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56.禁忌の洞窟

 一同は洞窟に着いた。

 洞窟の入口には鳥居が建てられ、左右にはしめ縄が渡されていた。

 そして、入口の岩肌にはビッシリと御札が貼られ、注連飾りには紙垂(しで)がヒラヒラと揺れていた。

 見るからに不穏な雰囲気を振りまいている洞窟だった。

 果たして省吾はこの中に居るのだろうか。

「ねえ、お父さん。」

 京一は不安げに、父に向かって呼びかけた。

「うん?どうした?」

 流はいつもの日常会話のノリで、京一に応えた。

「やめようよ。中に入るのは。

 もしかしたら、省吾居ないかもしれないし。

 怖いよ…あれ。」

 流は息子の頭をグリグリと撫でた。

「ほう。お前でも分かるか。

 心配するな。お前が入るわけじゃない。」

 そんな事を言う流は、あくまでも平静だった。

「お父さんが心配なんだよ!中でもし何かあったら…。」

 流は跪いて、京一と目を合わせた。

「お父さんなら大丈夫だよ。こんなときの為に私は居るんだ。

 それに、居ないかもしれないってことは、逆に言えば、居るかもしれないってことだろ?」

 そう言われたら、息子としては何も言えない。

 加賀美家の家系というのはそういうものだと、暗に言われてるも同然だからだ。

「まあ、心配するな。

 中に入って、省吾君が居るかどうか、ちょっと様子を見てくるだけだ。

 すぐ済むさ。」

 流はそう言って立ち上がった。

 そんな父を、京一はやはり不安げに見上げた。

「では、皆さん。

 まずは私が一人で入って様子を見てみます。

 一人の手では余るようでしたら、呼びにきますので、それまではここで待機していて下さい。」

 流は一同を見回しながらそう言った。

「加賀美さん。あんた一人で中に入っていって大丈夫かね?

 もし、あんたに何かあったら…。」

 省吾の父親が、心配げにそう言ってきた。

「大丈夫です。

 それに、下手に皆で入って何かあった場合、全員共倒れになりかねない。

 もし、何かあったとしても、村に知らせてもらえると思えば、私も安心して入っていけます。」

 流は安心させるようにそう言うと、皆に背中を向けた。

 いよいよ中に入ろうというのだ。

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