第十話・愛する二人、桃源郷に游び楽しみ今将に窮地に追い込まれん
【第十話・愛する二人、桃源郷に游び楽しみ今将に窮地に追い込まれん】
「今だよ!!」
スクブスの号令の元、火の玉は轟音を立てながら、メロスたちを襲います!!
とたんに鳴り響くレベルアップのファンファーレ!!
二人のレベルは急上昇に上がってゆきます!
せいおうのマントは、ひのたまをはじきとばした!
インクブスをやっつけた!!
スクブスをやっつけた!!
まもののむれをたおした!!
そこにいた、魔物たちは、すべて灰になってしまったのです!
サロメはメロスに覆いかぶさられ、天の方を見ていたので気づきましたが、メロスはまだ気づかないまま。
「サロメ…ん♡ん♡ん♡ん♡」
サロメの首筋に唇を押し当てるメロス。
「勇者様…おやめください勇者様!!」
「え??」
「悪魔達を倒したんですよ!術も解けたでしょう!」
「あ…ホントだ…。でも…どうやって…。」
「抱きしめあって、二人で地面に倒れたのがよかったんです。聖王のマントが二人をつつんで、悪魔の魔法を弾き飛ばしたんです!」
「ホント!すげーー!!け、計算通りだぜぇ~!」
「え?ホント?勇者様!」
「ホントさ。」
笑いあう二人。サロメが
「ね、勇者様。あれ…ホント??」
「え?」
「…愛してるって…。」
「あれは…ホラ…。」
「いや、ごまかさないでくださいよ…。」
「いやぁ…知ってる?ベットの上での結婚の約束は無効なんだよ?」
「え?だからなんですか?」
「だから…魔法で言わされたのさ!」
「またまたぁ。もう、聞いちゃったもん!勇者様は私を愛してるって!」
「さーどうかなぁ~。」
「二人は、愛し合ってるんですもんね!勇者様!」
「さてさて~。ははは。」
「ふふ…。ねぇ…勇者様…。」
「ん??」
「ぼおかるってなんですか?」
メロスは大いにズッコケました。
「あら…??」
「どうした?サロメ」
「勇者様!宝箱です!」
「おお!今までのボス戦ではいいものゲットして来たから、今回のもきっと…。」
メロスは たからばこを あけた!
あかいゆびわを てにいれた!
「指輪…??」
「あら、キレイな指輪ですね!」
「こんな、宝石のついた指輪を男がしててもしょうがない…サロメにあげるよ。」
「え?え?え?それって特別な意味!?」
メロスは思いました。めんどくさ!この女…とね。
サロメはさっそく、指輪をつけてみました。
「うーん…別に特別な効果があるわけじゃないのかなぁ…。」
「そう?きっと後から分かるんじゃない?今までみたいに…。」
二人は、メロスの村へ向かいました。
一方、そのころ…
魔王の居城。またもや敗戦の報に、魔王の怒りは頂点といったところ。
魔王ルキフェゴールは怒鳴ったものです。
「勇者がこちらに向かって来ているのに、我が部下はなんという体たらくだ!」
近臣達は震え上がりました!
「残りの砦の将達に至急、伝達せよ!勇者を討ち取れとな!篭城では負け戦は必至だ!野戦だ!野戦に持ち込むのだ!」
さすが魔王、歴戦の古兵です。
古来よりそれぞれのRPGの魔王達はとかく篭城戦にしがちですが、篭城戦はすでにほぼ負けている状態。戦とは、拠点の外でやるべきなのです!
「ふふふ…これで大丈夫であろう…。しかし…たった二人で我が砦を3つも落とすとは…。なんともおそろしい勇者であるな…。」