ローマのきゅーじつ ③
俺は右も左もわからないローマの街中で逃走劇を繰り広げていた。
路地裏の物陰に隠れ、俺は執事とメイドさんから逃げる。この街中だ。メイドや執事の格好をしていたらすぐわかるので助かる。
俺はスマホを取り出し、ユキに助けを求めようとすると。
「@:ll」
「やべっ」
見つかった。
ユキと電話がつながったまま、俺は再び走り出す。俺が何かしでかした犯罪者ってわけじゃないのになんで俺はこんなに逃げなくちゃいけないんだ!
俺は全力で走り、ローマの町に迷い込む。逃げ切った後、俺はどうやってユキのところにいこうか。地の利もなにもないので困ったところ。
「とりあえずここに隠れておこう……。ユキに電話を……」
と、スマホを見ると電池がなくなっていた。
さっき通話をつなげたままにしたまま逃げた……! それで電池を食ってこうなってしまったっていうわけか……!
待ってくれ、これじゃ助けを乞えないってコト? 見ず知らずの土地で逃げて迷子になった挙句誰も助けを求められないから詰みじゃね……?
「……オワタ」
俺はこうしてローマの礎となっていくのだ……。真面目にどうしようかな……。幸い持たされた金はあるし、タクシーでも拾って空港に戻って助けを求めたほうがいいのか?
俺がああでもない、こうでもないと思案していると目の前をメイドさんたちが通っていった。ここまで追って来やがった……! どんな執念だよクソっ!
見つかるのも時間の問題……。
助けを求めるのも無理……。
「おい」
背後から声をかけられた。
思わずびっくりして飛び上がると、そこには困り顔のユキが立っていた。
「どうしたんだ?」
「ゆ、ユキ~~~~!」
俺はユキに抱き着いた。
「ありがとう! 来てくれたんだな! 助かった……」
「お、おう……。それより何があったんだ?」
「……求婚された」
「求婚!?」
「それで親もノリノリだったから怖くて逃げてきた……」
「それでヴィットーリアの家の輩に追いかけられてんのか……」
俺はユキに抱き着いたままとりあえず路地裏から出ることにした。
マジで怖かった。あの目の本気さはマジで恐怖に値したよ……。なんで異国の地に来てまでホラー体験をしなくちゃいけないんだ。夢に見たらどうする。
「しょうがない。助けてやる。ヴィットーリアの家に向かおうか」
「どうやって助けてくれるの……?」
「音子にとってはちょっと不本意なことになるかもしれないが我慢してくれ」
そういってタクシーを拾い、俺らはヴィットーリアの家に舞い戻ったのだった。
そして再びコワモテのヴィットーリアの父と対面する。
「我が家の嫁に来るつもりはないと?」
「ええ。おあいにく様」
「君は……日本の財前グループの息子だったな? 君にどのような権限があって否定するのだ」
「ソウデス! 私の愛ヲ止メナイデ!」
二人から非難の声が浴びせられる。
「権限はありますよ。だって俺はこの万 音子の婚約者なのですから」
「婚約者!?」
不本意なことってこれかーーーっ!
婚約者……。




