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下校時間になったので結居蘭、真希、黒木の三人は帰路に着いていた。
そんな時だった。
「腹減ったなー」
「それな」
「カバンの中にー何かーあー! あった! チョコ」
真希はカバンの中から板チョコを取り出すとその場で〈ボリボリ〉と食べ始めた。
「歩きながら食べるなんて美しくないよ!」
「ふるへーな!」
「食べながら喋るな!」
そんな二人を横目に、結居蘭はカバンの中から菓子パンを取り出して、その場で袋を開けて食べ始めた。
「うま」
「ゆいらちゃんまで! Nonすぎ」
二人の様子を怪訝な表情で見つめる黒木だったが、その時、黒木のお腹の音が鳴ってしまった。
「くろき、てめぇもはらぺこじゃねぇか」
「僕は家まで待つさ」
「コンビニでなんか買えば?」
目先に駅近くのコンビニが見えた為、結居蘭はそう提案した。
コンビの近くまできた三人は店のドアにある張り紙を見た。
「おいくろき! おにぎり百円セール中だぜ」
「な、なんだってー⁉︎ 安すぎじゃないか、お店は大丈夫なのか」
「わあお得。私も買ってこう」
結居蘭と真希は食べていたものを残り全部口へ放り込む。
そして食べ終わった所でコンビに入った。
一直線に真希はおにぎりコーナーへ行き、二人に対して手招きする。
「こっちこっち」
「どれを買おう」
「あんまり種類ないね。売れちゃったのかな」
結居蘭はシャケのおにぎりを一つ、真希は梅のおにぎりを一つ、黒木は銀シャリのおにぎりを二つとおかかのおにぎりを一つ買った。
コンビの外にはベンチがあった為、三人はそこに座りおにぎりを食べた。
「くろきさん、三つ今食べるの?」
「うん」
「はらぺこゴリラ」
「うるさいぞブタ」
「んだとこらぁ!」
「黙って食べなよ」
おにぎりが食べ終わった所で、真希は一番最初に立ち上がり、駅の方を向いた。
「じゃ、あたし電車だから」
「うん、また明日ね」
「また明日な」
「おう! じゃあなフレンド」
彼女が見えなくなるまで、結居蘭と黒木は駅の方を見つめた。
「さあ、僕らも帰ろうか」
「うん、くろきさん家もこっち?」
「僕はあっち」
「そっか、じゃあまた明日」
「うん、また明日ね」
二人もそれぞれの家路に着いた。
***
次の日の昼休み、三人で昼食をとっている時。
「みんなの好きな食べ物なに」
と、真希が話した。
「私たらこスパ」
「僕はおにぎり」
「あたしはカレー!」
そんな真希の今日の昼食はカレーパンだ。
結居蘭のお弁当には一口サイズのたらこスパゲティが入っていた。
黒木はいつもおにぎり三つだ。味はその時によるがいつもおかかは入っている。
「みんな料理はするのかぃ?」
「私は……上手くできない」
「カップ麺はよく食うぜ」
「それは料理したとは言わないぞ」
「はぁ? お湯入れてるだろうがよ」
「それだけで料理なわけないだろう」
「くろきさんは料理するの?」
「僕は夕飯手伝ったり、休みの日はよく自分で作るよ。得意料理はオムライスさ」
お金持ちの黒木はてっきりお手伝いさんがいつも作っていると思っていた結居蘭と真希は目を丸くした。
「今度ご馳走しよう」
「ゴリラが卵割れるのかよ、潰して殻まで入れるなよな」
「うるさいぞブタ」
「楽しみ」
そんな約束をして三人は残りの昼食の時間を楽しんだ。
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