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クラスのギャルと兄妹になりました  作者: たかちょ


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第五話 ハオリンピック〜前編〜

「いよいよ時が来たな!俺たちの時代を作ろうぜ」

ハオリンピックの開会式中、前にいる優也が振り向きながら言ってくるが、誰も「あなたには期待してない」と思ってるんじゃないかと、俺は1人で失笑していた。


「今日、貴大って何出るの?」

「俺は…綱引きだね!今回個人種目出ないからさ」

「足早いのに勿体なくね?まぁお前の分は100mは任してくれ」

「頼んだ!クラスのエース!」


ハオリンピックの前半は体育祭、後半が球技大会に分けられていて、基本的に個人種目に出たくない俺は、綱引き、縄跳びなど、個人が目立たない競技を選んだ。

「たかぴー、そろそろ出番だよ」

「もう俺たちの番なの?もっと後だと思ってた」

「前の試合がすぐ終わっちゃったみたい。たかぴーもちゃんと引っ張ってよー」

俺と珠凛は個人種目に出ない代わりに、ほぼ団体戦に全振りしている。だからこの1週間は一緒にいることが多くなる。


「初戦から優勝候補のクラスかよ、身体のデカさ違うだろ」

「あれは勝てなさそうね…」

戦車vsミニカーぐらいの戦力差を、相手の身体の大きさでわかる。クラス替えの時の陰謀を感じるほどだった。それもあって2人で試合前から諦めムードが彷徨う。

「ここで勝ったらかっこいいだろ。強いチームが勝つんじゃない!勝ったチームが強いんだ」

「はははー、笑わせないで、こんな時にキメ顔見せられても」

絶対に勝てないことはわかっていたが、漫画の主人公のようなことを言いたくなった俺の発言は、珠凛のツボにハマったらしい。


パンッ

ピストンの音と共に、お互いに綱を引っ張るはずが、一瞬で引っ張られて呆気なく終わってしまった。

「レベル違すぎだろ」

「あそこ優勝だな」

何も出来なさすぎて、俺らのクラスみんなは爆笑していた。


「珠凛ちゃん力入れてた?」

「笑って力が入らなかったー、誰かのせいだけどー」

「ちゃんとやってよ。それにしてもあそこに勝てるクラスあるのかな?」

「あそこのクラスとか強そうじゃなーい?」

珠凛の見ている方に目を向けると、有川さんがいた。

「涼のクラスか!あそこは運動部が多いから、強そうだね」

「だよね、観に行こうよー」


有川さんがこっちに手を振ってくる。それに気づいた俺は声をかけた。

「頑張ってね」


有川は親指立てて、こっちに突き出してきた。その一瞬だけど、周りの音が消えて、2人だけの世界にいるようだった。

「誰あの可愛い子ー?何繋がりー?」

「バスケ部の子。ちょっと色々あって」

「色々って気になるんだけどー」


パンッ


食い気味で聞いてくる珠凛に困惑している俺は、ピストルの音に助けられた。珠凛も俺の女の子の話とか気になるのかな。そんなことを考えてたら、涼のクラスも一瞬で勝っていた。


