Tournament164 The Demon King hunting:4(魔王を狩ろう!その4:ダイVSバーボン)
遂に魔王と対峙したドッカーノ村騎士団。しかし、ジンは魔王バーボンの護衛に賢者スリングとエレノアがいたことに衝撃を受ける。
そしてジンの代わりに、ダイ・アクーニン、テキーラとジンジャーはが魔王たちと戦うことに。その勝負の行方は……。
【前回のあらすじ】
ド・ヴァンとアントンは魔王親衛隊のリーダー、ファルカロスと雌雄を決することになった。空間規定能力と『身体拡散』の特性を持ち傷を受けないファルカロス相手に、ド・ヴァンは苦戦しながらも勝利を手にするが、ファルカロスの魔弾が元で永遠の眠りについた。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
『風の魔障壁』を吹き飛ばした砂塵が収まった時、僕はわが目と耳を疑った。そこに居たのは銀髪を肩まで伸ばした中年の戦士だったが、彼はこう名乗ったからだ。
「よく来た、『伝説の英雄』ジン・クロウ。我は魔界を統べる魔王にして、摂理の完全を求めるエピメイア様の仲間、バーボン・クロウだ」
僕の周りで時間が止まった。
いや、止まったのは時間ではなく、僕の思考だった。
「……うそ……」
最初に言葉を発したのはシェリーだった。見開いた右目は魔王の顔を凝視し、信じられないといった表情をしている。
「バーボンおじさま。アタシだよ、シェリー・シュガーだよ? 母さんの名はマルサラで、アタシ、よくおじさまから可愛がってもらったんだよ? 覚えていないの?」
シェリーが声を震わせながら、僕の前に進み出てそう叫ぶ。だが魔王は何らの反応も見せなかった。
「おじさま! ジンはおじさまに会うために騎士団を立ち上げたんだよ!? おじさまに会うことを楽しみにしていたんだよ!? だからおじさま、ジンのこと思い出してあげて!」
「よせ、シェリー!」
「シェリーさん、気持ちは分かりますが落ち着いて!」
思わず魔王の許へ駆け寄ろうとしたシェリーを、ラムさんとアイリスさんが危ういところで引き留めて言う。
僕は、ゆっくりと歩を進めて、シェリーの肩に手を置いて命令する。
「シェリー副団長、後ろに下がれ。隊形を乱すんじゃない」
「でも、こんなのってあんまりだよ!」
「あれは魔王だ。僕の父上じゃない。だから下がれ。相手の術中に落ちるんじゃない」
僕が少し強面で言うと、シェリーは涙をためた目で僕を見て、
「……分かりました、団長」
そう言い、すごすごとチャチャちゃんの横に位置を占める。
魔王は、僕たちのやり取りを冷たい目で見ていたが、シェリーが下がるのを見て声をかけて来た。
「話し合いは終わったか?」
声は冷たいが、表情は優しいと言っていい。父バーボンの面影は僕の記憶にうっすらとしか残っていないのだが、この場合、それがかえって幸運だったと思う。もしも、父上の顔をはっきりと覚えていたら、僕は目の前の男を『魔王』として割り切れるか疑問だっただろうから。
「……僕がドッカーノ村騎士団長のジン・ライムだ。お前が魔王で間違いないんだな?」
僕が名乗りを上げると、魔王はさわやかに笑ってうなずく。
「おう、俺が正真正銘、魔王のバーボン・クロウだ。『伝説の英雄』ジン・ライムよ、悪いが今回の『魔王の降臨』は、俺たち魔族が勝たせてもらう」
そう言うと、腰に佩いた剣を抜き放つ。どろりとした赤黒い魔力を帯びた、気持ち悪い剣だった。
「……魔王バーボン。一つ確認したいが、いいか?」
僕はその名を呼ぶとき、少し心が痛んだ。だが、目の前の相手は父の姿をしてはいるが父ではない。魔族のために人間を排し、摂理に挑戦しようとしている魔王だ……。
僕は心の中でそう叫びながら、魔王に問いかけた。
「……今さら確認もないだろうが、生きている時間を長引かせたいというなら、それくらいの願いは聞き届けてやる。何だ、確認したいこととは?」
「魔族と人間は、今まで多少の問題がありながらも概ね上手くやってきていると思う。なぜ、人間を排除する必要があるんだろうか?」
僕が訊くと、魔王は翠の瞳を細めて訊き返してきた。
「ジン・ライム。お前の騎士団にはユニコーン族やシルフ、エルフ、魔族や自律的魔人形と多種多様な種族がいるようだな。『人間と魔族が上手くやっている』とは、お前だから言えるのだ。
しかし、お前の騎士団には人間はいないではないか。お前も、隠形している奴も、そこで狙撃魔杖を構えている嬢ちゃんも、みんな魔族だ。人間を仲間に入れて、うまくやる自信があるか?」
「以前は人間の仲間もいた。それに僕自身も、最初は魔族の血が流れていない人間だと思っていたし、今だって魔族の血が流れていても人間だと思っている。僕はクロウ一族ではあるが、人間だ」
「では、お前は『魔族の掟』は知っているか? 我が『魔族の祖』アルケー・クロウ様が作られた魔族としての心得だ。知らぬわけはあるまい?」
「知っている。俺が作った『掟』だからな」
僕が答えると、一瞬魔王は怪訝な顔をしたが、
「では、『血族同士で争うな』という『掟』のことはどうだ? お前は知っていて破っているというのだな?」
そう真顔で言ってくる。
「……『血族同士で争うな。魔族の血は時至るまで絶やしてはならぬ』だな? 今まさに『その時』が来ている。魔族の血が絶える時期がな」
僕がそう答えると、魔王は目をむいて嚇怒した。
「魔族が滅びるだと!? お前はアルケー様直系の血族だと聞いているが、そんな不遜な考えを持っていたのか? では、お前は『伝説の英雄』でないとしてもこの世から抹殺すべき人物だな」
そんな魔王を見て、僕は悲しい顔をして言った。
「魔王バーボン……いや、父さん。俺は21年前に『伝説の英雄』だった父さんが、そんなことを言うのは悲しいよ……」
すると、魔王は怪訝な顔をする。
「何だと?『父さん』?……」
そうつぶやいた魔王は、額を押さえながら首を振り、
「……いや、俺は魔族のためにこの世界を創り変えねばならないんだ……」
そう言った時、さらに僕の心をかき乱すことが起こった。
「そうだ、バーボン。お前は『摂理の超越者』様と共に摂理を書き換え、この世界に神の平安をもたらさねばならぬのだ。そのためには、古い記憶に囚われてはいかん」
そう言いながら、魔王の右に左目をアイパッチで隠した15・6歳ほどの少女が現れる。手には翼のついた魔杖を持ち、さらさらとした金髪はすでに魔力を帯びて膨らんでいた。
「……『隻眼の賢者』スリング様……彼女まで魔王の思念に取り込まれていたのか……」
その少女を見たワインが、ゴクリとつばを飲み込んで呻くように言う。
しかも、それだけではなかった。
「そうですバーボン。あなたの大望を邪魔する者は、たとえ『伝説の英雄』であっても容赦するべきではありません。私はどんなことがあっても、あなたの味方です」
そう言いながら現れたのは、僕が夢寐にも忘れたことのない女性……優しかった、いつでも僕に愛情をこめて接してくれた女性だった。
「……かあさま?……嘘だろ、かあさままで魔王の?……」
魔王の左に姿を現したのは、上級魔法博士エレノア・ライム……僕の母だった。
ジンの前に、魔王バーボン、隻眼の賢者スリング、上級博士エレノアが並んだ。
それを見て、ワインの頭には、とっさに『撤退』の2文字が閃いた。状況がジンにとってあまりに過酷であり、ジンは冷静な態度や正常な判断が取れないと心配したからである。
「……撤退だ。ジンを連れて『約束の地』をいったん離れよう」
ワインがそう言ってジンに駆け寄ろうとした時、シェリーがワインを押しのけ、ジンに縋り付いて言った。
「ジン、下がろう!? このまま戦っても、ジンきっと負けちゃう。下がって落ち着いてから出直そう!?」
「そうですジン様! 心が乱れているときに戦いを求めるべきではありません!」
ラムもそう言って、長剣を構えながらジンを守るように魔王に切っ先を向ける。
「逃げるのか、ジン・ライム?」
魔王は魔剣を肩に担いで、ジンを見下すように煽って来る。その態度に、シェリーがやりきれない怒りを爆発させた。
「何よ、何なのよ! 魔王がバーボンおじさまで、エレノアおばさまやスリング様までジンの敵になるなんて、いったいジンがどんな悪いことをしたって言うのよ!?
