追放、されど幕引きは凪
「――正気か?」「あぁ、いたって正気だね。」
随分と食い気味にパーティリーダー――アマル・ガルド・パレンティア
――通称アマルが宣告する。
「……君が居たままでは僕の理想は追求できない。幸い、この魔道具を手に入れることができたから君の心配はいらないよ」
アマルがテーブルの上に置いたのは先史時代の魔道具である広域索敵魔道具――
天の瞳
……確かにこの魔道具があれば俺が再三心配している"魔物による奇襲"は考慮に値しなくなる。
「……その判断でいいんだな。アマル。」
俺がそう聞き返したとき、アマルの瞳は揺らいでいた。
――君は理想を諦められる男じゃないだろ
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最初の出会いは確か……半ば強引にアマルからスカウトされたことがきっかけだった。
「君、冒険者をやる気はないかい?」
正直、青臭い貴族の小僧だと思っていた。
パレンティア家の次男坊。
若くして傭兵としての生活をしていて頻繁にはこの地域にいない俺だって名前の知る名家だった。魔族の住処にほど近いこの地域において、貴族の身分であるにも関わらず勇気をもって先導して戦った英雄――ガルド・パレンティアを祖とする一族。
今でこそ魔族との戦争は終結し、ただの比較的良好な地方貴族という印象でしかないが、この男――アマルはその家系の祖の理念を体現したかのような……そんな奴だった。
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そんな男が君が居ると理想は追求できないと
……そう言ったのだ。
このパーティで十年近くは共に過ごしてきた。幾度となく語られた彼の理想を俺が知らないはずもなかった。けれどアマル――君は優しすぎる。きっと天の瞳を入手することがなければ、なあなあで俺の小言にも付き合いながら一緒に冒険をする気でいたのだろう。……俺を心配させたくないから、と。
――だとするなら俺は彼にとって枷でしかない。
その理想は俺にとっても単なる夢物語な理想ではなかったから。
「――そこまで言うなら。アマル、お前の判断を受け入れる」
彼の助けになるならと有り金の大半を置いて酒場を後にする。
俺が振り返ることはなかった。アマルも呼び止めることもなかった。
きっと俺もアマルも苦虫を嚙み潰したようなひどい顔をしていただろうから
こうして俺――アコール・ネイチュはパーティ――導きの星を追放された。
アコール・ネイチュ
平民出身。貧困家族の生まれでアコール本人が家族への負担を気にして若くして自立して家出。傭兵団に所属することになる。アマルに無理やりスカウトされる形で傭兵団から引き抜かれる。 一般的な長剣に丸盾と機敏さや柔軟さを意識した実践的な装備。魔法適性はない。
アマル・ガルド・パレンティア
ガルド・パレンティア家の次男坊で、領民の安全や領主を引き継いだ兄を助けたい、もしくは兄とは違った活躍をしたいという夢を抱いた男。保守的、安全面を重視したアコールと違い、アマルはどうしても利他的な考えを捨てきれずに無理をして行動を起こしやすいという主義の違いですれ違いが起きている。一応本人としては騎士団学園に入学後、王国騎士団に所属するというのも考えたそうだが、戦争に加担する可能性を考えて冒険者になったという。節々は動きやすく改造しているが金属鎧ベースの装備にデカめの大盾、斧槍を主体とする。
ペリカ・ティアーノ
元々は魔術学園で魔術を学んでいたが地味な研究が嫌すぎて途中で自主退学して冒険者に転向。派手な戦い方が何より好き。学術的な知識人でもあり、冒険者にあこがれる熱意は誰よりも高かったため、やたら魔物の知識がある。炎と水の二属性を操つ魔術師。
セヴィア・ビサイド
地方の修道院出身のシスターだったが、直接的に人を救いたいと思って冒険者に転向。アマルが酒場でロウバーやアコールに語っていた自身の崇高な理念である"人々をできる限り多く救いたい"に共感して"導きの星"に加入。回復魔法を得意としている。
ロウバー・ハウンド
元王都の地下街のスラム出身。たまたま王都での貴族交流会のために王都に来ていたアマルの財布をスリ取ってしまったのが出会いのきっかけ。しかし、アマルは生まれや身分の差を気にしていない珍しい貴族でありロウバーはそこにほれ込んでアマルについていった結果成り行きでパーティに加入。パーティにおける成立当初のメンバーの一人。弓、短剣を扱い俊敏な動きで敵を翻弄する。




