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……あ、だめだ。なんかすごいこの感覚激しく不快!
「ごめんなさい嘘つきました。僕、精霊使いじゃないや」
「はぁ!?」
確かに僕は精霊を連れ歩いているけれど、それは……それがつまり 精霊使いということではない。身を守るためとはいえ、身の程知らずすぎる見栄に自分で自分に怖気が走った。僕ははっきり言って精霊使いと言えるほど立派な存在ではないのだ。
本来精霊というのは、エルフが与えられた魔法によって存在が定義される『現象』である。とされる。
なのでエルフを怒らせてその魔法を振るわれるのでもなければ、本来ヒューマンである僕らは精霊と関わりを持つことはない……はずだった。だけどとある女性が、ヒューマンが魔力を行使することで精霊を見ることができることを発見し、そしてその力を借りることでエルフが使う精霊魔法を再現することができることを証明したのだ。もっとも、まるで同じように使える……というわけではないので、そこにヒューマンの『精霊使い』と『精霊を連れ歩いているだけの人』というくくりわけがあるわけだ。
そして精霊使いというのは精霊の力を借りて偉大な力を振るい、そして他人に精霊を斡旋する力を持つ人をいう。あるいは森でエイピスが燃え尽きた一撃は、精霊使いに匹敵する現象 だったのかもしれないけれど、あれはたまたま僕の呼びかけであそこにいた精霊が癇癪を起こしただけであって、ただしく僕が火精霊 を使ったと言えるような形ではないのだ。
……連れ歩いてはいても、彼は僕の契約している精霊ではないのだし。
以上によって僕は精霊使い呼べるような人間ではないわけだ。ただ精霊を連れ歩いてるだけの教師なのである。
「いやだから、確かに精霊を連れてはいるけど、僕はただの」
「何言ってやがる、はなっから俺はお前が精霊使いかどうかなんてどうでもいいんだよ!」
「え」
「俺にとって大事なのは、お前がエイピスを殺した死神だってことだけだ!」
突きつけられた剣の切っ先が震えるのを見ながら、改めて思い直す。
……そういえばそういう話だった。
「お前は俺たちを殺しに来たんだ! そうだろうが!」
「いえ、全然違いますが」
というか、この村で教師という人間はどういう扱いなんだろうか? それとも僕個人が特別怖い顔をしているとでもいうんだろうか……いや、ララトリアとかゴフェンの反応は真っ当だった。ミグナやエイピスの反応が極端だというのが、どちらかといえば真っ当な考え方というものだろう。少なくとも僕の顔が怖いとかあんまり思いたくない。
特に、剣を突きつけている方の人間が所詮農具でしかない大鎌を突きつけている人間から、ずりずりと後ずさりしていこうとしているのを見るとなかなか切ない気持ちになる。
「その、なんです? 死神ってなんですか?」
「此の期に及んでしらばっくれるのか!」
どうも、エイピスとミグナは僕を見つける前から恐慌状態にあったのかもしれない。それで……いや、だったらなんで僕なんか探しに来たんだ? 何かを恐れているなら、鈴の音なんて追ってくるべきじゃないだろう。ううん……この村どうなってるんだ? 僕はただ真っ当に働いて真っ当な暮らしがしたかっただけなのに、なんでこう、上手くいかないんだろうか。結構ちゃんと備えてたはずなのに、次から次へとわけのわからないことばかりが押し寄せてくるみたいだ。
「しらばっくれてない。話が終わりなら、さっきも言ったけど帰ります」
やっぱり、もっと真剣に身を守ることを考えないと。




