第1話 母の死は、偶然じゃない
全部、奪われた。
だから——全部、奪い返す。
母が死んだ。
——でも、それは“突然”じゃなかった。
「急性心不全、だそうだ」
父は淡々と言った。
用意されたみたいに。
(おかしい)
昨日まで、普通だった。
仕事をして、数字を見て、私に言った。
『結果で示しなさい』
それが、最後?
ありえない。
白い部屋。
音がない。
母がいる。
黒崎玲子。
強くて、正しくて、間違えない人。
その人が——こんなに、あっさり?
「……お母さん」
触れた手は冷たい。
涙は出ない。
代わりに残るのは、違和感。
(これは、終わり方じゃない)
葬儀は、完璧だった。
人も、流れも、言葉も。
整いすぎている。
「惜しい人を亡くした」
誰もが言う。正しい。
でも——早すぎる。
「紹介する」
葬儀の、その日。
父が連れてきたのは、見知らぬ女と少女。
「これから家族になる。再婚する」
迷いがない。
「……いつから?」
一瞬の沈黙。
「前からだ」
(やっぱり)
全部、繋がった。
「はじめまして、お姉様」
白石美咲。完璧な笑顔。
その奥で、一瞬だけ冷える目。
(この子は——)
本能が告げる。
夜。
静かすぎる部屋。
父の態度。再婚の速さ。あの視線。
(全部、繋がってる?)
確信はない。
でも、このままじゃ終わる。
静かに、全部奪われる。
そして私は、まだ知らない。
これは偶然じゃない。
すべて——仕組まれている。
——この日、私のすべてが壊れ始めた。
はじめまして!snow rabbitです。小説家になろうは今回初めての投稿となります。初心者なので拙い点や至らぬ点はあると思いますし批判もあるかと思います。生暖かい目で見守っていただけたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。