ジンが『伝説の英雄』だから、自分のお父さんやお母さん、伯母さんとまで戦わなきゃいけないの!? ジンだって好きで『伝説の英雄』になったわけじゃないんだよ!?」
「止めるんだシェリーちゃん!」
「シェリーお姉さま、落ち着いてください!」
ワインとチャチャが、魔王に突っかかって行こうとするシェリーを、何とか押さえながらなだめようとするが、シェリーは青い瞳を持つ右目から涙を流して激しく首を振った。
「イヤだ、アタシはジンが傷つくのを見たくない! こんなのって、ジンがあんまりにも可哀そうだ!」
するとその時、若い男がこの場に駆け寄って来た。
「……ちょっと待った! その勝負、ぼくも参加させてくれ!」
そんなことを大声で言いながら駆け寄ってきたその男は、ジンたちの近くまで来ると膝に手を当てて呼吸を整えていた。金髪碧眼の優男だが、その身体は分厚い『闇』の魔力で覆われている。
「……君は……ダイ・アクーニンか? マロン様と一緒じゃなかったのか?」
ワインが冷たい声で訊くと、ダイはようやく顔を上げてワインに答える。
「勘違いしないでくれ。ぼくはちゃんとマロン様やスコッチ殿と共に『勇士の軍団』遊撃部隊にいたんだが、マロン様は行方不明になって、遊撃部隊も魔王に全滅させられた。
スコッチ殿たちも、ぼくの仲間だったコアやシロヴィンもそいつにやられたんだ。決して敵前逃亡したわけじゃない」
ダイの話を聞いて、ワインは眉を寄せる。
「マロン様が行方不明? それに遊撃部隊も全滅だって?」
ワインの当惑を見て、ダイは逆に肝が据わったようだ。彼は真剣な顔……『鬼気迫る顔』という方が正しいかもしれない……になって、魔王に視線を向ける。
「……ふん、マイティ・クロウに姿を似せるなんて、エピメイアも姑息な手段を使うんだな。魔王バーボン、父や仲間たちの仇の貴様に、ダイ・アクーニンが勝負を申し込む!」
そう言い放ったダイを、魔王は憫然と眺めていたが、ニヤリと笑うと答えた。
「いいだろう。ジン・ライムは俺と同族。俺の実力を見せて降参させる方がいいからな。
しかし小僧、こちらは3人がかりになるが、それでもいいのか? 瞬殺されることになるぞ」
するとダイは、薄い唇を歪めてつぶやく。それは魔王たちには届かなかったが、近くにいたラムやアイリスの耳にははっきりと聞こえた。
「3人がかり、か。奴らは『3人で行動せねばならない』という制約でもあるのかもしれないな。君たちはこのことを覚えておくがいいさ」
「え!?」
「それはどういう?」
ラムやアイリスが戸惑いの表情を浮かべると同時に、ダイは魔王に向かってはっきりと答えた。
「ああ、それでも構わない。だが、ぼくをそう簡単に料理できるとは思わないことだね」
それを聞いて、魔王は凄まじい笑みを浮かべて、魔剣を肩から降ろしながら言った。
「ふっ、面白いな。ではスリング、エレノア、行くぞ」
魔王たちが戦闘に入ろうとした時、さらにこの場に現れた人物がいた。
「まあ待て魔王よ。魔王たるものが1人を相手に3人がかりとは戦士の風上にも置けないと思わないか? 俺がダイ・アクーニンの助太刀をしよう」
そう言いながら現れたのは、フード付きの黒いマントを羽織った若者だった。金髪碧眼で、苦み走った顔であるが、その人物の登場で、ジンは魔王親衛隊の全滅とド・ヴァンの戦死を悟った。
「……テキーラさん。あなただけがここに現れたということは、ド・ヴァンさんは……」
ジンが酷く冷たい瞳をして魔王を見つめ、テキーラに訊く。テキーラは悲しそうな瞳をジンに向けて答えた。
「私がオデッシアに、ウォッカがクン・バハに、そして団長がファルカロスに止めを刺した。団長もウォッカも、立派な最期だったと信じている」
それを聞いたジンジャーさんが、隠形を解くとテキーラさんの方に歩み寄って、微笑と共に言った。
「ではお兄さま、もう一人の助太刀はわたしがいたします。兄妹で父コニャックの仇を取りましょう」
「お兄さま、だって!?」
ジンが驚いて言うと、ジンジャーはニコリと笑い、シェリーたちにも笑顔を向けて
「はい。私の本名はキュラソー・マッケンロウ。キュラソー・クロウの名で元水の精霊王アクア・ラングに仕え、その命令でジン様を狙って許された蟲使いです。
シェリーさん、ワインさん、ラムさん、みんな、騙していてごめんなさい。そしてジン様、テキーラが私の実兄であることも黙っていて済みませんでした。ここで魔王の眷属を討ち取ることで謝罪の代わりとさせてください」
そう言うと、ジンが真っ先にうなずいた。
「君やテキーラさんにはお世話になった。許すも許さないもないさ」
ジンの答えを聞いて、ワインやシェリーたちも次々とうなずく。
その様を見ていたテキーラは、ダイに笑って話しかけた。
「ではダイ・アクーニン。我ら兄妹がスリングとエレノアに当たる。君は何も気にせず魔王を倒すことだ。私たちは準備完了だぞ」
それを聞いたダイは、感激の面持ちでうなずくと、魔王を睨みつけて叫んだ。
「魔王、貴様を虚空に還す!」
魔王、スリング、エレノアとダイ、テキーラ、ジンジャーの戦いの幕は、ここに開かれたのだった。
★ ★ ★ ★ ★
(ダイたちが戦ってくれているうちに、ジンを連れて『約束の地』から出よう。撤退するなら今しかない)
3対3の戦闘が始まった時、ワインはすぐにジンの側に行って、撤退を勧めた。
「ジン、撤退しよう。キミは魔王を相手にするには動揺しすぎている。少し頭を冷やした方が……」
「ワイン、ダイたちが身を以て魔王たちの戦い方を見せてくれるんだ。その戦いぶりを見届けないと、僕は騎士を名乗れなくなる。
それに、君が心配してくれているほどには動揺していないんだ。だから僕はここに残り、必要とあらば魔王と雌雄を決する」
しかしジンは、ワインの提案を食い気味に却下する。その言葉に、思いのほか力がこもっていたことと、魔王を睨みつける表情の険しさに、ワインはそれ以上無理強いもできず、
「分かった。その代わりキミを守るために陣形を整えさせてくれ」
そう言うと、アイリスをジンの前に、ラムと自分はジンの横に占位し、ジンの後ろにシェリーとチャチャを配置した。
