ユキの……?
俺のことを大方話し終わると、四人は何かを考えていた。
「そんなことありえるの?」
「実際起きてるわけだからあるっしょや」
「だねぇ。すごいね金持ちって」
「私も誰かに脳移植して体乗っ取ろうかな……」
といわれていた。
「なるほどねぇ。マジの女子か。まぁ、声はマジの女子だけどこの世に両声類っているからさ。どっちだと思ってたけど……」
「なんか言いづらいこと聞いてごめんねぇ」
「あ、いや、いいんです」
俺と妹の口が軽いのが原因ですし。
「まぁ、そっちの問題はあたしらが口出す問題じゃないっしょ。ねぇ、音子ちん」
「音子ちん……」
「ここで知り合ったのも何かの縁だし、あたしら、音子……音助さんの歌声、好きなんだよ。友達として連絡先教えて。困ったときとか手が空いてたら助けたげる」
「いいんすか?」
「いいよ。こっちは実績もあるし君たちのバンド指導とかやれるよ。まぁ、あんたは才能が違いすぎて教えるレベルにないけど」
俺はメンバーのベース担当である神田 しじなから連絡先をもらったのだった。
俺の携帯に数少ない連絡先が登録される。この身体になって連絡先を交換する人がだいぶ増えた。俺が男の時よりも多いんじゃなかろうか。
「あんたらがガチでやるんなら教えたげる。教えるからにはスパルタでいくかんね」
「うっす」
「私も教えてあげる! これ私のね!」
「私のも登録しておいてねぇ。可愛い女の子好きだからぁ」
「これ、私のです」
USAのみなさんの連絡先が俺の携帯に入る。
マジでこんなことがあっていいんですかね? もともと音助を探していたUSAのみなさんとこんな形で登録とは……。
「SNSやってる? フォローしておくけど」
「いやぁ、昔はバンド活動の一環でやってたんですけど今はROM専で。皆さん有名ですしあまりそういう垢をフォローするのは……」
「そっか。ま、本格的に始めるんなら教えてよ! 宣伝もしてあげる!」
「何から何までありがとうございます」
USAは今となっては有名なバンドグループ。
ガチでやるとなったらそういうコネクションがあるのは非常に心強いものになる。あいつらがガチでやるのかどうかはさておきとして。
「さ、そろそろ時間だしでよっか。今日は楽しかったよ!」
「こ、こちらこそ……」
俺たちはライブハウスを出て、サインをもらい、USAの皆さんと別れたのだった。
「音子様……。口が軽すぎますわよ」
「猛省してます……」
「あなたのことはあまり公表しないほうが万家のためになるのですからね」
「わかっております……」
前々から理解しているつもりだった。
万家が一人の男性の脳を自分の娘に勝手に移植したと知られると外聞が相当悪くなる。それは理解してるつもりなんだけど……。
どうも俺はついつい言っちゃうんだよな。恐ろしいことに。
「まぁそれはそれとして。音子様、そろそろ誕生日プレゼントを選びに行かれないのですか?」
「……誕生日プレゼント?」
「えっ、ご存じないのです!? 12月13日は幸村様の誕生日ですわよ?」
「……マジ?」
「……私はそれも選びに来たのだと思っていたのですけれど」
「……初耳でふ」
ユキの誕生日とか全然知らなかった~~~~!
12月3日……。一週間後じゃないですかやだ~~~~!




