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不老不死で異世界リスタート~人は「ひとり」だと信じていたはずなのに、異世界で居場所ができました~  作者: 時雨あくあ


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16話 森の異変と魔力だまり

「ここの森にいる魔物が、別の場所に現れることがあるんだけど、原因って分かったりする?」


ダメもとで聞いてみたが、首を傾げられた。

意味が分からないのか、原因に心当たりがないのかの判断が難しい。


「原因が分からないってことでいいのか?」


そう言うと小さく吠えたので、言っている意味は理解しているようだ。


自分の探知魔法は、範囲を一方向に絞れば100メートルほど届く。

ただ、自分を中心に円形で全方向に広げると、半径25メートルくらいが限界だ。


オークは300メートルほど先にいたので、少なくとも犬は300メートル先の匂いまで理解できることになる。

鼻を使っていたので勝手に匂いだと思っているが、魔力を感じているのかもしれない。


「えーっと、君は匂いで探索してるの?

それとも魔力を感じてオークを見つけられたのかな?」


聞くと、2回吠えてきた。


「どっちもできるってこと?」


そうすると、今度は一度だけ吠えた。

その通りということらしい。


「じゃあ、この森でおかしいって感じる場所はあるかな?」


そう聞くと、周辺のあちこちへ視線を向けた後に、くぅーんと申し訳なさそうに鳴いた。


「ありがと。仲間のところに戻りたいかもしれないけど、俺を乗せてあちこち走り回ることはできるかな?」


一度だけ吠えたので、了承してくれたということだろう。


ただ、お腹も減ってきたので、一度箱庭でご飯を食べたいところだ。


「やっぱり、食べるとしたら肉を食べるの?」


そう聞くと、一度吠えた。


「了解。ここで少し待っててもらえる?」


そう言うと、伏せの体勢になって尻尾を振っている。


一度箱庭に戻り、アイシスにご飯は箱庭の外で食べることを伝えると、簡単に食べられるものをアイテムボックスに入れてくれるとのことだった。


森に戻ると、先ほどの姿勢で犬が待っていた。


アイテムボックスから肉を出そうと確認すると、おにぎりが入っていた。

仕事が早くて助かる。


犬に肉をあげて、自分はおにぎりを食べる。


お腹を満たした後は、犬に乗せてもらい、常時探知魔法を使うことにした。

飛行魔法を使いながら探知魔法を使うのは難しい。

なので、探知魔法中に移動してもらえれば、確認できる範囲が格段に広くなる。


間で休憩を入れながら2時間ほど経ったころ、探知魔法に奇妙な反応を感じた。


「ストップ、あっちのほうで変な感じがするんだけど分かる?」


犬を止めて、反応があった方面を指さして聞いてみる。

だが、首を傾げているため分からないようだった。


犬から降りて、反応があった方面へ歩いていく。


反応があった場所には、2メートルほどのドーナツのようなものが、怪しく光りながら浮いていた。


「これって、森によくあるものなのかな?」


そう聞くと、申し訳なさそうに鼻を鳴らした。

普段はないもののようだ。


得体の知れないものに触れるのは気が引けるので、タイミングがあれば使ってみようと思っていた解析魔法を使ってみる。


【――解析結果、魔力だまり。

魔力の濃い地域で稀に発生する魔力の塊。

魔力だまりに飲み込まれた場合、身体が魔力に耐えられず霧散する。

耐えられる場合は、別の地域に飛ばされることがある。】


解析結果が脳内に音声として流れた。


生息地外でオークなどが発生する原因が、これということは分かった。

ただ、対処法までは解析魔法では分からないようだ。


物語だと、主人公が吸収して自分の力に変えたり、元凶の魔物を倒すことで消えることがあった気がする。

が、残念なことに吸収して自分の力に変えるほど都合のいい魔法はない。

それに、説明に魔力の濃い地域に稀に発生とある通り、元凶の魔物がいるわけでもない。


対応方法がないかいろいろ考えたが、もしかしてと思いスマホを取り出す。


スマホを操作していると、犬が近づいてきて、スマホの前で鼻をヒクヒクさせた後に首を傾げていた。

何をしているか理解できなかったのだろう。


フォルさんが用意してくれたチャットアプリで対応策を質問すると、あっさりと答えが出た。


魔力だまりは、外から魔力をぶつけることで徐々に小さくなるらしい。

魔力の濃い地域で発生するはずなのに、魔力で小さくなる理由が分からない。


念のため理由を聞くと、魔力だまりで発生した魔力は、マイナス性の魔力がたまった結果発生するものらしい。

生命体から発する魔力は基本的にはプラス性の魔力のため、相殺されて消えていくとのこと。


ただし注意として、変換魔法で物質化した魔法は効果がない。

それと、死霊系魔族の魔力はマイナス性のため、逆効果になると書いてあった。


理由がはっきりしたので、心置きなく対応できる。


ドーナツ型の物体に、魔力そのものをぶつける。

なんちゃって重力魔法で上から押さえつけるように魔力を使うと、魔力だまりは徐々に小さくなり、最終的には消滅した。


おそらくこれで、調査依頼の原因は消えたと思う。

これでこの森にいる必要がなくなったので、犬にお礼を伝える。


「これで俺の仕事は終わったよ。

ありがとう。

これでお手伝いも終わりになるから、君も仲間のもとに帰りなさい」


そう告げると、犬は服の裾を咥えて、まだ帰るなという感情を伝えてきた。


「自分の仲間を紹介したいってことか?」


そうすると、一度吠えた後に伏せをして、背中に乗れるようにしてくれたので、改めて乗せてもらった。


乗せてもらってしばらく経ったが、先ほどのオークの時とは違って、進むのはスムーズとはいかなかった。


走っては周りを確認し、鼻をピーピー鳴らした後にまた走る。

それを何度も繰り返している。


あんなにオークをすぐに見つけられたのとは打って変わった状況に違和感を覚えた。

ただ、森は広い。

犬が感知できる範囲に仲間がいないので、不安に思っているのかもしれない。


自分も探知魔法でウルフ系の魔物を探してはいるが、範囲は犬より小さいため力になれていない。


ただ、面白いレベルで魔物との遭遇はないので、探索するだけであればかなりスムーズに進んでいると思う。

犬に乗っていて感じるのは、スピードが速いことだ。


飛行魔法での移動速度は時速30キロくらいだが、犬はその倍以上のスピードで走っている。

それに加護のおかげなのか、そんなスピードで移動しているにもかかわらず、空気抵抗や息苦しさは感じない。


周りを気にしながら走っていてこのスピードなので、本気を出したらもっと速いのかもしれない。


魔力だまりも森を8割ほど進んだあたりにあったので、こんなに早く原因が分かったのもこの犬のおかげだ。

力になってあげたいとは思うのだが……。


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