「シェリーちゃん、思うところはあるだろうが、今はジンが感情のままに流されないよう気を付けるべき時だ。
キミは『伝説の英雄』に配される『乙女』だろう? だったら、ジンが無謀に走らないよう、しっかり彼を見守っていてくれないか?」
ワインが小声でそう言うと、シェリーは顔を青ざめさせたまま、こっくりとうなずく。
「……チャチャちゃん、シェリーちゃんの様子を見ていてくれ。彼女自身が無茶なことをしようとしたら、全力で止めるんだ。お願いするよ?」
ワインは虫が知らせたのだろうか、シェリーの様子を見て悪い予感に囚われた彼は、念には念を入れてチャチャにシェリーの見守りを頼んだ。チャチャは硬い顔をしていたが、ワインからそう言われて、
「分かりました。ワインお兄ちゃん、副団長のことは任せてください!」
笑顔と共に答えた。
(よかった、これでひとまずはジンのことを気にしておけばいいだろう)
ワインは少し安心して、隣でダイたちの戦いを見守るジンの顔を覗き見る。真剣な表情だが、どこか『心ここに在らず』という雰囲気が感じられた。
(……無理もない。まさか魔王がマイティ・クロウの姿で降臨するなんて考えもしなかったし、その護衛にジンの御母堂と賢者スリング様が現れるなんて……。ボクだったらここに居ることすら耐えられないだろう……)
お互い物心ついてからずっと一緒だった幼馴染であるジンのことは、よく知っているつもりでいたワインだったが、そのジンがどんな気持ちでここに居るのか、今のワインには想像もつかなかった。
だからこそ、ジンの心理的な負担をできるだけ軽くする方法はないのかと頭を巡らせるワインだった。
ダイたちの戦いは、ダイ対魔王バーボン、テキーラ対『隻眼の賢者』スリング、ジンジャー対エレノア・ライムで始められた。
(エレノア様はジン団長のお母さまで、生前は『ライム一族の麒麟児』と呼ばれ、大陸でも指折りの回復魔法や防御魔法の遣い手だったと聞いているわ。だったら、早めに討ち取らないとお兄様やダイが不利になるわね)
ジンジャーは、ドッカーノ村騎士団でジンの『大地の護り』や『大地の慈愛』を目の当たりにしていた。そのため戦いの中で群を抜けた防御魔法や回復魔法は、勝負の結果に大きい影響をもたらすことも理解していた。
「私を狙ってくるとは意外ね。私がバーボンやスリング様と比べて弱いとでも思っているのかしら?」
エレノアは美人だが、息子のジンがそうであるように優しい顔立ちをしている。
しかし、魔王の配下となった今では、姉のスリングと同じように鋭い顔つきになっていた。スリングと比べると地味な存在であったエレノアだが、さすがは『ライム一族の麒麟児』と言われていただけはあった。
「あなたの噂は聞き知っています。だからこそ、わたしにとってあなたは魔王より価値ある敵なんです。上級魔法博士エレノア・ライム」
ジンジャーはそう言いながら、左手に法器を構える。
「あら、あなたも法器遣いなのね? でも、左腕一本じゃかなり不利よ?」
エレノアは、ジンジャーに右腕が肘から下がないのを見て憫笑する。しかし、ジンジャーはうっすらと笑って言い返した。
「すでに命を亡くし、『運命の背反者』のお人形さんになっているあなたよりはマシじゃないかしら? あなたは摂理に従って、還るべき場所で静かに眠るべきだと思うけれど?」
その言葉を聞いて、エレノアの表情が一層険しくなる。エレノアは唇をキュッと引き結び、碧眼でジンジャーを睨みつけると吐き捨てた。
「摂理の何たるかも知らぬ愚か者よ!」
ババババッ!
「えっ!?」「『大地の護り』っ!」
ジャジャジャジャッ!
ジンジャーは、いきなりの攻撃に完全に虚を突かれた。始まりと同時に勝負がついたと観念しかけたジンジャーだったが、危うくジンのシールドが間に合った。
「呪文詠唱どころか魔力の揺らぎさえ見せずに『風の刃』を放つなんて。さすがは『ライム一族の麒麟児』ね」
肝を冷やしたジンジャーだったが、チラリとジンを見て軽く頭を下げる。ジンは相変わらず腕組みをしたまま、冷たい目で三人の戦いを凝視していた。
「よそ見している暇はないわよ?」
ビュワンッ!
「ちっ!」
ジンジャーは、『風の螺旋刃』に閉じ込められて舌打ちする。彼女を取り巻く暴風はすべて風の刃で構成されていて、生身で突破しようとしたらズタズタにされてしまう。
しかも、その『暴風の壁』は少しずつ狭まって来る。もっと速く収束させることもできるのだが、エレノアは生前の性格に似合わず、じわじわと恐怖を与えながらなぶり殺しにすることを選んだのだろう。
だが、それがジンジャーに戦局回天の機会を与えた。
「……団長さんのお母さまにしてはエグい性格をしているわね。『闇の妄言』」
ジンジャーが術式を展開すると、刃の旋風の外にジンジャーが現れた。間髪入れずジンジャーは次の魔法術式を発動させる。
「『縺れの光景』っ!」
ジャジャジャジャジャーッ!
その瞬間、『風の螺旋刃』が収束し、シールドを削る耳障りな音が響き渡る。
だが、エレノアは勝利の快感に酔いしれることはできなかった。
「……『風の螺旋刃』から抜け出るなんてやるわね。もっとも……」
エレノアは、中にあるものを削り尽くそうと身悶えているような『風の螺旋刃』に一瞥をくれると、ジンジャーに視線を戻して言う。
「エレクラの術式で組み上がったシールドを、そうやすやすと削り尽くすことができるとは思わなかったけど。外に出てきてくれて助かったわ」
「まぁ、この技じゃシールドまで動かせませんからね? で、次はどんな術式で来るのかしら?」
『風の収束』で身を守りながらジンジャーが訊くと、エレノアは笑って、
「じゃあ、私も『風の収束』を使わせていただくわね? あなたと私の魔法術式への理解度の違いがはっきり分かると思うから」
そう言った瞬間、ジンジャーの身体が風にあおられるようにエレノアに近付いていく。まるで渦潮に飲み込まれたかのように抗い難いほどの力だった。
(くっ! 『収束』の流れを空間規定で呪縛に変えるなんて! このままじゃただのエレノアの的になってしまう!)
