第1話 入学式
まず初めにみんなに伝えないといけないことがある。
そう、それは――
この世の全てはクソである!!!!
ということだ。
俺は朝目が覚める。家には誰もいない。いるのはただ1人……俺だけだ。
父さんは俺が小学生の頃に死んだ。今は母さんが1人で俺を養ってくれているが、お金はそれだけだと心配だと小学生の俺は考え、投資を小学生の頃からしていて、あまりお金には困っていない。だが母さんはほとんど家にいない。これが現実なのだ。
俺の名前は影山蓮。この世の全てはクソであると思っている。そんな俺は今日、高校の入学式を迎える。
家が近いという理由で選んだ、公立高校の瀬ヶ丘高校。偏差値は50後半で頭が良すぎる訳ではなく、悪すぎる訳でもない。俺は普通の高校だと思っている。
「はぁ〜高校かぁ嫌だなぁ」
本当は高校なんて行きたくない。だが母さんに行けと言われて逆らえる訳がない。家にほとんどいないとはいえ、俺をここまで育ててくれたのだ。
俺は朝のルーティンのために動きやすい服装に着替える。俺は毎朝軽くジョギングをしている。何かあった時のために体力が必要だからだ。この世は全てがクソなんだから信じられるのは自分自身だけだと俺は思う。
俺は家を出て、30分ほどジョギングをして家へと戻る。
家に帰ってきたら、朝ごはんの準備をして、朝ごはんを食べる。朝は軽く作る程度で、パンに味噌汁、サラダ、牛乳はいつも食べたり、飲んだりしている。あとは昨日の夜ご飯の残り物を食べるくらいだ。
俺は朝ごはんを食べ終えて、学校の準備をする。
「そろそろ行くか〜」
俺は高校に徒歩で向かう。
瀬ヶ丘高校に着くと、大々的に入学式という看板があった。
俺はここに3年間通うことになる。はぁ〜嫌だ。学校にいい思い出などないのだ。
中学の時なんてそれはもう…………
俺は校門をくぐり、人が大勢いる方に向かう。そこには、クラスと番号などが張り出されている。クラスはA組からJ組までの10クラスあり、1クラス40人の合計400人が新入生だ。
「えっと〜俺はA組の5番か」
俺はそれを確認したらすぐに自分の下駄箱に靴をしまい、上履きに履き替えて、クラスの教室へと向かう。学校4階建てで、俺ら1年の教室は4階にある。
階段を登り終えて教室に入るともうだいぶ人が集まっていた。だが俺はあまり人と馴れ合う気はない。新しい友達?そんなこと知ったこっちゃない。心底どうでもいい。
他人なんて信用できないのだから、いつか裏切られると分かっているから……そんなことを考えながら、俺は自分の席に座って趣味の小説を読む。小説を読み始めて数分経ったあと、誰かが俺に話しかける。
「蓮〜!おはよ!同じクラスだったね」
この声には聞き覚えがある。というかいつも聞いていた声だ。顔を上げるとそこにはいつもと変わらない顔があった。
「はぁ、なんでお前がいるんだよ。流石に同じクラスだとは思わねぇだろ」
こいつは俺の幼馴染の藤本夏帆。幼稚園のころからずっと一緒だ。
「まぁまぁそんなこと言わずにさ〜私は高校でも同じクラスになれたことめっちゃ嬉しいんだぞ!」
「そうですか……」
こいつは俺の過去を知っている人間だ。この学校にはこいつと俺だけが同じ中学から入学した。
藤本と話していると、急に扉が開き、先生が入ってくる。
「お前らぁ!おはよう!!!」
先生が教室全体に向かってそう言うと俺ら生徒も
「おはようございます」
と返事をした。
「なんだお前ら?元気が足りないぞ!今日は入学式なんだ!元気よくいこうぜ!」
先生だけがやたらと元気だった。
生徒はみんな入学式で緊張しているだろうから、声が出ないのは普通だ。
「さて、入学式は体育館でやるからな!これから移動するぞ!番号順に2列で並んでくれ!」
俺らは廊下へ出て番号順に2列で並ぶ。クラスのやつらが並び終えたら体育館へと向かう。体育館ではすでに2,3年生が椅子に座っていたり、保護者が座っていたりした。
俺らは中央の空いている道を通り、入場した。
その後はだらだらと時間が過ぎていき、退場して、クラスへと戻る。
はぁ、長いんだよなぁ〜入学式とかって……2時間も座らされて普通に眠かった。なんなら新入生の名前が呼ばれたあとは寝ていた気がする。
そんなことを考えていたら、先生が黒板の前に立ち、
「よぉーし!お前たちの担任になった赤城晃だ。学年主任も任されている。あとは体育の授業を受け持っているからよろしくな!」
みんながパチパチと拍手をする。
「ありがとうありがとう!じゃあ1番から自己紹介していこうか!」
うげっ!自己紹介……これだから学校は嫌なんだ。
俺の番になり、
「影山蓮です。好きな食べ物は麺類全般です。趣味は読書です。よろしくお願いします」
