第1話:【光のステージ】
お待たせしました。設定を練り直してのリブート連載となります
もはや、旧作の面影はありません
それでは、新たなるステージの始まりです
本作は、華やかな現代の芸能界と、その足元に広がる惨劇・復讐劇を描いた「光と闇」のダークサスペンス・アクションです。
華やかなステージで輝くアイドルたちの熱量と、胸に秘めた切ない宿命。
ぜひ、裕也や怜花たちの物語を最後まで見守っていただけたら嬉しいです!
それでは第1話【光のステージ】、どうぞお楽しみください!
街は相変わらず、呑気な熱気と雑音に包まれていた。
行き交う人々は誰もが、自分の小さな生活のことで頭がいっぱいだ。
これから世界の裏側で何が起きるのか。
どれほどの悲劇が闇の中に葬られようとしているのか。
クラクションの甲高い音がひとつ、雑踏のノイズに紛れて消えていく。
誰もが「今日と同じ明日」が来ることを疑いもしない、どこにでもある穏やかな日常。
だが――同じ空の下、人知れず闇の中に存在するその場所では。
破滅の火の手が上がり、全てを呑み込む最悪のカウントダウンが静かに始まろうとしていた。
そう……。
すべては、ここから始まったのだ。
◇
――ドォン!
突然、激しい衝撃が空間を揺らした。
不意を突かれた研究施設の床は、瞬く間にドス黒い赤へと染まっていく。
悲鳴にも似た断末魔が飛び交う中、幼い少年と少女は物陰に身を潜め、息を殺していた。
とある研究施設を襲ったのは、訓練された特殊部隊のような男たちだった。
彼らは施設のありとあらゆる命を殺戮し、何もかもを破壊していく。
そう、徹底的に跡形すら残さないように……。
燃え盛る炎が、幼い二人の視界を真っ赤に焼き尽くしていた。
かつて「施設」と呼ばれていたその場所は、いまや惨劇の地獄と化している。
崩れ落ちる瓦礫の奥で、親、きょうだい、あるいは「仲間」だと信じていた人たちが、無残に命を奪われていく。
幼い男の子と女の子は、熱風の中で互いの手を固く握りしめ、溢れる涙を堪えながら絶望に震えていた。
(どっ、どうして……なんで、みんなが……!)
幼い心を無惨に引き裂く、圧倒的な恐怖。
「いたか……!?」
「いや、見つからない!」
「くそっ……【LUNAシリーズ】の施設襲撃はターゲットを仕留め損ねたらしい。これでは……野様になんと報告すればいいんだ!」
「なんとしても、俺たちは【ANIMAシリーズ】のターゲットだけは始末しなければならないんだぞ。気を引き締めろ!」
「わ、分かっている!」
血眼になってターゲットを探す男たち。
だが、目的の存在は一向に見つからない。
彼らの焦燥が、殺気となって廊下に満ちていく。
「裕也……」
幼い少女が今にも押し潰されそうな声で、隣にいる少年にしがみついた。
「しーっ、静かに……。見つかったら殺されるぞ」
裕也と呼ばれた少年が、低い声で囁き返す。
少女――怜花と同じくらいの、幼い年齢の少年だ。
「みっ、みんなは……?」
「わからない。今は隠れることだけ考えろ」
「うっ、うん……」
「……くそっ、あいつら、いったい何者なんだ」
足音が近づいてくる。
特殊部隊の男たちが、何かの探査装置を手に二人の潜む暗がりへと迫っていた。
暗闇の中で、規則的な電子音が響き始めた。
――ピコン……ピコン……。
男たちが近づいてくる。
足音が、すぐ目と鼻の先で止まった。
――ピピピピピピピッ!
赤い警告灯が、隠れていた二人の顔を容容赦なく照らし出す。
「!?」
「いたぞ! こんなところに隠れてやがったか!」
「うっ……!」
「きゃあああ――っ、裕也ーっ!」
迫る銃口。
二人は互いを抱きしめ、ギュッと目を瞑った。
次の瞬間――シュッ、と一筋の冷たい風が爆ぜた。
銃声も、悲鳴もない。
ただ「カチャリ」と銃が床に落ちる小さな音と、ズシンと重い肉体が倒れ込む音だけが響く。
恐る恐る目を開けた二人の視線の先。
暗闇の中、血に塗れた刃を静かに引く一人の男が、燃え盛る炎を背に立ち尽くしていた。
「大丈夫か?」
静かな声が、炎の爆ぜる音を切り裂いた。
「……!?」
裕也と怜花は、恐る恐る顔を上げた。
男たちが倒れたその場所に立っていたのは、一人の人物だった。
決して大柄ではないが、修羅場をくぐり抜けてきた者だけが纏う、圧倒的な気迫。
「どうやら、ギリギリ間に合ったようだな」
「あ、ありがとうございます……っ! あ、あなたは……?」
「詳しい話は後だ。とにかく、ここから逃げるぞ!」
「でも……!」
「安心しろ、わたしは君たちを助けに来たんだ。さあ、早く!」
「う、うん……!」
猛火を割り、突如として現れた「謎の男」。
その手によって、二人は命からがら炎上する施設から救い出された。
「僕たちの家が……」
「ひ、ひどい……」
遠ざかっていく、焼け落ちる自分たちの生家。
男に抱きかかえられながら、二人は力なくその惨状を見つめることしかできなかった。
幼い胸に刻まれたのは、どうしようもない「無力さ」。
「みんな、死んじゃったの……?」
「わからない……だけど、おそらく……」
「ううっ……みんな……!」
だが、涙の乾かぬ瞳の奥で。
幼い二人の心には、静かに、しかし決して消えない激情の炎が灯っていた。
(――許さない。絶対に、許さない……!)