「『深淵の瞳』っ!」
ジンジャーは、右腕をエレノアに伸ばして魔法を撃つ。青紫の魔力が一瞬にしてエレノアの身体を捉え、魔力の綱が巻き付いていく。
だが、エレノアは身じろぎもしないで次の魔法を放った。
「ムダなことはお止しなさいな。『風の槍』!」
ドスッ!
「『闇の沈黙』! ぐぁっ!」
ジンジャーの悲鳴が響く。エレノアの『風の槍』はジンジャーのシールドを貫通し、腹部に突き立っていた。
「……いい光景よ。いい子だから、もう少し可愛らしい声で泣いてくれないかしら?」
グググ、ブシュシュッ!
「がああっ!?」
エレノアが右手をジンジャーに伸ばす。ジンジャーに突き立った『風の槍』は、何かに押されるようにジンジャーの身体をえぐり、背中へ突き抜けて、ジンジャーを空間に縫い留めた。
シールドが解けてがっくりとうなだれるジンジャーのもとに、エレノアはゆっくりと近寄って来る。舐め回すようにジンジャーを見るエレノアの瞳はサディスティックな光で満ちていた。
「お兄ちゃんのために、敵わないと知りつつも戦うなんて、可愛らしい妹ちゃんね?
どれ、可愛いお顔をよく見せてごらんなさい」
エレノアが右手の指をくいっと上げると、ジンジャーのあごが持ち上がり、長い黒髪が左右に割れて、苦悶の表情を浮かべた顔が露わになる。
「……ふふ、美しい顔が苦痛に歪んだ様は、見ていて背中がゾクゾクするわね。じゃ、息子も見ていることだし、嫌われないようにそろそろ楽にしてあげるわね?」
エレノアがそう言った時、ジンジャーがカッと目を開けて笑う。唇の端から流れる血も拭かず、紙のように白くなった顔に張り付いた笑いは、まさに『凄絶』そのものだった。
「団長さんはあなたのことを心配していたわ。だってあなたは、団長さんにとってたった一人の母親だもの。だから、わたしはあなただけは団長さんの手にはかけさせたくないわ」
「なっ!?」
エレノアは恐怖で一瞬固まった。そこに、
「摂理に還りなさい、団長さんのために。『不離の風景』!」
「はっ!?」
エレノアは一瞬の隙を衝かれた。シールドを張る暇もなく、彼女はジンジャーの空間規定魔法に囚われる。
エレノアは、視界が異空間の闇に閉じ込められる直前に見たのは、磔となったジンジャーが消え、左手に法器を持ったジンジャーがこちらを見ている情景だった。
「……偽存在を私に見せて、自分は隠形していたのね。魔力すら感じさせなかった、完璧な隠形だったわ……がっ!」
エレノアはそうつぶやくと、急速に圧縮された空間の中で消滅した。
「……エレノア様……話に聞いていたとおり、すごいお方だった。一瞬でも気を抜いていたら瞬殺されていたわね」
戦闘時間は短かったが、ジンジャーは次々と先を読んで、エレノアに気付かれないように術式を展開してきた。強敵を倒して一瞬気を抜いたのも、無理からぬところだったろう。
だが、エレノアがそうであったように、一瞬の気の緩みが、ジンジャーの命を奪った。
「ジンジャーさんっ、前へ跳べっ!!」
「えっ!?」
ワインの驚愕の叫びがジンジャーの耳朶を打った。だが、気を緩めていたジンジャーはそれに即応できなかった。
「……我の妹を倒して、無事で済むと思うな?」
ジンジャーの身体が跳躍のために動く前に、彼女は目の前に現れた賢者スリングの魔力に捕えられた。
「ぐっ!」
「兄と二人がかりで来られたら、いかに我でも鬱陶しい。去ねっ!」
ズバウウンンッ!
「あがっ!」
「ジンジャーさんっ!」
ジンジャーは、賢者スリングの『終焉を呼ぶ陣風』で、粉々になって吹き飛んだ。
「おおうっ!」
バシュンッ!
そこに、テキーラが魔槍を揮って突っ込んできたが、スリングはそれを軽くかわし、
「……今のは少しばかり鋭かったの。じゃが、我の命に届こうはずもないわ」
そう言うと、魔杖を軽く前に突き出す。
ドズッ!
「くっ!」
テキーラは、魔弾を含んだ突きを、魔槍の先端で受け止めた。
それを見て、スリングは右目を大きく見開いて、ニヤリと笑う。
「ほほう、妹を討たれて、少しは本気が出たのか? ならば我も、もう少し真面目に相手してやるとするかな」
「……ほざけ。私たちがどれほど魔王を恨んでいるか、これから思い知らせてやる」
テキーラは、乱れた金髪の下から見える双眸に、憎しみと殺意を漲らせて吐き捨てた。
★ ★ ★ ★ ★
時間を少し巻き戻す。ジンジャーとエレノアが戦いを始めた頃、テキーラは『隻眼の賢者』スリングと相対していた。
「……妹と同じ法器遣いと見受けるが、法器を持っておらんな。変わった奴じゃ」
スリングが魔杖を身体の右側に立てて、テキーラをジロリと睨んで言う。
「……私は法器ではなく、魔杖を使うのでな。あなたと同じだな、『隻眼の賢者』スリング」
テキーラはそう言うと、マントの下から60センチほどの装飾が付いた棒を取り出して左手に持ち、だらりと両手を垂らす。
「ふむ、それはマジツエー帝国の元帥杖じゃな? そなたはイクサガスキー家の家人か何かか?」
スリングが訊くと、テキーラは薄く笑って訊き返す。
「スリング様は、コニャック・マッケンロウという人物をご存じか?」
「もちろんじゃ。マイティ・クロウの異母兄で、21年前の『魔王の降臨』の際にもマイティ・クロウを助けるため、マジツエー帝国の正規軍を率いて『暗黒領域』で奮戦した将軍であろう?」
スリングがよどみなく答えると、テキーラは微笑みながらうなずいた。
「私とキュラソーは、その子どもだ。私の生涯は、幼い私たちから父を奪った魔王への復讐のためにある。
スリング様がそこに立っておられる限り、私はあなたを倒さねばならない。父の記憶がおありなら、21年前に御自分がどんな立場で何をなされたのかはご承知のことと思います。1回しか言いません、そこを退いてください」
テキーラの言葉は丁寧だったが、低いその声には気迫がこもっていた。それでもスリングは、テキーラの願いを聞き入れようとはしなかった。
「残念じゃが、我もここを退くわけにはいかんでな。我は今は、摂理の秘密を教えられてエピメイア様にお仕えする身じゃからな」
薄笑いすら浮かべて答えるスリングに、テキーラは一揖すると、
「スリング様の立場とお考えは承りました。では、この礼を以てあなたへの尊敬の念も捨てることといたします。
魔王の眷属スリングよ、テキーラ・マッケンロウがその首申し受ける!」
テキーラがそう言った瞬間、その姿がその場から消えた。
「やっ!」
ジャリンッ!
