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「あの女。イケメンには粉振ってるって話し、本当だったな。気持ち悪い。」

彼はそう言いながら空いてる手で自分の腕を擦っている。

私は、彼女の事何も知らないから、どう返せば良いのか解らず口をつむっていた。

「あっ、ごめん。珠稀に聞かせる話じゃなかったな。」

詫び入れるように言う彼に首を振って返す。

「私、先輩の事何も知らないから、何て言ったら良いのか……。」

そう口にしたら、手をギュッと強く握られて。

「珠稀は知らなくて良いよ。俺が排除するから。」

耳許で言われたけど、このままじゃダメなのも解っているから苦笑するしかなかった。


「珠稀、おはよう。」

教室に入れば、星香が嬉しそうに声を掛けてきた。

「おはよう、星香。」

挨拶を返せば。

「昨日はありがとうね。久し振りにデート楽しめた。」

ニコニコの星香。

それは良かったと思いながら笑みを浮かべてると。

「おーい、石村。俺は無視か?」

不満そうに彼が口にする。

「何だ、居たの? 木崎、おはよう。でね、今度珠稀と一緒に出掛けたいって理央が言ってるんだ。あっ、妹ちゃんも一緒にって。」

彼に対しての対応はそっけないく、直ぐに嬉しそうな顔をして話し出す星香。

まぁ、趣味が似てるからのお誘いだと思うけど……。

「私は良いけど、妹は部活で忙しいから、聞いてみないと何とも言えないんだけど、確認してからでも良い?」

「うん。良い返事期待してる。」

星香が期待の籠った目で此方を見ていた。

「それ、俺も行きたい!!」

唐突に言う彼に度肝を抜かしながら、彼を見る。

「へっ……。」

星香も驚いた顔をして彼を見る。

「珠稀が行くなら俺も……。」

「何処に行くって?」

彼の言葉を遮る様に瑞歩の声が聞こえてきた。

あ、これは不味いかも……。

「瑞歩、おはよう。」

星香が瑞歩に声をかけた。

まぁ、星香は前から瑞歩を警戒してるから……。怪しまれないようにするにはそうするしかなかったんだろうけど……。

「おはよう、瑞歩。昨日はありがとうね。」

私も声をかけた。

「おはよう、そんなの気にしなくて良いよ。……で、木崎くん何処に行くって?」

瑞歩が彼に向かって追求しだし、彼は私たちの方に視線を寄越してきた。

私たちは首を横に振って言うなと示したら。

「図書館。ほら、イベント終わったらテストだろ。だからさ、図書館で勉強しないかって話をしてたんだ。」

彼がとっさに言った言葉に。

「なんだ、図書館か。」

興味を無くして、自分の席に着き資料本を出して書き始めた。


私と星香は顔を見合わせてホッとしたものの、彼は不思議そうな顔をして私たちを交互に見ていた。


まぁ、彼女勉強好きじゃないから、その案は正解だけど、実行するの?

するとしたら、誰と?


胸の中がモヤモヤする。






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