言葉にならない固い誓いが、二人の魂に深く刻み込まれる。
「ここにいては危険だ、行くぞ」
男に手を引かれ、幼い二人は闇の中へと消えていった。
――この夜、ひとつの研究所が地図上から完全に姿を消した。
だが、この凄惨な事件が社会のニュースで報じられることは、ただの一度もなかった。
地獄の炎も、幼い二人の流した血も、すべては深い闇の奥へと葬り去られたのだ。
◇
――それから、十数年の月日が流れた。
『らいだ~く - light and darkness -』
これは、光と闇の物語。
◇
そして、現代――。
場所は光り輝く芸能界の中枢。
そこは、まばゆいスポットライトが交錯する「光輝くステージ」だった。
トップアイドルたちが頂点を目指し、日々しのぎを削る戦場。
ここは芸能界きっての名門【皇プロダクション】が運営する、所属俳優たちが愛用するトレーニングルームである。
そこで一人の青年が、汗を流しながら必死にトレーニングに打ち込んでいた。
「きゃあああ~~~~っ、裕也く~ん♡」
「御堂さ~~~ん、こっち向いて~~~♡」
「あ~~~ん、ステキ~~~♡」
見学エリアからの黄色い声援が飛び交う中、裕也ーーー【御堂 裕也】と呼ばれた青年は鬼気迫る表情でアクションシーンの稽古を続けている。
「はっ、はっ……!」
彼の引き締まった肉体から飛び散る汗がスポットライトに反射して眩しく輝き、ファンのボルテージは上がる一方だった。
「精が出るわね、裕也くん」
「舞織さん、お疲れ様です」
彼女の名は【神楽坂 舞織】。
皇プロダクション副代表であり、総帥【皇 創一】の側近でもある。
裕也の才能を見出し、引き上げたのも彼女だ。
「どう? 調子は? ファン投票の圧倒的支持で、今度のうちのドラマでもあなたが主演に決まっているけれど」
「そんな、俺なんてまだまだです」
「ふ~~~ん、そう?」
舞織はくすりと微笑むと、少し声を落として言葉を継いだ。
「あんまりモテすぎると、誰かさんにヤキモチ焼かれちゃうわよ?」
「やめてくださいよ、そうやって怜花とのことからかうのは……」
「ふふ、これくらいにしておきましょうか。そろそろ彼女たちの出番よ。早くシャワーを浴びて審査員席へ来なさいね」
「はい、ありがとうございます」
◇
それから一時間後――。
神尾D「え~、それでは、みなさま大変お待たせいたしました! これより毎月恒例、皇プロダクション主催『SUMERAGI MUSIC STATION』を開催いたします! もちろん“Le nostre dee”のお三方も参加されています。わたくし今回も司会進行を務めさせていただきます、皇プロダクションの【神尾 誠】と申します。どうぞよろしくお願いいたします! それでは、さっそく始めましょう!」
神尾の滑らかな司会に応えるように、会場のVIP席へ眩いスポットライトが照射された。
立ち上がったのは、仕立ての良い高級スーツを完璧に着こなしたロマンスグレーの紳士――【黒崎 烈治】だ。
誰もが目を奪われるような洗練された品格と、余裕に満ちた微笑みをたたえ、客席へ向かって優雅に一礼する。
その隣にはプロデューサー陣と舞織が並び、会場からは惜しみない拍手が巻き起こっていた。
その光り輝くVIP席を、会場の端の暗がりから冷ややかな目で見上げている一組の男女がいた。
二人とも室内だというのに深くサングラスをかけ、その素顔や表情を巧みに覆い隠している。
「それにしても……スタリ……じゃなかった、チェンバルがもうちょっとしっかりしていればさぁ」
サングラスの奥の視線を細め、【七瀬 もえ】が甘ったるい声で隣の男の腕にすがりついた。
「ねえ、シンセンス。なんで私たちがこんな退屈なもの見てなくちゃいけないの? 早く終わらせて帰ろ? ふたりで『良いこと』しよ、ね♡」
「……ここでは氷室と呼べ。日本人がそんな名前で呼ばれていたら変な奴だと思われるだろう」
氷室と名乗ったこの男――――【氷室 聖人】は慌ててもえをいなした。
「は~い♡」
(自分だって室内でサングラスかけてる変なヤツだと自覚してないのかな……。でもいい男だから許しちゃう、好き♡)
心の中で呆れつつデレデレと抱きついてくるもえに対し、氷室聖人はサングラスの奥で真顔になり、声を潜めた。
「とにかく、上からの業務命令だ。あの方に逆らってみろ、降格されて給料下がって地方に飛ばされるぞ」
「えっ、やだ! もえのバッグ買えなくなるじゃん! 左遷も絶対ヤバい!」
先ほどまでの甘えた態度はどこへやら、速攻で真顔になったもえは、焦ったように氷室の腕を強く抱きしめ直した。
「じゃあ真面目に見なきゃね! えーっと……あ、ほらチェンバルが手振ってるよ」
「フン、あいつは脳筋で女をどうこうすることばかり考えているから、気楽なものだ……」
――ハックション!!