スリングは右目を細めて魔杖を左に振る。テキーラの魔力で創られた魔剣の斬撃は弾かれ、金属が打ち合う響きと魔力がぶつかる振動が空間を占めた。
「やっ、とおっ!」
ジャリンッ、チュイーンッ!
テキーラが続けざまに放った斬撃は、ことごとくスリングの魔杖に阻まれる。スリングはニヤリと笑い、
「ほれ」
次の斬撃のために剣を振り上げたテキーラの眼前に魔杖を突き出す。一見無造作に見えたその動きで、スリングは周囲の風を巻き込んで魔杖に沿って噴出させた。
バフウンッ!
「おっ!?」
思わず跳び下がるテキーラに、
「おぬしのエレメントは『闇』じゃが、『風の翼』が使えるとは思わなかったぞ」
そう言いながら、
「これを避ければ初級合格じゃ。『葬送の風』っ!」
ゴウッ!
「うむっ!?」
テキーラは自身を中心に半径10ヤードの空間に異常を感じ取る。感じ取るのと上へと跳躍するのが同時だった。
「やっ!」
バシュンッ!
テキーラの足の下で空間が収束し爆裂する。少しでも遅れたら骨も残らず消えていたに違いない。
「これを避ければ中級じゃぞ!『風の大蛇』っ!」
スリングの魔杖が風を集め、細長い竜巻を作り上げる。その竜巻は空中にいるテキーラに鎌首を持ち上げて襲い掛かった。
「『蜘蛛の微笑』」
テキーラは慌てもせず、四方八方に魔力を帯びた蜘蛛を飛ばす。蜘蛛たちが編み上げた魔力でできた巣は竜巻の大蛇に絡みつき、ものの数秒で魔力を吸い取ってしまう。
「……ふむ、中級までは難なく合格したのう。魔王親衛隊のオデッシアを倒したと言っておったが、あながち嘘ではなさそうじゃな」
左手を腰に当てて言うスリングに、ふわりと着地したテキーラは顔を向けて微笑み、
「なかなか興味深い能力と捉え難い性格をしたお嬢さんだったな。
しかし、お前と戦ってみると、オデッシアの能力がいかに子ども騙しのようなものだったかが分かる。彼女の能力では、超再生能力が一番興味深かった」
そう言うと、元帥杖を右手に持ち替えた。
「良く練れた魔力じゃ。術式の編み上げも精緻なものじゃな。師匠は誰じゃ?」
スリングが訊くと、テキーラは元帥杖を槍に変えて答える。
「魔法博士サン・ライム様だ」
「ふむ、連れ合いが山賊だったため魔導士の位を返納したサンか。なるほど、彼女の弟子と聞けば、これほど戦闘に細かく気を配れるのもうなずける」
ジャンッ!
スリングは、あっという間に槍の間合いまで飛び込んで来たテキーラの突きを、魔杖で払い落としながら言う。そして下に振った魔杖をそのまま無造作に振り上げた。
シュンッ!
「ふっ」
テキーラは魔杖が放った斬撃波を、軽く身をよじってかわしながら、左手をスリングに伸ばし、その頭を撫でた。
「無礼者っ!」
バシュンッ!
「くっ!」
頭を撫でられてバカにされたと思ったのか、スリングは左手の手刀で斬撃波を放つ。テキーラの回避は一瞬間に合わず、彼の左手首から先は切断されて宙を舞った。
「……ふん、想定内だ……」
だが、テキーラは顔色一つ変えずに左手首の傷に魔力を集め、あっという間に止血する。
「お前は思ったより有能じゃな。頭を撫でられるとは思ってもおらんかった。魔弾を撃たれていたらと思うと怖気を揮うのう。
じゃが、お前はまだ我をこの場から一歩も動かしてはおらんぞ? 力の差は歴然としているじゃに、ここらで矛を収めてはいかがかのう?」
相変わらず飄々とした態度で言うスリングだが、内心では少し肝を冷やしていた。
(別に攻撃魔法を連動させているわけでも、ドレイン系魔法やバインド系の魔法を仕掛けたわけでもなさそうじゃ。だとすると、テキーラは自分の左手と引き換えに何を狙っていたんじゃろう?)
先ほどのテキーラの攻撃の意図が掴めず、困惑し不気味に感じていたのだった。
だが、テキーラはニコリともせず首を横に振る。
「私がそなたに及ばぬのは承知のうえだ。だが、勝負は水ものだ。そう考えると私にも勝機はあるだろう。キュラソーのようにな」
「何ッ!?」
思わせぶりなテキーラの言葉に、スリングは思わず後ろを振り返る。ちょうどエレノアがジンジャーの『不離の風景』に捉えられる瞬間だった。
「エレノア、はっ!」
ビュンッ!
スリングは、テキーラの突きを外すと、
「おのれ、我の妹をようも……」
ギリギリと歯ぎしりをして、ジンジャーの方へと瞬間移動した。
「……我の妹を倒して、無事で済むと思うな?」
スリングは、ジンジャーの眼前に姿を現すと、気を抜いていた彼女をその魔力のうちに捕えた。
「ぐっ!」
そして賢者スリングは、『終焉を呼ぶ陣風』を放つ。呪文詠唱も術式宣言もない魔力の発現だった。
「兄と二人がかりで来られたら、いかに我でも鬱陶しい。去ねっ!」
ズバウウンンッ!
「あがっ!」
そしてただ1発で、ジンジャーを粉々に吹き飛ばした。
「おおうっ!」
バシュンッ!
そこに、テキーラが魔槍を揮って突っ込んできたが、スリングはそれを軽くかわし、
「……今のは少しばかり鋭かったの。じゃが、我の命に届こうはずもないわ」
そう言うと、魔杖を軽く前に突き出す。
ドズッ!
「くっ!」
テキーラは、魔弾を含んだ突きを、魔槍の先端で受け止めた。
それを見て、スリングは右目を大きく見開いて、ニヤリと笑う。
「ほほう、妹を討たれて、少しは本気が出たのか? ならば我も、もう少し真面目に相手してやるとするかな」
「……ほざけ。私たちがどれほど魔王を恨んでいるか、これから思い知らせてやる」
テキーラは、乱れた金髪の下から見える双眸に、憎しみと殺意を漲らせて吐き捨てた。
「それは楽しみじゃな。お主の本気がどれだけ我に通用するか、足掻いてみるが好いわ!」
ズドゥム!
