表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/43

32位目

 アステラの気配はごく近くだ。というか多分目の前の建物、村長の家の中だろう。

 ……ってことはこの中に森であった奴がいるってことでもあるわけだよな。もう一人にあったことを思うとちょっと顔を合わせづらいというか、これから中に入らなきゃいけないのに、なんだか気が重いというか、うーむ、嫌だなぁ。言ってもどうしようも無いんだけどさ。すっごく嫌だ。

 時間さえあればいなくなるの待ってから中に入るところだなんだけど、そんな時間無いしなぁ。

 だとするとあれだ。問題は先にあいつを呼び戻すか、中で合流するかか。僕が声をかけなきゃ誰もあいつの存在には気づけないだろうし、突如足元にでも姿を表すようにした方がかっこいいだろうか? それとも普通に引き連れて歩いて行った方が威圧感があるだろうか? 今後のことを考えるとできるだけここで強い印象を与えておきたいんだけど……間違っても『良い印象』じゃなくて『強い印象』を。

 ……うん。


「アステラ、開けてくれ」


 一言告げると、扉の向こうで気配が膨れ上がり、近づいてくる。


「なんだこいつ!」

「どこから現れた!? 今の声は?」


 続いてそんな驚きの声。壁越しだからかあんまりよく聞こえないけど、多分二人分。多分僕の声に応じて姿を現したアステラの姿に驚いたのだと思われる。内容は……まあ単に驚いて騒いでるってだけみたいな感じだね。あんまり意味のあることは喋ってなさそうだ。というか僕としてはあれだ。彼らが何者で何を考えてても、アステラに危害を加えようとさえしなければそれで良い。


——Bow!——


 扉が開く。

 そこには僕を見上げてうれしそうな顔をする|アステラ (地精霊)がいて、その後ろには二人の男がいる。どっちも同じように驚いた顔をしてるけど……着てるのはどちらも双筒 ズボン短羽織 チョッキだけだから筋肉が良く見える。森で会った男もそうだけど、体格が良いなぁ。なんとも迫力がある。武器持ってるしな。手前の奴は長い金属製の棒、奥の奴は剣。うん、雰囲気的には奥のがゴフェンとやらかな。


「お前……お前はさっきの!」

「ああ、精霊の案内できましたが、こちらがゴフェンの家でまちがい無いようですね」


 こちらを見て声を荒げる手前の奴は、あえて無視。大鎌の頭を奥にいる村長 ゴフェンらしき男に向けて、そう言い放つ。うん。いや、ララトリアとやらに案内してもらった恩も、ゴフェンという呼び方を教えてもらった恩も忘れてないけど、アステラの導きでもここに来れただろうし、扉も開けてもらったし、そんなに嘘はついてない。はず。


「精霊だと……お前が今回のジェンナか」

「見ればわかることでしょう? 契約に従って家と土地を頂きましょう」


 はたから見るととんでもない暴言だけどな。そういう契約なのは事実なんで。そちらの村が三番目の特使を血祭りにあげて送り返した時からそういう契約なんで。

 っていうか……『ジェンナ』ってなんだよ。

 これだから地方の村はよくわかんない土着言語ばかり発達させて! めんどくさいったらありゃしない。

 まあ、多分あれでしょ? よそ者とかそんな感じ。確か一人目の特使がそんな感じの名前だったはずだったから、その名前流用してるとかだろうね。ジェイニー・シュバンナだっけ。確かある程度信頼を獲得すrために真名を後悔して訪ねて行ったんだったはず。まあ、向こうは真名を悪魔の名前とか言って取り合わなかったとか、そんな調書が残ってて読まされた気がする。


「街との契約に従う理由が無い」

「国との契約です。力を跳ね除けられなかったのはあなた方だ」

「今の俺たちが当時の契約を履行する筋合いが?」

「力を跳ね除けられなかったのはあなた方だと今言ったばかりですが」


 ずっと向けていた鎌を手元に戻し、音を立てて地面に立てる。途端に、手前の奴が腰を抜かして座り込んだ。ついそちらに目をやってしまう。おいどうしたお前。

 いや、ちょっと待てよ? こいつちょっと歳がいってるのかな? 髪に白いものが混じってる。記憶の限りだと、言動は森にいた奴とそう変わらないんだけど、村長が若いせいで村の人間に精神的な成長が遮られてるとか? あるかも。でも体はちょっと衰えてるみたいな。

 まあ、ここは村長 ゴフェンよそ者 ジェンナの場だ。こいつはほっといて良いだろう。


「——」

「ちょっと待て!」

「……なにか?」

「ミグナ、俺が話している」


 僕とゴフェンの場だって、今言ったばかりなのになんで入ってきた手前の ミグナ

 しかも座り込んだままで棒切れも地面に落ちてるぞ。


「エイピスが、エイピスがお前を始末したはずだ! エイピスはどうした!」

「エイピス?」

「ん、ちょっと待て、こいつさっきまで話してた死神か?」


 ってあいつの名前か。森でアルファートに焼かれた。ミグナとエイピス。二人ともなんか妙に名前可愛く無いかな? どうでも良いけど。

 こいつ、ここで僕のことを報告してたってことかな? 話の最中にその死神が来たからちょっと驚いてしまったと。それで尻もちついたまま話してて、それでも仲間の安否が気になって叫んでる。なるほど。


 うん。

 ……僕には関係無い話だな。

いつも読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