「すげーー、圧倒的だな」

「4組も5組もどっちが勝つかわからないねー」

「そう思えば、縄跳びっていつ?」

「あー、そろそろだよ!」

笑いながら前を走る珠凛の揺れた髪を俺は追いかけていた。


「なんだよー、俺らのクラスはボロボロじゃん」

「優也100mは?」

「もちろん、予選敗退。いえーい」

お弁当を食べながら愚痴をこぼす優也も、さほど活躍していないあたりが、優也っぽいと思ってしまった。


「ってか俺らのクラスこのままだと、3日目の決勝の日は何もないかもじゃん」

「まぁ4日目からフットサル始まるし、体力温存って事で!土日の打ち上げ代を稼げないのは大きいけど」

「俺らだけでも英雄になろうな!」

「優也はどんだけ目立ちたいんだよ…」


次の日も俺らのクラスは惨敗…。

「俺たちの甲子園も終わったな…」

「いや野球じゃねーし!優也なら坊主似合うかもだけど」

「優也と貴大はもうおしまいか?」

そこにいたのは、スーパースターの涼。

「4組はいいよなー。3種目も決勝でしょ?」

「まぁな。優也がいてもこのクラスはダメだったか」

「優也は全然戦力になってない」

俺と涼で優也をいじるいつものお決まりのパターン。

「俺達の綱引きの準決観にこいよ」

「行こうぜ、優也」


準決勝は実質決勝と言える、4組と5組の勝負だった。

「すごい盛り上がりだな」

「やっぱり相手でかいな」

両クラスの応援がヒートアップ。


パンッ


ピストルが鳴った。

互角の戦い。若干5組が優勢。

「頑張れー、涼力入れろー」

必死に応援をしているけど、俺の目に映っているの有川さんだけ。時間の流れが遅く感じる。

(有川さん可愛いな)

「あっ」

5組の1人が足を滑らして、この隙を見逃さなかった涼のクラスは勝利を手に入れた。


涼のクラスの人達がハイタッチしてる中、俺は涼にハイタッチ。

「涼、よかったね」

「マジきつかったわ」

その横にいた有川さんともしれっとハイタッチ。

「おめでとうー」

「いえーい、応援ありがとう!」

涼とは全然違って、もちもちの感触。そして汗ばんだ笑顔。自分の鼓動が早くなっている。


後ろを振り返ると珠凛がいた。

「すごかったね、まさか涼のクラスが勝つとは思わなかったよ」

「そうだね……、私たちの仇を取ってもらったって感じだねーー!」

一瞬、悲しそうな顔から無理に元気になった気がした。


「ウチら明日暇だね」

「俺たちのクラスは運動部多くないからね」

特に何かあったってわけではないが、2人の中で少し気まずい雰囲気になっていた。


会話が弾まないまま2人で教室に戻ると、

「最近、2人とも仲良いよね〜」

「私もそれ思う〜」

ギャルの2人が話しかけてきた。まだこの2人には緊張する俺。

「でしょー!仲良いんだよー」

「あ、」

珠凛は俺に寄り添ってくる。香水の良い匂いが逆に俺を動揺させる。


「藤崎君、恥ずかしがってんじゃ〜ん」

「ウケる〜」

「たかぴーは恥ずかしがり屋だから、いじめないでー」

さっきまでの気まずい雰囲気をこの2人はぶち壊してくれて、珠凛がこの人達と仲良くする理由が少しわかった気がした。


「貴大!!なんで俺を置いていくんだよ」

少しキレ気味の優也が入ってきた。

「私が連れてきちゃった!ごめんね?」

「上本さんならしょーがないな」

「何でだよ!!でもごめん」

「理科室メンツでお昼ご飯食べようぜ〜」

優也も加わり、5人でお昼を食べることに、

「あっ」

「珠と藤崎君の弁当一緒じゃ〜ん」

ギャルの反応は光る速さより速い。俺が恥ずかしくて隠す時間もなかった。


「当たり前じゃーん。だってお弁当私が作ってるんだから。美味しいよね?」

「い、いつも美味しい。特に玉子焼きが1番すきかな」

「俺に食べさせろよ」

優也の箸が俺の玉子焼きに向かってきたので、すぐにパクッと口の中にしまい込んだ。

「こえだえわあげあえない」

「あーーー、少しぐらい、いいじゃねーかよ」

そんなやりとりを嬉しそうに見ている珠凛に、俺は先程の気まずさもあって安心した。


今日は初めて2人で帰った。たぶん周りから付き合っていると思われている。でも俺たちは兄弟だ。

「毎日、玉子焼き飽きないの?」

「飽きないけど、言われてみれば毎日入っているね」

「たかぴーが玉子焼きをたぶん好きなんだろうなって思ってさ」

「なんか珠凛ちゃんの玉子焼きって優しい気持ちになるんだよね不思議なんだけど。」

「当たり前よー!魔法かけている玉子焼きですからー」

「いつもお弁当ありがとう。明日もよろしくお願いします」

「何改ってんのよー、やめてー、変な空気になるからー」

「魔法にかけられたんだよ」


2人は玉子焼きで爆笑してるけど、周りには何が面白いかなんてわからない。明日の玉子焼きも楽しみだなと俺は思ったし、たぶん珠凛も明日も作るのが楽しみなんじゃないかな。

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