スリングがそう言った瞬間、右目の瞳が紫色に代わり、金髪は風に吹き上げられるように波打って膨らむ。
「ぐっ!?」
テキーラは、開放されたスリングの魔力の圧に押され、10ヤードも弾き飛ばされる。もんどりうって転がった拍子に、元帥杖がテキーラの手から離れて飛び去った。
(……魔力開放の圧力だけで、私をここまで吹き飛ばすとは。さすがは大賢人にまで登った『百年に一人の天才』だな)
ズズズズズ……
スリングの魔力の噴出は、周囲の空間を震わせている。スリングの瞳は紫に怪しく輝き、テキーラの視線と絡み合った。空気の振動がテキーラを包み、スリングの視線は平常心と闘志を彼から奪っていく。
(スリングの眼を見てはダメだ。最後の一撃のための魔力と気力だけは死守すべきだな)
テキーラはこの瞬間、生還を諦めた。だが、妹の仇を討つために、そして魔王を裸にするために、反撃の機会を狙って目を伏せる。
それを見て、テキーラは抵抗の意志も、その力も失ったと思ったのだろう、スリングは魔杖を突きながらゆっくりとテキーラに近付いてきた。
「……父がマイティ・クロウの異母兄とは言っても、しょせんお主はクロウ一族の中では傍流。
しかもライム一族の血を享けていないお主は、我の足元にも及ばぬ。妹同様、チリとなって果てるがよいわ!」
スリングがそう言って『終焉を呼ぶ陣風』を撃とうとした瞬間、テキーラは目を開けてスリングに抱き着いた。
「うおっ! お主、何をっ!?」
慌ててテキーラを振りほどこうとするスリングは、テキーラが顔を上げてニタリと笑うのを見て戦慄する。
「あの世への旅の道連れさ。『闇の抱擁』!」
「うをっ、貴様っ!」
スリングが叫んだ瞬間、テキーラの身体から暗黒の魔力が噴き出した。ただ噴き出したのではなく、スリングの身体にねっとりと纏わりつき、生命力と魔力を奪っていく。
「し、シールドをっ!」
まだ間に合う。テキーラの魔力が自分のエレメントを包み込む前に、シールドでエレメントを覆えば、少なくとも死にはしない……とっさにそのことに思い至ったスリングは、シールドを発動しようとして、自分の魔力が思いのほか少なくなっているのに気付き愕然とする。『終焉を呼ぶ陣風』発動のために魔力を使った今、魔力はほとんど残っていなかったのだ。
その時、スリングは悟った。テキーラが左手と交換したものが何なのかを。
(……あの瞬間、我にポイズン系の魔法をかけていたのか。魔力が無くなったのではない、毒に侵されて魔力を自由に動かせなくなっていたのだ。こやつが自覚症状のない毒魔法を持っていたとは想定外じゃった……)
「ぐぬぬ……抜かったわ……」
テキーラの魔力は遂にスリングのエレメントまで達した。スリングのエレメントは『風の浸透』の影響を受けた闇の魔力の前に輝きを消し、その毒はテキーラと共にスリングの肉体をも溶解させ始めた。
「……どうだスリング。貴様がバカにした傍流の私と共に、身体中が崩れ果てて死んでいく気持ちは。私は魔王を討てなかったが、その股肱をもぎ取ったので満足だ。
あの世とやらに行ったら、キュラソーも褒めてやらねばな。『ライム一族の麒麟児』を二人とも討ち取ったのだから」
スリングは、テキーラの悪態に答える力も無くなっていた。ただ、怒りを込めた目でテキーラを見つめ、最期の瞬間、何かを悟ったように天空を振り仰いで、
「……そうだったか。我、過てり……」
そうつぶやき、一筋の涙をこぼして力尽きた。
★ ★ ★ ★ ★
ダイと魔王バーボンの勝負は、思ってもみない経過をたどった。
そもそも、ダイは魔王を目の敵にしてはいたが、真っ向勝負で魔王に勝てるわけがないと考えていた節がある。
もちろん、客観的に見るとダイの魔力は衆を超えており、何なら魔王親衛隊とですら対等に渡り合えるレベルであった。これは、元精霊王のマロンがそう看破し、ダイを魔王と刺し違えさせようと真剣に考えていたことでもうなずける。
しかし、残念なことにダイという男は、作戦に関しては絶対の自信を持っている反面、自分の強さについてはかなり過小評価をしていた。魔王と戦うなら、仲間であった傭兵隊長コア・クトーや魔戦士シロヴィン・ボルドーの二人の協力が作戦上必要……それがダイが魔王と戦う際に引いていた青写真だった。
だが、『瘴気の密林』出口の陣地戦でコアとシロヴィンを魔王のために失った。本来であればこの時点でダイが目論んだ『魔王征伐』の前提が崩れているため、作戦は実施不能となっているはずである。
ダイがあくまで『作戦家』として自身を規定しているなら、この時点でダイは勝負を投げ、『暗黒領域』からの離脱に動いただろう。
しかし、運命のいたずらか、その場で出会った謎の女性によって魔王追撃を持ち掛けられ、年来の仲間であった二人の仇討という使命感も加わって、ダイは『約束の地』を目指した。
そして、魔王がマイティ・クロウの姿を取っているのを見て、ジンが攻撃を渋っている、あるいは戦意を削がれていると感じたダイは、自ら魔王への一番槍を付ける決心をした。
(コアもシロヴィンもいなくなった。対魔王戦闘の前提は崩れているから、僥倖に恵まれ続けない限り、ぼくに勝ち目はない。だったら、魔王一人を相手にするも、三人まとめて相手にするも同じだ)
そんな気持ちで魔王との戦いに臨んだが、彼が期待していなかった助太刀が現れた。
(これは、ぼくにとっていい流れなのではないか?)
そう思ったダイは、改めて自分と魔王の実力を比較する。
(ぼくの陣地を一撃で潰した魔王と、マジツエー帝国の1個師団をエルメスハイルの町ごと壊滅させたぼく……あれ? 客観的に見れば、ぼくの術式が魔王に全く刃が立たないとかってことはないんじゃないか?)
今さらながらそう思い当たったダイだった。
(……なるほど、こういうところを見て、マロン様はぼくと魔王を引き換えにできると踏んだわけだ。じゃ、『無敗の作戦家』の意地にかけて魔王を倒し、ぜひとも勝ちをもぎ取らなきゃな)
そう腹をくくると、ダイは『魔王に絶対勝てる作戦案』を即座にいくつか思いつく。そして、その中で最も可能性が高い案を実行することにした。
「どうしたダイ・アクーニン。貴様からかかって来るんじゃないのか? いつまでも待たせるようなら俺から攻撃するが?」
焦れたように魔王が言う。ダイの戦闘開始宣言で、テキーラやジンジャーはスリングやエレノアと戦いに入ったというのに、ダイがいつまでも何か考えごとをしているため、調子を狂わされてしまったようだった。
ダイはやっと顔を上げると、さわやかな笑顔を魔王に向けて言った。
「ああ、すまなかった。ちょっと考え事をしていたもので。じゃ、今から始めようか、魔王バーボン」
魔王は魔剣をゆっくりと構えながら、苦笑して言う。
「お前のような男は初めてだ。さっきまでは見逃していたが、戦闘中に考え事を始めても容赦なく攻撃するからな。それだけは覚えていろ」
ダイは頭を掻きながら、照れたように言う。
「いやぁ~、つい癖でね? でも考え事中を襲わないとは、魔王も結構いいところはあるんだな」
ダイの言葉に、魔王はさらに拍子抜けしたように、
「は!? 命を懸けた戦いの場で、よく相手にそんなセリフが吐けるな? 言っておくが、俺は戦士だ。先ほどは、お前の戦闘を始める意思がはっきりしていなかったので、考え事をしている間に攻撃するのは卑怯なふるまいであると判断しただけだ。
先ほどお前は『今から始める』と宣言したので、これ以降は考え事をしていても攻撃する……それだけだ」
割と懇切丁寧にそう話すと、魔力を開放して言った。
「御託はもういい。お前を倒して、ジンに降伏を勧告する。聞き入れないならジンも倒す。ただそれだけだ。早くかかって来い!」
するとダイは虚空から弓矢を取り出して弓弦を張ると、にこりと笑って矢をつがえる。
「分かっているって、そう急かすなよ」
バシュンっ!
