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21.光の中で

  部屋の中は強烈な光で満たされ、陽子たちは目も開けていられない程だった。そうでなければ全員、京一を呆然とした表情で見ていたに違いない。

  それは一体どれくらいの時間続いたものだろうか。

  一分?

  二分?

  それとも、もっと長く?

  実際の所、それはほんの十秒程しか続かなかった。

  しかし病室に居る全員が、もっと長く感じていた。

  京一の身体から発せられていた光がいきなり消えると、身体は崩折れて、膝から倒れ込んでしまった。

  陽子と美祢は、驚き慌てて京一に駆け寄り、倒れてる京一へ声をかけた。

  「京一くん!一体どうしたの?」

  「お兄ちゃん!しっかりして。」

  各々声をかけるが、京一は一向に目を覚ます気配は無い。意識を失ったような状態で、目を(つむ)り続けるばかりである。

  「とにかく、お医者さんを呼びましょう。」

  千穂はそう言いながらナースコールを押した。

  倒れたのが病院だったのが幸いした。

  京一はストレッチャーに乗せられて、救急処置室に運ばれることになった。

  陽子と美祢も一緒に付いていった。

  処置室では、心電図、脳波計、瞳孔検査等の各種の検査が行われたが、特に異常は見受けられなかった。

  医師は二人に告げた。

  「急に倒れたということのようですが、身体に特に異常は見られませんね。じきに目を覚ますでしょうから、それまで空いてる病室で安静にしていて下さい。」

  やがて二人は、病室のベッドで眠る京一を、心配そうに見下ろしていた。

  穏やかに寝息を立てて眠っている京一を眺めながら、二人は京一との出会いを思い出していた。

  「ねえ、お母さん。お兄ちゃん、このまま目を覚まさなかったらどうしよう。」

  美祢は不安で堪らないといった様子で陽子に言った。

  「バカね。そんな事あるはず無いでしょ?きっとすぐに目を覚ますわよ。前に美祢を助けてくれた時みたいに。」

  陽子は美祢の不安を打ち消すようにそう言って、美祢の身体をそっと抱きしめた。

  「ううん、違うよ。きっとあたしが悪いんだよ。お兄ちゃんに菜子ちゃんをどうする事が出来るかなんて分からないのに…」

  美祢はそう言いながら涙をポロポロとこぼした。

  「なのにお兄ちゃんなら何とかしてくれる気がして…あんなこと言って…お兄ちゃんまで倒れちゃって…」

  そう言いながらうわーんと泣き出した。

  陽子はそんな美祢に対して、しゃがみ込んで目線を合わせて、言い聞かせるように話した。

  「美祢、大丈夫。あなたは何も悪くないわ。京一君が不思議な光に包まれたのも、その後に倒れて意識を失ったのも、全部何か意味があるような気がお母さんはするの。だから京一君は近いうちに、きっと目を覚ますわ。きっと。だから大丈夫。信じてそれを待ちましょう?」

  陽子はそう言いながら、再び美祢を抱きしめた。

  美祢は抱きしめられながら、ベッドで眠る京一に目をやった。

  お兄ちゃん、早く目を覚ましてと心の中で何度も祈りながら。

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