数年後〜冷戦士の名〜
私がこの世界に来て何年か経つ。私は、最強の「戦士」として有名になった。
そう、この世界はー。「ファンタジー」なのだ。
なぜかって?魔物いるんです。人が人じゃないし。(魔法使う。ちなみに私も)最初は、自然現象?いやいや、科学の発達?といろいろ考え、試してみたが分からず。今はとっくに気にしてもない。ここでは当たり前なのだろう、と。今までのことを説明するのなら、
目覚めたらモンスター(?)、食われそうになる、助けられる、この世界について知る、修行、今に至る
略しすぎたのかもしれないが、多分大丈夫。とにかく、私には重要ではないのだから。私には、やらなければいけないことが、あるのだ。
〜冷戦士〜
「お疲れ様でーす!どうでしたぁ?モンスター。強かったんでしょう?お一人で、大変でしたかぁ?」
こんな話し方だが、けっして人を馬鹿にしているわけではない。私に話しかけてきたのは、「セラ」という、戦士。横目でチラリと見ると、目が合った。クリクリの目がキラキラと輝いていて、肩に届かない短い髪が少しだけ揺れた。
「座りません?」
セラはそう言うと、木でできた長い椅子に腰掛けた。私もつられて隣に座る。ちなみにここは、戦士たちが集う酒場だ。…お酒飲まないものも、情報を求めて集まる。私は、無言で店内を目で見渡した。するとセラが、
「んー?冷戦士さん、今日も憂鬱そうな顔ですねぇ」
と、ニヤニヤ笑いながら手に顎をのせ、見つめてきた。私はハッとし、ジトッとした目でセラを見つめ返すと、
「冷戦士ってなんです?…冷たい人の真横に座ってるのは、嫌じゃないですか?」
「だってぇー。名前、教えてくれないじゃないですか」
と言ったが、こう返されてしまった。…確かに、教えていない、が私はー。
「そろそろ、教えてくれてもいいじゃないですか。いつまでも冷戦士じゃ名の通りになってしまいますよ?私、あなたの命の恩人ですし、そのよしみでぇー」
セラはグイグイと詰め寄ってくる。私は、あまりの近さに、数センチ距離を開ける。そして、
「私は、名は捨てたんです。マシな名ならいいんで、好きに呼んでください」
と言った。するとセラは大げさにため息をつき、何かを考える素振りを見せた。が、決まらないのかうなり始める。その時、
「ミシェル、でどーだ」
と背後から声がした。先程から気配は感じていたのだが、入ってくるとは思いもしなかった。
「それ、いいですよ!ジェズ、もらいますね、それ。ミシェル、でいいですか?」
セラは解決したと言わんばかりに急に立ち上がった。ジェズという男は、私に許可を得るような視線を向ける。私は、どうでもいいと思いながらも、少し間をあけ、うなずいた。ただ、心のどこかで、カチリとはまる、音がした。
これが、私の始まりなのか、と思ったからなのかもしれない。