ニコニコ笑いながらダイは矢を放った。それは正確に魔王の真額を狙っていた。
ジャンッ! ドズッ!
「……む?」
魔王の剣は向かってくるダイの矢を弾いた。魔王にはその音も聞こえたし、手応えもあった。しかし、ダイの矢は魔王の額に突き刺さっていた。
「……」
グジュグジュッ……ジュボッ!
魔王は無言で額から矢を抜き取る。そしてどす黒い血とピンクがかった脳漿に塗れた矢じりを、やはり無言で、そして鋭い目で眺めた。
「……貴様、アルケー様の魔法を使っているな? 魔族でもない貴様が、どこでアルケー様の魔法を教わった?」
するとダイは、笑顔を収めて
「……やはり、あの方がアルケー・クロウだったのか。ちょっとした縁があってね? 短い間だったが魔法を教えてもらった。かなり教え方は厳しかったけれど、そのおかげで習得は早かったなぁ」
そう答えて、再び笑顔になって魔王に言う。
「魔王バーボン、君はぼくのことを軽く見ているようだけれど、そういうことでぼくが使う魔法は『伝説の英雄』ジン・ライム殿に勝るとも劣らないと自負している。
だから、あんまり舐めた真似はしない方がいいと忠告しておくよ」
すると魔王は、額の傷をあっという間に治してうなずく。その翠の瞳が緋色に変わっていた。
「承知した。貴様をジンと同格に遇しよう。命の残り時間を数えておくがいい」
「むっ!?」
ダイは、魔王が姿を消した瞬間、脱兎のように前へと走り出す。
「くっ!」
ダイが走り出した瞬間、魔王はダイの後ろに現れて魔剣を横薙ぎにする。
「やべぇ、『重力の恩恵』パッシヴっ!」
ダイはその気配を感じ取って、上空へとジャンプした。
「なるほど、貴様の狙いは判った。だが、俺をそう簡単に出し抜けると思うな!」
そう言いながら姿を消した魔王に対して、ダイは
「出し抜くも何も、ぼくの作戦は論理的結論ってもんだけれどね? 『感覚の恩恵』パッシヴ!」
そう言いながら空中を移動しつつ矢を放った。
ドシュンッ!
「何ッ!?」
パンッ! ドムッ!
魔王が驚きの声を上げて姿を現す。その胸にはダイの矢が深々と突き立っていた。
「……俺の移動先が分かり、しかも知覚まで干渉してくるだと?」
立ち止まった魔王の前に、ダイはふわりと着地して、笑みを絶やさずに言う。
「ああ、ひょっとしたらぼくは、君にとってはジン・ライムより厄介な相手かもしれないね? 今回の『魔王の降臨』は、『摂理の黄昏』っていうイベントの前触れって話もあるから、ジン殿は『摂理の黄昏』のために存在するのかもね?」
「……自惚れるなよ人間。貴様には『英雄の天命』が降りてはいない。俺を倒せるのは『伝説の英雄』だけだ」
魔王は胸から矢を抜きながら、せせら笑って言う。矢傷からは一瞬、鮮血が噴き出したが、すぐにそれは止まり、傷もあっという間にふさがったようだ。
ダイは魔王の治癒能力を目の当たりにしても、少しもがっかりした表情をせず、ただ肩をすくめてこう言った。
「そうかもしれないね。でも、ぼくは魔王にいくつも恨みがある。父や仲間たちが魔王のために命を落としているんだ。
だから、たとえ魔王を倒せるのは『伝説の英雄』だけだと聞かされても、魔王に挑む気持ちはなくならない。それに、ぼくは君を倒す方法を知っているからね」
魔王は冷笑を浮かべつつ、
「ほほう、俺を倒す方法だと? 面白い、どんな方法だ? 言っておくが、お前の狙いが『魔王の心臓』であることは分かっている。お前が言うところの『論理的結論』だからな」
そう訊くと、ダイは首を横に振って答えた。
「ふむ、それをぼくが話すと思うかい? 君がその対策を講じるかもしれないのに」
「言わなければ、ここで貴様の命を断つだけだ。まぁ、貴様を倒すのは決定事項だがな……むっ?」
魔王は、目の前で笑っているダイの輪郭が、だんだんとぼやけていくことに気付き、不意に違和感を覚えた。違和感を覚えるのと、その場から離れるのが同時だった。
(……ダイ・アクーニンは感覚操作の魔法を使っている! 俺に自分と話をさせていると錯覚させて、『魔王の心臓』を壊すつもりだったのだな。味な真似を!)
一方、『魔王の心臓』は、21年前にバーボンとスリングが見たままに、そしてついひと月ほど前にバーボンが再び攻撃した時のままに、分厚い繭のようなものにくるまれていた。ドクン、ドクンと拍動する度に、周囲の空間が気味悪く振動する。
ダイはそんな『魔王の心臓』を目の前にして、薄笑いを浮かべていた。
(ふん、何が『伝説の英雄』だ。何が『英雄の天命』だ。そんなものがなくても、この心臓を止めれば魔王はジ・エンドだ。ジン・ライムの出る幕なんてなかったな)
そう思いながら、ダイはゆっくりと弓に矢をつがえ、ギリギリと引き絞っていく。
「父上……コア、シロヴィン、それにスコッチさんとガン・スミスさん……あんたたちの仇、俺が取ってやるぜ。『生命の恩恵』っ!」
そうつぶやいたダイは、満月のように引き絞った弦を離す。ダイの魔法が乗った矢は、至近距離から『魔王の心臓』を直撃した。
ドムッ! ブジュリュッ!
ドクンッ!
矢が刺さった瞬間、『魔王の心臓』は飛び上がるように大きく拍動し、
ブシュアアアアアアッ!
矢傷から鮮血と赤黒い魔力を噴出し始めた。
「ぶわっふ!?」
ダイは返り血をまともに浴び、慌てて横っ飛びに跳んで返り血を避ける。
ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッ……
『魔王の心臓』は拍動を止めないが、そのたびに鮮血と魔力を噴き出している。
「……しぶといな。もう1筋ぶち込んでおくか」
そういいながらダイが再び矢をつがえた時、
「……くっ! 貴様を甘く見ていたが。貴様も俺を甘く見ていたようだな」
そう言いながら、魔王がその場に姿を現した。
「お前さんが気付く頃だろうと思っていたよ。だが、一足遅かったようだな。『生命の恩恵』っ!」
ドシュッ!
ダイが矢を放った瞬間、
「ふははは、お前はそれで俺を倒したつもりだろうが、かえって俺を助けているんだぞ」
魔王の高笑いが響いた。
ドムッ! ブジャッ!
2筋目の矢が『魔王の心臓』をえぐった瞬間、
ドクンッ!
これまでにないほど大きく心臓が拍動し、それが周囲の空間を激しく振動させる。
「えっ!?」
空間の振動で体勢を崩したダイが、なんとか姿勢を立て直して矢をつがえようとした時、
ドクンッ! バシッ!