その瞬間、VIP席でスポットライトを浴びていた黒崎が大きなくしゃみを一つ放ち、隣のプロデューサーに苦笑いを向けながらハンカチで汗を拭った。
「ん……あ、どうやら始まるみたいよ」
もえの視線の先でステージの照明が一斉に跳ね上がり、いよいよライブの火蓋が落とされた――。
◇
ステージの上では、【空原 レン】率いる『ディープ・タウン・シンデレラ』が代表曲『You're My Only』を熱唱し、会場を大いに沸かせていた。
司会「ありがとうございました~!」
歌い終え、歓声を浴びながら空原レンが勝ち誇った笑みを浮かべる。
空原レン「これで今週こそは、あたしたち『ディープ・タウン・シンデレラ』がトップですね!」
司会「それでは次に、【有瀬 ゆめ】と『アングラサス』のみなさんです!」
続いてステージに上がった有瀬ゆめと『アングラサス』の面々が、ノリノリのビートに乗せて代表曲『Shooting for the Zenith』を披露。完璧なパフォーマンスでステージを締めくくる。
有瀬ゆめ「ふう、最下層から這い上がってきたわたしたちの力を、甘く見ないことですね、レンさん❣️」
レン「ぐぬうぅぅぅ……!」
バックステージでバチバチと火花を散らすレンとゆめ。
だが、その一触即発の空気を切り裂くように、一人のアイドルが毅然とした足取りでステージへと向かっていった。
如月るな「いっくよ~! 【如月 るな】、『ぴゅあぴゅあ・ハピネス・マジック!』、いきま~す!」
レン・ゆめ「「如月るな……!」」
ステージから放たれたのは、次元の違う圧倒的な歌唱力。
その圧倒的な輝きを前に、競い合っていたレンとゆめの二人は「ウグググ……」と言葉を詰まらせる。
そのるなと並び称される最高峰の一人――【神楽 桃華】が、じっとるなのステージを見つめていた。
桃華「ねえ、怜花。楽しくなってきたじゃない」
怜花「ええ、そうね、桃華。……それじゃ、裕也、行ってくるわね」
伶花と呼ばれた少女ーーー【星崎 怜花】はそのようにライバルへと返す。
裕也「ああ、頑張れよ、怜花」
ステージへ歩き出す怜花の背中を、裕也が見送る。
桃華はそんな二人をじっと見つめていたが、少し頬を染めながら裕也へと視線を送った。
しかし、このとき裕也の瞳には、怜花の背中しか映っていなかった。
かつて絶望の炎に焼かれた幼い二人は、いま、この眩しすぎるほどの「光のステージ」に立っていた。
『らいだ~く - light and darkness -』
こんにちは、まりもです。
はじめての方ははじめまして
BlueSkyでの公言通り、何とか今月中に連載開始することができました
この『らいだ〜く − light and darkness −』は全三部構成で、昨年に企画して、一度大まかな流れが出来上がりました。しかし第三部終盤を書いていたあたりでキャラクターの魅力や演出が弱いということで、主人公の裕也とヒロインの伶花と敵キャラ以外の設定をほとんどリテイクしました。
序盤の芸能界でのシーンやキャラクターの魅力がたりないから、まずキャラクター達を徹底的に作り上げて、揃ってから第一部序盤から書き直しました
でも、そのおかげで、裕也と伶花と〇〇だけだったメインキャラが桃華やるな、レン、ゆめ、サブキャラクターも大幅に増えて、難産だった序盤も一山超えたら、一気にという感じです
旧第1話はこのネットのどこかにまだあるので、もし見つけられたら比べてみると、その違いに驚くと思います。
この『らいだ〜く − light and darkness −』という作品は、まさしく「光と闇の物語」、もうラストまで決まっているので、このまま一気にという感じです
なるべく早く上げていきますので、どうか最後までお付き合いのほうよろしくお願いします
メインヒロインのひとり星崎怜花が歌う、らいだ~くのOP主題歌です
『らいだ~く』
架空アニメ 「らいだ~く」 OP主題歌 星崎 怜花
https://suno.com/s/nzCsxahuhluQvExo