ふぅ〜とりあえず俺の番の自己紹介は終わった。みんながパチパチと拍手をする中、1人だけ大袈裟に拍手をする奴がいる。ある程度順番が回ったあと、
「私の名前は髙橋日和です。好きな食べ物はおにぎりです。趣味は読書とかドラマを見ること、あとは友達と遊ぶことです。みなさんよろしくお願いします」
綺麗な子だなと見惚れてしまった……不覚だった。
そして、
「私の名前は藤本夏帆です!好きな食べ物は甘いものです!趣味は友達と喋ること!みんな仲良くしたいです!よろしくお願いします〜!」
そう、拍手大袈裟事件の主犯はこいつだ。
はぁ〜迷惑だ。本当に……
クラス全員の自己紹介が終わると赤城先生がみんなに向かって話しかける。
「みんなの自己紹介終わったな?みんな仲良くやっていこうな〜!1度しかない高校生活だ!みんな楽しんでいこう!ただ勉強も忘れちゃダメだぜ?じゃあ今日のところは解散!また明日!」
やれ仲良くしろだの、やれ1度しかない高校生活など反吐が出る。はぁ〜ヤダヤダ。これだからこの世はクソなんだ。何々をちゃんとしろだの、青春しろだの押し付けてくるやつは大抵クソだ。ゴミだ。
さっさと家に帰って読書をしたい……
「蓮〜!待ってよぉ!一緒に帰ろうよ〜」
藤本が話しかけてきた。
「はぁ、藤本……ほっとけよ俺のことなんて。1人で帰る」
あんまり幼馴染だからといって関わりたくない。信用したくない。どうせ裏切られる。それを俺は知っている。だったら最初から信用しなければいい。ただそれだけだ。
「ぜーーーーったい!嫌だね!唯一の幼馴染なんだから!というか藤本って言うのやめてよ!昔みたいに夏帆って呼んでよ!高校こそ夏帆って呼んで!」
小学生の頃は夏帆って呼んでいたっけな……そんなことはどうでもいい。
「呼ぶ名前なんてなんだっていいだろ?」
「いやだ」
はぁ……こうなるとこいつはめんどくさい。
「はぁ〜……夏帆、俺のことなんてほっとけ」
でかいため息をついたあと、俺は夏帆と呼んでやった。これで離れてくれる……そう思っていたら、
「ふふん!蓮は素直じゃないんだから!最初から素直にしとけばいいのに……ほら一緒に帰るよ!」
俺は腕を掴まれ、引っ張られ強制的に一緒に帰ることになってしまった。
「おい……離せよ」
「離しても一緒に帰ってくれるの?それならいいよ?」
「分かったから、離せ」
夏帆は腕を離してくれた。
ここで俺が逃げたら明日から一生付きまとってくる……そうに違いない。だからしょーがなく俺はこいつと帰ることにした。
「はぁ〜なんでこいつと帰らないといけないんだよ」
「うるさいなぁ!いいだろ!私が帰りたいって思ったんだから」
わがままで自分勝手、それがこいつ、藤本夏帆だ。いつもこいつに振り回される……それが俺だ。俺を振り回す理由が分からん。だが、何となくは分かる……面白がっているんだ。どうせそうに違いない。
そして、帰り道。
「蓮!……蓮ってば!」
「あ?耳元でうるさい、もっと離れろ」
こいつはいちいち距離が近い。
「今のちゃんと聞いてた!?高校でもちゃんと友達作るんだよ!?」
「うっさい……友達なんていらない……もうあんなことを経験したくないんだ……」
俺には中学の時に親友がいた。毎日のように遊んで話して、最高に楽しい日々を過ごしていた。だがある日、俺は裏切られた。その内容を思い出すだけで俺は吐き気がする。頭が痛い。だからもう考えたくない。中学の頃なんて思い出したくない。
「中学の頃のやつなんて引きずってちゃダメだよ!」
「お前に俺の気持ちが分かるわけないんだ」
家の目の前についた。悲しいことにこの幼馴染とは家が隣同士だ。
「じゃあな、明日は話しかけて来るなよ」
「いやだね〜だ!」
そう言って分かれた。
「はぁ〜家が1番落ち着くわ〜誰もいないこの空間!1人って最高〜!」
俺は部屋着に着替えたら、小説を読み始めた。
小説を読む時間は好きだ。現実のことを考えずに済むからだ。
いろんな小説を読んでいるが作家それぞれに個性があってとても面白い。
あと小説をずっと読んでいたおかげか、国語はとても得意だ。いろんな漢字にも触れる機会があり、自然と覚えていた。
ちなみに今読んでいる小説は異世界を舞台にしたファンタジー作品だ。ファンタジーがジャンルの中でも特に好きだ。
小説を読んでいるとあっという間に時間が過ぎて夜ご飯の時間になった。
「今日は肉じゃが作るか〜」
比較的料理は好きだ。母さんがほとんど家にいないから自分で料理をいろいろと作るようになって、最近楽しいと思っている。自分で食べたいものを好きなだけ作れる。最高だ。
夜ご飯をいろいろ作って、食べ終えると、勉強を始める。ある程度時間が経ってお風呂に入り、俺は眠りにつく。
「明日も学校かぁ……めんどくさいな」