「おわあっ!?」
さらに激しく拍動する心臓。そしてその振動はダイの弓をへし折った。
ドクンッ! ドクンッ、ドクンッ、ドクッ、ドクッ……
「ぐ!?」
心臓の拍動は激しく、早くなる。それに連動するかのように、ダイの身体からは魔力と力が抜けて行った。
「……う、嘘だろ? 力が抜ける……」
膝から地面にくずおれたダイに、魔王が高らかに笑って言う。
「うははは、よく見ろダイ。俺の心臓とお前が被った返り血を。心臓は血と魔力を噴き出しながら、俺の身体の中に戻ろうとしているんだぞ?」
そう聞いて、ダイは改めて『魔王の心臓』を魔力視覚で視る。そしてダイはがっくりと両手を地面に付けた。魔王の言うとおり、心臓からは魔力がどんどん魔王に流れ込んでいたのだ。
(……俺は、魔王の完全復活の手助けをしてしまったっていうのか!? ダイ・アクーニン、生涯の最後に取り返しのつかない作戦ミスを……)
ダイには分かっていた。自分の魔力も魔王の返り血から出る魔力と共に、魔王に吸い取られていることに。
(……くそっ、この恨みは……この恨みは貴様の中に取り込まれても、必ず果たしてやるからな!)
ダイの眼がかすんできた。地面に転がったダイが、最期に見た光景は、魔王が漆黒の魔力を噴き出しながらジンたちの方へ歩いていく姿だった。
(魔王を狩ろう!その5に続く)
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、テキーラとジンジャー、そしてダイ・アクーニンが戦いの中で散りました。
特にテキーラは、『組織』と風の精霊王ウェンディの配下という位置づけ、ペストマスクをつけているという見た目から、お気に入りのキャラの一人でした。
ただ、彼もジンジャーも、登場時には退場は決定していたキャラでもあります。
いつか退場するのは確かだったので、特にキャラの印象が残るような書き方に苦労をしたのも良い思い出です。
さて、魔王との決戦も次回が山場となります。親子の戦いはどうなるのか? ジンやシェリー、ワインの心の動きも丁寧に追ってみたいと思います。次回もお楽しみに。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
【主な登場人物紹介】
■ドッカーノ村騎士団
♤ジン・ライム 18歳 ドッカーノ村騎士団の団長。典型的『鈍感系思わせぶり主人公』だったが、旅が彼を成長させている。いろんな人から好かれる『伝説の英雄』候補。
♤ワイン・レッド 18歳 ジンの幼馴染みでエルフ族。結構チャラい。水の槍使いで博学多才、智謀に長ける。『PTD7・淑女』と共に『PTD6・ナルシスト』を倒した。
♡シェリー・シュガー 18歳 ジンの幼馴染みでシルフの短剣使い。弓も使って長距離戦も受け持つ。ジン大好きっ子で負けフラグをへし折った『幼馴染ヒロイン』。
♡ラム・レーズン 19歳 ユニコーン族の娘で『伝説の英雄』を探す旅の途中、ジンのいる村に来た。魔力も強いし長剣の名手。シェリーのライバルである『正統派ヒロイン』。『右鳳軍団』に先行し、ジンと合流を果たした。
♡チャチャ・フォーク 14歳 マーターギ村出身の凄腕狙撃手。謎の組織から母を殺され、事件に関わったジンの騎士団に入団する。シェリーが大好きな『百合っ子ヒロイン』。
♡ジンジャー・エイル 21歳 他の騎士団に所属していたが、ジンにほれ込んで移籍してきた不思議な女性。闇魔法の使い手で、『PTD4・幽霊』を倒すも、右腕を失った。
♡メロン・ソーダ 年齢不詳 元は木々の精霊王マロン・デヴァステータだがその地位を剥奪された。『魔族の祖』アルケー・クロウの関係者で、彼を追っている。現在アルケー・クロウに囚われている。
♤ダイ・アクーニン 28歳 賢者ストックの息子で卓越した知力と魔法を誇る弓使い。魔王を目の敵にしているが、魔王の攻撃で傭兵隊長だったコア・クトーや錬金術師のシロヴィン・ボルドーを失った。
♡アイリス・ララ 『PTD10・ドール』を名乗り、ジンを瀕死に追い込むほど善戦した自律的魔人形。ジンの魔力で再起動し、新たに仲間となった。
■トナーリマーチ騎士団『ドラゴン・シン』
♤テキーラ・トゥモロウ 24歳 謎の組織から入団した男。いつもマントに身を包み、ペストマスクをつけている。ジンの父、バーボンの異母兄コニャックが父で、ジンジャーは実妹。魔王親衛隊オデッシアに止めを刺した後、ジンの許に急行した。
♡メアリー・ブラッドレイ 25歳『ドラゴン・シン』で物資調達を引き受けている槍使い。ド・ヴァンを詐欺ろうとして失敗、許されて彼に心酔し仲間になった。
■退場した仲間たち
♡レイラ・コパック 博識で氷魔法の使い手。スナイプのスカウトで加入した。『PTD5・法律家』を倒すも『PTD3・道化』に止めを刺された。享年17歳。
♡ウォーラ・ララ ジンの魔力で再起動した自律的魔人形。彼に献身的に仕えたが、『PTD2・戦士』との戦いで相討ちとなった。
♡ガイア・ララ 謎の組織の依頼でマッドな博士が造ったエランドールでウォーラの姉。『PTD1・学生』と対峙したが、相討ちとなって果てた。
♡エレーナ・ライム(賢者スナイプ)28歳『賢者会議』の一員だった才媛。ジンに自身が人工生命体であることを明かし『風の宝玉の欠片』を譲る。『PTD3・道化』を倒すも、『道化』が残した瘴気に侵されてしまったが、マーリンの秘薬『諸刃の韻律』によって命は救われた。現在、視力を失いマーリンの許にいる。
♡マディラ・トゥデイ 『ドラゴン・シン』事務長。金髪碧眼で美男子のような女の子。『魔王親衛隊』のオデッシアが召喚したゴーレムに叩き潰された。享年20歳。
♡ソルティ・ドッグ 『ドラゴン・シン』の先鋒隊長である弓使い。調査・探索が得意。『魔王親衛隊』のオデッシアが召喚したゴーレムに握り潰された。享年21歳。
♤ウォッカ・イエスタデイ 『ドラゴン・シン』の副官。オーガの戦士長、スピリタスの息子で無口・生真面目な性格。大陸武闘大会で3連覇を果たすほどの戦士だったが、魔王親衛隊クン・バハに止めを刺しつつも力尽きる。享年21歳。
♤ブルー・ハワイ 『ドラゴン・シン」の遊撃兼偵察隊長である槍使い。記憶力と変装に優れ、情報を分析する能力に長ける。魔王親衛隊クン・バハと対峙し善戦したが、隙を衝かれて戦死した。享年25歳。
♤オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン アルクニー公国随一の騎士団『ドラゴン・シン』のギルドマスター。大商人の御曹司で、頭も切れ双剣の腕も確かだが女好き。ジンと永遠の友情で結ばれ、魔王親衛隊隊長ファルカロスを倒したが力尽きた。享年21歳。




