ユキの誕プレ選びは慎重に
ユキの誕生日まで残りジャスト一週間。
俺は寒い冬空の道端で頭を抱えていた。
「どうしよう!? 何も考えてなかった!?」
「まぁ、幸村様は音子様のものなら何でも喜びそうなものですが」
「それじゃあなんか俺としてもものすっごく納得いかない!」
ユキが欲しいもの、っていったい何だろうか。
ユキ自身、手に入らないものはほとんどないだろう。金さえ積めば何でも手に入る。それほどの財力は財前家にはある。
俺が与えられるものって……。
「優里亜さんは元婚約者だったよね!? 何あげてた!?」
「そうですわねぇ……。私が差し上げていたのはタオルや時計などの身近なものでしょうか。消え物は嫌でしたので、身近かつ使ってもらえるものを」
「……俺もそのようにしたほうがいいかなぁ!?」
「わたくしの場合は幸村様のお気持ちを必ず惹こうというものでしたので、結構重いものばかりでしたわ。あまり参考にはなりませんことよ」
ですよね。
なんつーか、誕生日プレゼントって消え物とかそういうのがいい気がする。だって別れたときとか考えると元カレ元カノのものを持っててもなんか嫌だし、消えてまた来年とする感じもよさそうな気がする。
だけど俺が選んだものをいつも使っててほしいしなぁ!という邪な気持ちもある。
「まぁ、ありきたりではありますが、大事なのは物の価値ではなく込める気持ちだと思いますわよ。幸村様はあなたのものなら何でも信じるでしょう。なので何を選んでも正解になるような気もしますが」
「そうだよねぇ」
ユキは俺にだけはめちゃくちゃ甘い。
だからこそ、何を選んでも喜んでくれそうだという自信はある。んだけど、どうせなら本心から喜んでほしいじゃん。
取り繕った喜びじゃなく、マジの喜び。俺はそれが欲しい。
「自作のラブソング……は痛々しいからなしとして」
音楽ならラブソングを送るのが恋人としていいんだろうけど、ユキのことだ。
「ユキは多分誕生パーティとかあるよな?」
「そうですわね。毎年13日、幸村様のパーティを幸村様の父が主催となって行うのです」
「……ユキじゃなくて?」
「えぇ。後継の問題もありますから、女性の客人も大勢招き、幸村様の気を惹くのです。さしずめ婚活パーティみたいな感じで」
「……ユキの人嫌いってそのパーティが原因じゃないの?」
「2割ほどはそうなのではないでしょうか」
俺でも自分の気を惹きたがってる相手がたくさんいて、気を惹こうと無理やりしてくるのはなんだか嫌になりそうな気がする。
ユキ自身、顔も家柄もいいからなおさらだろう。
「お近づきになりたい桐羅やわたくしが通う聖凛女学園の女子生徒たちも大勢訪れますわね。恋人がいない幸村様には多からず自分にもチャンスはありますから」
「……もしかして婚約者になった理由ってさ」
「わかりますか? わたくしが婚約者になればそういった邪なものが来ないだろうと父上が提案して受け入れたのですよ。幸村様がものすごく嫌がりすぐにフラれましたが」
「それって優里亜さんの評判にものすごく傷ついてない?」
「つきましたね。しばらくは言われましたわ」
うげぇ。やっぱそうだよな。
婚約者になっておいてすぐフラれたらいろいろといわれるだろう。
「わたくしはこの通り強い女なのでそんなのみじんも気にしてませんでしたけれどね」
「メンタルつよ……」
「まぁそれはさておき。プレゼント、速く選びに行かれないのですか?」
「そうだった……」
プレゼント、プレゼントかぁ。
一体何を選ぶべきなのか。




