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第十一話・故郷に妹と会うも、其の姿みるみる豹変す


【第十一話・故郷(こきょう)に妹(いもうと)と会(あ)うも、其(そ)の姿(すがた)みるみる豹変(ひょうへん)す】



さてさて、郷里を目指すご一行。

ついたのが城をでてから5日目の昼。

この村は、牧畜が盛んで、みな一様に放牧が仕事であります。


メロスの妹レダは留守を任されておりましたので、これも仲間とともに、仕事をしておりました。

そこに、メロスとサロメ。のんきに手を振って妹を呼んでおります。


「レダー!レダァーーー!!」


「あ!兄さんだ!帰って来た!」


走り寄る妹レダ。


「お帰り。兄さん。花嫁衣装は買って来てくれた?」


「もちろんだとも!ほら。これだ。」


「まぁ素敵…。うれしい…これを来て、あの人のところにいけるのね…。」


「よかったなぁ…レダ…。」


レダはメロスの後ろでニコニコしている僧侶に気付きました。


「あの…ところで…この方は…??」


「うん、オレの旅仲間さ。」


サロメは深々と頭を下げ


「初めまして。僧侶のサロメです。勇者様のお供をつかまつっております!」


ときました…。


メロスにしてみれば、村に帰るためだけの一時しのぎの仲間のつもりだったのですが、最初から勇者と勘違いされ…、それを言うタイミングも逸(いつ)し、あまつさえ、向こうはこちらに惚れております…。

しかし、自分は死ぬ身。


サロメとは祝言をあげることはかないません。自分の思うままに気持ちを伝えてもすぐに悲しませてしまう。

そんなことは言えようはずもありません。


しかし、そんなところに妹に「勇者」などと言われてしまい…どう取り繕(つくろ)ったらいいか悩めるメロス…。


そんな悩んでいる兄に対し、レダはニコリと笑って、


「まぁ…勇者様の…。それはそれは…。…兄さん、ちょっとこちらの羊小屋で話しがあります。…サロメさん、暫時(ざんじ)お待ち頂けます??」


「はい。」


二人はあわせて返事したものでした。


レダとメロス、兄妹、ともに羊小屋に入り込みます。

とたんに、レダ豹変しメロスにつかみかかります!

内気な妹…その設定はもろくも崩れ去ったのです!


「あのさぁ…なに?あの娘…。」


「え?いや…仲間…。」


「あたしも16歳で結婚する身だから、とやかくは言えない。けどさぁ…なに?あの娘の首筋の「赤いアザ」…。いい歳なんだからさぁ~、そーゆーのやめてくんない?こっちまで後ろ指さされんだよ??」


襟首をつかんで、ギリギリと締め上げメロスの体は徐々に宙に浮いて行きます。


「イテテテテ…いや…その…それは…。」


「は?手を出してないとかっていうつもり??」


「その…まさかです…はい…。」


賢明な読者諸君ならば憶えておりましょう。

先のインクブス、スクブスとの対戦で、卑怯にも魔法をかけられサロメの首筋に唇で強く吸ったあれが仇をなし、妹レダに仲間を襲う卑劣漢と勘違いされたのです!


インクブスとスクブスの魔法は後からじわじわと効いてきたのでした!恐るべし!夢魔夫婦!


さらに、胸元をつかみ、壁にメロスを激突させるレダ。

この村の女子はみなこの程度の力、兼ね備えているのです!


「あんた、あのアザがどういう意味かあたしが知らないとでも思ってんの?」


「誤解です。イタぁ!」


「誤解も六階もない!」


そんな時、表から声がいたします。


「あの~??勇者様??なんか音が聞こえましたけど…大丈夫ですか?」


「あ~…大丈夫。……ですか?ボクは。」


「え?なんで疑問系?」


小声で聞くレダ。


「なんであんたが勇者??」


「いや…万(ばん)止(や)むを得ず…」


首を締め上げるレダ。よっぽどサロメの首筋の性痕(せいこん)が気に障ったのでしょう。


「テメーそういって、誑(たぶら)かしたんだろ!そうゆう男だったのかよ!」


「イデデデ!サロメに…!サロメに聞いてください…!」


「わかった…。それでハッキリすんだろ。」


手を放し、外に出る二人。


「サロメさん。こ狭(ぜま)いですが私どもの家へいらっしゃいませ。」


「はい!」


うれしげなサロメ。

家につきますと、すぐさまお茶を出すレダ。さっそく本題に入ります。


「サロメさん…?」


「はい!」


「兄とは…どういう関係?」


「あ…仲間っていうか……その…。」


しきりに、目配せを送るメロス。


(サロメ!わかりまっしゃろ!)


という感じ。

だが、サロメは世間知らずの天然…。

それを、恋のウインクと勘違いしたのです。


「こ、恋人です!」


メロスをキッと睨みつけるレダ。

手で顔を押さえたままのメロス。


「その…恋人の行為とかは…やっぱりなされますよねぇ…。」


(なんのことかしら…悪魔達にあやつられてキスしたことかしら??)


「サロメ!なにもない!なにもないよね?俺たち!」


と言われた途端、目からこぼれ落ちる、一筋の涙…。


「あれ…おかしいな…勇者様がなにもないっておっしゃるんなら、なにもないはずなのに…ウグ…」


クスンクスンと泣き出すサロメ。あきれた顔のレダ。

メロス、観念としたと言うかやけっぱち。


「あ~、やりました。100回やった!」


「てめぇ、ウソまでつきやがったな!玉蹴り上げて、口から出してやるッ!!」


「やれるもんならやってみろ!」


取っ組み合う二人。


「やめて!やめて二人とも!」


「兄より強えぇ妹など存在しねぇ!!」


「キャノンスパイク!スパイラル…アローー!!!」


「うわぁーー!うわぁーーー!うわぁーーー…。」



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