いてる。

 ミナの太ももが眩しくて直視できない。


 上は白のタイトなシャツ。色々眩しくて目が。



「どしたの、ソラ」


「い、いやなんでもない」

「ミナ、その荷物は」

 珍しくミナがバックを持っている。


「ん〜内緒」

「そっか、まあそれじゃあ行こうか」


「うんっ」


 ミナのこの笑顔。もっとたくさん見たい。


 よし、頑張るぞっ。


 夏まつり会場に来たミナは、あっちの店、こっちの店と大忙しだった。しまいには、何ヵ所か焼き鳥を買い食べ比べしてるし。

 それが終わったら、たこ焼き。えっ……まだ食うの。


 次はクレープ屋。別腹タイムか……


 さすがにクレープ屋は一つしかなく、長い行列に俺達は並んだ。

 俺が並んで買うからミナは休んだら、と提案するが「一緒に並ぶ」その一言で却下された。


 ちくしょ〜


 かわいいです。



 狭いスペースに人がたくさん並んでいると、俺達の距離も自然と近くなる。



「なんかソラ、いい匂いするね」


 ミナが匂いの出どころを探して、色々嗅ぎまくる。


 近いっ。近すぎるっ。

「あっ、髪だな」


「姉にワックス借りたからな」


「女物かぁ、こういう匂い好き」



 よし、今度買ってこよう。姉ちゃん、ありがとう。


 ミナの香り当てゲームが終わったところで、やっと順番がまわってきた。

「ミナは何にするの」


「やっぱ、チョコバナナでしょ」

「だよね」

「すいません、チョコバナナ二つください」



「あいよ、六百円だよ」


「じゃあこれで」


「あい、四百円のお返しで」

「まいどっっ」



「ソラ、いいの」

「おごってもらって」


「いいのいいの」

「いつかのお返しだから」


「うん、わかった」

「ありがとねっ」


 にしても今日のミナは素直だな。

 やっぱり祭りだからテンション高いのかな。




「ふう、食べた食べた」

「ほんと、食べ過ぎだよ」


「よく太らないな」


「普段は食べないからねぇ、今日は特別」




 ……なんかタイミングを図るのもしんどくなってきた。

 お腹一杯のとこ悪いが、


ミナには告白も受け取ってもらおう。



「……ミナ、ちょっとあっちで休憩しよう」


「う〜ん、いいよ」


 ミナの手を取り、人気のないところにリードしていく。

 さすがに周りに人がいる中ではできない。



「や〜だ、こんなとこ連れてきて」


 なんか酔ってるみたいだな。






 近くに川が流れていて、川の音が祭りの音よりも大きく聴こえる。


 やっと、この時がきた。



「……ミナ、聞いて欲しい事がある」


「どしたの、ソラ」



 俺はミナの右手を両手で握り締め、ミナの目をまっすぐに見つめる。



 ……するとミナが、なぜか優しい表情になり、俺の目を見つめ返してくれる。




 どのくらい時間が経ったのだろうか。


 いや、たいして時間は進んでないのかもしれない。



 でも、二人の時間を今からでも進めたい。時計の針が錆び付かないうちに。







「ミナ、大好きだっ」


「俺と付き合ってくれ」


 言えた。


 やっと言えた。


 俺は安堵したのか、握っていた手の力を弱める。

 ミナのこたえは。


 すぐに神に願って俺は手の力を強める。


 するとミナの目から涙が。握り過ぎて痛かったのか。



 もしかして……




 やっぱりミナは俺の事を。


「やっと」


「やっと言ってくれたね」

「ソラ」



 えっ、どういう事なんだ。



「ずっとその言葉を待ってたよ」


「わたしもソラが大好きっ」



 その言葉を聞いて叫びそうになった瞬間、大きな打ち上げ花火の音が鳴り響いた。


 まるで俺の気持ちを表現してくれている様だ。


 花火の光に照らされているミナを見つめながら

「ありがとう、ミナ」


「遅いよ、ソラは」


 怒られてしまった。


「ごめんね、待たせて」

 そう言ってミナを抱き締める。

 小さい頃から一緒にいた女の子を俺は初めて抱き締めた。


 思っていた以上に細く、想像以上に温かった。



「もう、こんなんじゃ足りないんだから」


ミナはそう言いながら俺を抱き締めかえしてきた。

 ちょっと痛かったが、我慢しよう。これがミナを待たせた罰なんだから。


まだまだ二人だけの時間は続きます。

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